金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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大地震5日後に米国投資家の日本株買い急増

2011年03月24日 | 投資

昨年12月から3ヶ月連続で米国投資家が日本株EFTを買い越していることは以前から知っていた。ニューヨーク証券取引所に上場されている最大の日本株ETFはBlackRock'sのiShareだ。3月11日の東日本大震災で米国投資家は泡を食ったのではないか?と思っていたが、そんな柔(やわ)な連中ではなさそうだ。

ユーヨーク・タイムズによると、先週米国投資家は日本株ETFに12億ドルを投入した。地震の後、投資家は2営業日様子を見ていたが、東京で株価が約10%した後買いに動いた。大震災5日後の3月16日だけで、7億ドルのETFが買われている。これは過去最大の資金流入額だ。

タイムズは日本株が買われた理由は投資家が割安と判断したからだろうと述べている。日経平均はリバウンドしているが、震災前に較べるとまだ9.43%低いレベルだ。日本株のバリュエーションが低いので、長期投資の観点から個人投資家の買いが入ったとのだろうと投資調査組織TrimTabsのチェン氏は分析している。

長期投資家は概ね日本に起きた震災危機で世界の株価が低下したことを買い場と見たようだ。モルガンスタンレーが昨日発表した調査レポートでは、地震とその後遺症で日本は今年リセッションに戻るかもしれないが、世界の経済成長率に与える影響は軽微である。災害は些細な訳ではないが、世界経済の相対的に力強いリカバリーを脱線させるものではないだろう」と述べている。

今まで日本株に投資していなかったEvermore Global AdvisorsのMarcus氏は「インフラセクターを含めて日本株をもっと念入りに見ていきたい。ただし投資に踏み出すかどうかは、震災が政治と経済の変革の触媒になるかどうかにかかっている」と述べている。

☆   ☆   ☆

アメリカ人がリスクマネジメントと優れていて、日本人が劣るとは言わないが、今回の原発事故などを見ると、日本の政府・マスコミは最初は楽観的な見方を示し、その後少しづつ悪い材料を提供する傾向があるのではないか?と思われる。

古くは太平洋戦争然り、新しくはバブル後の不良債権然り。そして今回の福島原発事故問題然り。

ただしこれが日本人の特性かどうかは分からない。欧州の国債問題を見ると自国の問題については楽観視する傾向は万国共通なのかもしれない・・・

このように考えると比較的冷静に判断できる立場にある米国投資家が日本株ブルなことは良い材料なのかもしれない。

コメント
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