グローバル・マクロとは世界中の国や地域のマクロ経済見通しを立て、債券・株式・通貨のロングまたはショートポジションを決め投資収益をあげるヘッジファンドの運用手法の一つだ。
だがグローバル・マクロ戦略は過去数年間のレンジ相場の中ではあまり収益をあげることができなかった。FTは「2012年11月までの3年間グローバル・マクロ・ファンドの平均リターンはわずかに3.5%だった」というヘッジファンドリサーチ社のコメントを紹介している。
そのグローバル・マクロ・ファンドに力をつけたのがアベノミックス。11月初めから米ドルは日本円に対して17%上昇した。FTによると日本円売り・日本株買いにベットしたマクロファンドは既に数十億ドルに達し、過去3ヶ月で10%近いリターンを上げている大きなファンドも幾つかある。たとえばCaxton Associatesなどだ。
儲けたところが少しづつ顔をあきらかにし始めた、というところだろう。
足並みが揃わず市場を混乱させる発言もあったG7。しばらくの間、日本政府や日銀は為替の話をしない方が得策だ。ただデフレを脱却し、成長路線に戻るため金融緩和政策を取るとのみ言っておけば良い。為替の話をすると、欧州諸国から「為替戦争を起こすのか」と批判される。
米国はリーマンショック以降ドル安に導くことに成功したが、オフィシャルにドル安を目指すとは言っていなかったはずだ。だがあれだけ大規模な金融緩和策を実施すると自ずと通貨安になる。
米国の先例に習っている限り少なくとも米国は日本の政策を支持せざるを得ないのであり、それが当面のスマートな対応だろう。