金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

信託銀行が運用競争から管理競争に転換する日

2013年02月01日 | 社会・経済

2月1日になった。今月の私の大きなイベントは18日の相続学会でのセミナー実施だ。先月のセミナーでは学会の伊藤会長と民法学者の常岡史子獨協大学教授のお話があった。特に常岡教授の話は専門性の深さとスムーズな話運びでさすが、だった。そんな専門家の後で話をするのは、デモンストレータや指導員の後で衆人着目のコブ斜面を滑るほどの「厚かましい」話なのだが、ジェネラリストとして見える世相について淡々と話をしようと思う。

予定している話の一部に「信託銀行が運用競争から管理競争に転換する日」ということを持ってこようと考えている。

その話を持ち出す直接のキッカケは三菱UFJ信託が昨年3月に発売開始した「ずっと安心し信託」という信託商品だ。これは特約付き金銭信託で委託者が生前は自前の年金として使いながら死亡時にあらかじめ指定した受取人に家族一時金を出し、その後長期間に渡って残された家族に継続的に年金型の給付を行うというものだ。

これは「遺言代用信託」を利用した商品だが、顧客訴求力上上幾つかのミソがある。

まず「資産の運用」ではなく「資産の管理」を強く打ち出した点だ。安心信託のパンフレットの表紙には「お金を預かり運用するだけが私たちの仕事ではありません。お金についての『心配』を『安心』に変え、次世代につないでいく、そんなお手伝いをするのも私たちの仕事」と書いてある。

安心信託の最低利用金額は昨年10月に500万円から200万円に引き下げられたからかなりマスプロダクツな商品で日経ヴェリタス賞の最優秀賞を受賞している。担当役員の松下常務は「10万件の契約獲得を目指し、(往年の)貸付信託に並ぶ主力商品に育てて行きたい」と述べている。

安心信託のセールスポイントの一つは「被相続人の死亡時に簡単な手続きで現金が引き出せる」という点だ。相続預金になると引き出しには総ての相続人の同意が必要になり、戸籍謄本の準備などかなり時間がかかる。金融機関の口座凍結による当座の現金不足を助けましょう、という商品なのだ。

また運用は金銭信託として元本保証(正確には元本補填契約)を強く打ち出している。

信託銀行が「運用型」商品から「管理型」商品に力点の入れどころを変えつつある意味を考えてみた。

  • 今後の心身の衰えを心配し、元気な内に安全な金融機関にお金の管理を任せたいというニーズが高まってきた。利息や運用成果の良し悪しにはほとんど拘泥しない。
  • 世界的に経済の低成長が持続し、インフレが進まないと、消費者のみならず信託銀行も考え始めた。世界経済の全体の成長見通しを3-4%と考えると、長期的な資産運用から期待できる利回りはせいぜい2-3%(むろんかなりリスクを取って、である)。むしろ過去の経験からいうとデフレ傾向の時はジタバタ動きまわるより現金を抱いている方が価値があがる、と多くの人が考えている。信託銀行が運用商品を提供しても吹けど踊らず、である。

私は多くの消費者の直感は正しい場合がある、と考えている。バブルに踊ったのは一般の人ではなく、金融のプロ、セミプロを自認した人だった。多くの人が資産運用についてリスクオフになっている状態は、資産運用に基本的に逆風が吹いているということなのである。

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山屋がしびれる川場の冬

2013年02月01日 | スポーツ

昨日(1月31日)日帰りで群馬県の川場スキー場にでかけた。川場スキー場は武尊山山塊の剣ヶ峰山の南面に広がるスキー場で自宅から最も近い天然雪スキー場だ。

朝6時半に自宅を出て所沢でNさんをピックアップして、圏央道から関越道に入り川場スキー場に着いたのが午前9時45頃だった。10時過ぎにリフト券売り場に行くと「スーパー午後券」というのがあったので3,400円(シニア料金)で購入。これは午前10時からリフト終了まで使える券で、首都圏からの日帰りが多い川場に適したサービスだと思う。

スキーを履いた後まずリフトで一番高いところに登ってみた。

Kengamine

目の前(北側)には巨大な岩の塊である剣ヶ峰山がでんと座っている。写真左端の雪面にはトレースがついていた。武尊山(2,158m)に登った人のトレースかもしれない。あるいは剣ヶ峰山の頂上付近から新雪滑降を楽しんだスキーヤーかボーダーのトレースかもしれない。

Shirane

山は快晴である。東に目を向けると日光白根山がひときわ高くそびえている。

正面(南側)には赤城山が美しい裳裾を引き、さらにその右側には富士山が見えた。素晴らしい景色だ。山好き人間にはいつまでも見ていたい景色である。

Akagi

この最高点では斜面に遮られて西側つまり谷川岳方面の視界はない。

別の場所から谷川岳を撮った。右側に三つ並んだピークの左と真ん中が谷川岳で、右は一ノ倉岳だ。中央の真っ白い山は万太郎山だろうか?

Tanigawadake

谷川岳というと私にはまだ宿題がある。それは谷川岳から万太郎山を経て平標山まで縦走するというものだ。ここは日本の大分水嶺(日本海と太平洋に流れる水を分ける分水嶺)の中でも中核的な部分で一度歩いてみたいと思いながらまだ果たしていない。

景色は見飽きないが今日の目的はスキー、より具体的にいうと来週の八方尾根スキーに備えて、飛騨高山の講習会で勉強したことを点検しておくことにある。

飛騨で勉強したことは内足を重視した回転である。それまで私のスキーはカービング板を使いながらもカービングの特性を活かしたスキーをして来なかった。つまり従来の外足重視の回転を行なっていたのである。

昨日の滑りを総括すると中級向け斜面まではかなり内足重視の回転ができたが、コブの多い上級者向け斜面になるととたんに外足荷重・内足の持ち上げ型という悪い滑りが出てしまった。スキーの奥は深い・・・・・・

川場スキー場は絶景で山屋を痺れさせ、コブ斜面でまた山屋を痺れさせてくれた。

Helmet

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