8月4日(日曜日)渥美半島の突端・伊良湖岬からフェリーに乗って鳥羽に向かった。10時40分発のフェリーを予約していたが、出発前に昔の会社仲間のK君がホテルに訪ねてくるというハプニングがあってフェリー乗り場にはギリギリの時刻に到着(出発の20分前10時20分)。
出発して20分ほどでフェリーは神島の北を滑るように渡っていく。神島は三島由紀夫の「潮騒」の舞台の島。10時40分に伊良湖岬を出た船は、55分で予定通り伊勢湾を渡り鳥羽に到着した。
鳥羽からは伊勢神宮・外宮の無料駐車場を目指して車を走らせ、駐車後はガイドブックやサライで有名な「中むら」で伊勢うどんを頂いた。
私は冷たいうどんを頂き、ワイフは温かいうどんを頂いた。注文してからうどんが来るまで多少時間がかかるがイライラしてはいけない。このうどんは1時間ほどゆでるそうだ。だからツルンツルンで喉ごしが良い。
うどんを頂いた後は外宮へ。
伊勢神宮のお参りの順序は外宮→内宮と定まっているそうだが、余りにも暑いので一日で外宮・内宮の参拝は止めて、この日は外宮のお参りのみとした。
外宮入り口右手には「清盛楠」と呼ばれる楠の大木がある。木の伝承についてはインターネットでお調べ頂くとして中々立派な樹であった。
外宮をめぐる人気のスポットとしては「三つ石」というパワースポットがあった。
ここがパワースポットだとは来るまで知らなかったが多くの人が集まっていたのでパワースポットと知った次第。ただしワイフは「人が多過ぎ。その上暑くてパワーを感じない」という。
確かに猛烈に暑い。この暑さでは神様のお力も衰えるのではないか?さらにいうと今は遷宮の2ヶ月前だ。日本の神様はお住まいの神殿が古くなると元気が弱るという。だから時々神殿を立て替えて神様に若々しい生命を持って頂くのである。それが遷宮だ。逆にいうと今年の10月の遷宮を前にして神様のお力はボトムになっているのかもしれない。
とにかく余りの暑さに内宮のお参りは明日の朝にして、車を今夜の宿泊地・奥伊勢に向けることにした。だがこのままホテルに入るには少し早い。そこでホテルから車で10分ほどの瀧原宮をお参りすることにした。
瀧原宮は伊勢神宮から約40kmほど離れた宮川の上流に静かにたたずむ神社だ。
神社脇に掲げられた「御由緒」によると、この神社は天照大御神の御魂を祀る別宮である。別の資料によるとここは天照大御神の和魂(にぎたま)を祀る神社だ、とある。和魂とは日本の神様の持つ二面性~荒魂(荒ぶ心)と和魂(平和を愛する心)~の内雨や太陽の恵みなど平和な側面を指すということだ。
伊勢の外宮・内宮の喧騒から離れた瀧原は静かだ。
激しい雨があがった後の参道は参拝者も稀だ。天をつく杉木立が神韻とした空気を漂わした。
苔むす手水鉢で口を濯ぎ、いよいよご神殿へ。
この別宮も来年には遷宮されるそうだが、ここには華やいだ引越しムードはない。
すべては深い照葉樹林に森になかにひっそりとしていた。照葉樹林の原生林は生命に満ちている。まさに天照大御神の和魂をお祭りするにふさわしい場所だ。
外宮・内宮の華やぎはお伊勢様の一つの様相である。だが伊勢を流れる宮川の上流まで足を伸ばすと静かな別宮をお参りすることができる。勝手なことを言えばあまりの暑さに辟易した神様方は、里を離れて山深い別宮にしばし避暑に出かけられているのではないか?と感じた一日だった。