金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「数字はウソをつかない」(3)~日本の将来に関する懸念~

2021年04月06日 | 本と雑誌
 Numbers Don't Lie(数字はウソをつかない)のトピックは独立しているので一つのトピックだけを読んでも十分内容を把握できるし参考になることが多い。
 ただしConcerns about Japan's future(日本の将来に関する懸念)、How far can China go?(中国はどこまで行くのか?)、India vs. China(インド対中国)はまとめて読んだ方が良いだろう。
 なぜなら筆者は日本の現在と中国の30年先が重なるのではないか?と示唆しているからだ。またインドと中国の比較も興味深い。
 さて今日は「日本の将来に関する懸念」を見ておこう。
  • 1973年ホンダは初めてシビックを米国に輸出した。そして1980年までに米国における日本車のシェアは3割に達した。
  • 1978年に日本は米国に次ぐ世界第二位の経済大国になった。それから約10年日本の好調は続くが1990年代に入るとバブルが崩壊して2000年の日経平均は1990年の半分になってしまった。
  • また以前は比類ない信頼性で知られていたトヨタやホンダといった自動車ブランドもタカタのエアバック問題で何百万台という車をリコールしている。
  • 2011年の東日本大震災と福島原発事故、予想不能な北朝鮮問題、悪化する中国と韓国との関係など日本は問題山積みだ。
  • だがよりファンダメンタルな問題は高齢化と人口減少だ。65歳以上の割合は既に1/4を上回っているが2050年までには人口の4割が65歳以上になる。また現在127百万人の人口は2050年までに97百万人に減少すると予測される。そうなれば誰が日本の優れたインフラを維持するのだろうか?また誰が数百万人の高齢者の世話をするのだろうか?
  • 日本の政府はこの問題を解決する方法を模索している。しかしゲリマンダー選挙区の日本では抜本的改革は容易ではない。中規模程度の移民策や近隣諸国の真の平和な関係構築も熟慮できないのである。
以下は著者ヴァーツラフ・スミル氏が言外に言いたいことを私が勝手に推測したものである。
  • 現代の総ての戦争の中で最も無謀な太平洋戦争を始めた日本には「数字を踏まえて将来を熟考する」習慣がない。太平洋戦争直前の1940年の鉄鋼生産量でアメリカは日本の10倍であり大戦中にその差は更に拡大した。
  • 1970年代後半から80年代にかけて日本は米国市場を席巻する輸出攻勢でGDPを伸ばしたが、それは人口ボーナス(生産人口が従属人口を上回っている状態)のメリットを最大限に生かしたと考えらえる。しかしこのような背伸びは長続きしない。日本のピークは短期間に終わり、これからは長い人口オーナス(従属人口の伸びが生産人口のそれを上回る状態)が続き経済成長を見込むことが難しい。
  • これらのことを眺めると日本にはよその国を目標にして頑張る習慣はあっても、どうすれば自分の国を長期的・安定的に成長させることができるかということを考える習慣はない。
 投資家という観点から日本の問題を考えた時、私はあまり投資の軸足を日本に置きたいとは思わない。
 会社の従業員の場合は自社株投資リスクというものがある。つまり会社の持ち株制度を利用して、お給料から自分の会社の株を買っていると万一会社が倒産した場合、フローの収入もストックの資産も同時に失うというリスクだ。
 ストックのリスク分散という点では海外に分散投資を行うに越したことはない、ことを改めて教えてくれるトピックであった。これまた著者の意図とは異なるだろうが。


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オンライン理事会準備にはアンケートツールFormsが便利だが・・・

2021年04月06日 | デジタル・インターネット
 4月、5月は一般社団法人など各種団体の理事や事務局の人にとっては仕事の増える時期である。
 団体の事業年度が終わり、社員総会を開催するための事業報告の作成や理事会の開催があるからだ。
 昨年内閣府が発表した公益法人等の運用のお知らせを参考にしながらオンライン開催の準備を進めている人もいると思う。
 私も大先輩からオンライン理事会の準備をせよ、と指示を受けその準備に入っているところである。
 オンライン会議自体はZOOMで行うのでそれ程問題ではなく、問題は情報や意見の共有と集約にあると私は考えている。その時役に立つのがオンラインベースでアンケートを集約するマイクロソフトのFormsだ(なおグーグルにも同様のフォームがあるが使っていないので説明は省略)。
下の写真はFormsで作ったアンケートをパソコンで開いたことろでパソコンに慣れた人であれば手早く回答することができる。
またQRコードを作成しスマートフォン経由で回答することも可能だ。
もしこれが普及してくると社員総会の議決権行使や集計も大変便利になるだろう。
ただし問題は私が担当している社団法人の社員の方は高齢の方が多いということだ。つまりPCやスマートフォンを使ってどれだけの人が回答してくれるか不明なのだ。従って当然今年の社員総会の議決権行使をオンラインベースで行うことはできない。
 まず人数の少ない理事会の運営でFormsがどれくらい使えるか?を見てから今後の展開を検討しようと考えている次第だ。
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