Zoomミーティングの解説本を読むとアプリの使い方などシステム寄りの話が多いのですが、私は本当に重要なことは「実効性の高い会議を運営するノウハウ」だと考えています。少し大げさな話をすると「ITC=情報通信技術」の話になると企業の中でもネットワークがどうだの、とかチャットはどこのアプリが便利だとかハードウエア寄り、アプリ寄りの話が中心になる傾向があります。しかし本当に重要なことはシステムをいかに活用するかということなのです。
テレワークの問題にしても「自宅の通信環境が良くないからサテライトオフィスを使おう」などとハード面の話は盛り上がるのですが、在宅勤務をする人と適切なコミュニケーションを取るとか適切な目標や課題設定をして公平な人事考課を維持することでモチベーションを維持するといったソフト面つまりヒューマンスキルに関わる領域の取り組みがお粗末です。欧米先進諸国では比較的テレワークが順調に拡大するのに較べ日本ではテレワークがあまりうまく行かないのはヒューマンスキルの重要性を看過していることに問題があると私は考えています。
ということでZoomミーティングを効率的に運営するためにはファシリテーション(司会・議事進行)が非常に重要です。身振り手振りや阿吽の呼吸で補うことができる実開催のミーティングよりZoomミーティングの方がはるかにファシリテーションスキルが求められます。
つまりZoomミーティングのホストはファシリテーターとして「会議の設定」「目標・ゴールの設定」「議題の作成」「ゲストから意見を引き出し合意形成に導く」必要があります。
これらのことについては検索エンジンで「オンライン会議 ファシリテーションのポイント」と検索するとコンサル系の会社が情報を提供していますから適宜ご覧ください。
ここでは私が実際に幾つかのミーティングでファシリテーターを務めて重要だと感じたことを書いておきます。
- 第一にZoomミーティングの目的をはっきりさせることです。これはNPO法人よりも企業に多く見られるのですが、「役員会の決定事項を通知する上意下達型のミーティング」「各拠点が営業成績を発表する連絡会議」などZoomミーティング以外で効率的に目的を達成する方法があるのに「慣習で会議をする」ケースが多いのです。通知は掲示板で共有し、営業計数などはネットワークツールを使って瞬時に集計しましょう。Zoomミーテイングでは「生の声を聞いて、情報を共有しながら議論をして、合意形成に結びつける」ことを目的にしましょう。
- 次にミーティングに参加する人数です。ざくっというと7~8人多くても10名が上限だと思います。一人6,7分発言しても1時間位かかりますからこれ以上参加者が増えるとあまり発言しない人が増えるでしょう。社会学者の上野千鶴子さんの話では「ひとつのテーブルで全員が話題を共有できるのは8人くらいまで」だそうです。
- 議題(アジェンダ)をあらかじめ作成しておきます。作成した議題はあらかじめメールで共有し、Zoomミーテイングでは画面共有で映し出すと良いと思います。
- また全体的な時間配分についてもあらかじめ連絡してホストの方の協力を得るようにしましょう。