エコノミストという連中は先のことを語るのが好きだ。というのかそれが商売なのだ。因みに投資家も先を見るのが好きだ。株式相場は大体半年先の動きを見ているという。
昨日(4月19日)の米国株は少し値を下げたがこれは先週インデックスが新高値を更新したことの反動や決算発表待ちが原因なので気にするほどのことはないだろう。どんな強いマーケットにも気迷いからくる下落はあり、どんな弱い相場にも底値買いの先走りから反発はあるものだ。
ということで少し米国の景気と雇用について少し先のことを考えてみよう。
たまたまWSJにEconomic Growth is set to surge. Hiring might not keep up.という記事がでていた。経済成長は急伸する準備が整っているが雇用増は追いつかないかもしれないという趣旨だ。
アメリカではワクチン接種の拡大に伴って、消費者がレストラン、ホテル、ヘアサロンなどに足を向け始めている。WSJの調査によると今年の第4四半期ベースで予想するとGDPは6.4%増加する。これはアウトプットをコロナ以前に較べて4%近く増やすことになる。一方労働力については今年12月までに7.1百万人増加する見込みだがコロナ前に較べると1.6%少ないと予想される。
雇用が経済成長に合わせて急速に伸びない理由は次のようなものだ。
まず企業は消費需要の回復が持続するかどうかを確認するまで雇用を増やしたくないと考えていることだ。
第二に一旦仕事を辞めた人が再び雇用されるには時間がかかるということだ。
消費需要の回復の持続性については、コロナウイルス禍で構造的に変化した需要構造を見極める必要がある。たとえばビジネス出張については恐らくコロナ以前の水準にフルに戻ることはないだろう。人々はかなりのことがリモートワークでできることを体感したからだ。
経済の急回復に雇用が追いつかないとサービス価格の上昇など様々な問題が起きる。たとえばレストランは給与を引き上げて人手を確保しようとして、コストアップはメニュー価格の引き上げにつながる。
これからしばらくの間アメリカの経済指標は「景気回復と雇用回復のずれ」を意識しながら見ていく必要があると感じた次第だ。