金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

仕掛け人、モーゲージの底値を拾う

2008年11月18日 | 社会・経済

住宅ローン債権の値崩れで一財産築いたポールソンが、住宅ローン債権の底値買いに入ったというニュースをファイナンシャル・タイムズで読んだ。モーゲージの値崩れで有名になったポールソンには、財務長官のハンク・ポールソンがいるが、今回の主人公はジョン・ポールソンだ。

ジョン・ポールソンは、サブプライム・モーゲージ市場の崩壊を予想して、2006年の初めからショート・ポジションを取り、大きな財産をなした。また彼は英国の銀行の株価下落にも賭けて一儲けをしている。

そのポールソンが住宅ローン債権を担保にした証券を買い始めている。彼は10月1日にポールソン・リカバリー・ファンドというファンドを発足させ、金融機関の株を買い始めている。それに加えて彼は先週末に値段の崩れた住宅ローン担保債券を買うファンドをスタートさせた。

ショート・ポジションを取って、住宅ローン担保債券で一儲けをした男が住宅ローン債権が底値に近づいたと見て、買い方に回った訳だ。

ジョン・ポールソンの動きは1990年代に商業用不動産を底値で買って大儲けをした「墓場のダンサー」サミュエル・ゼルを思い出させる。誰も見向きもしなかった商業不動産をゼルが買った後、不動産の値段は上昇し始めた。もしポールソンが、ゼルと同じ嗅覚の持ち主だとすると、米国の住宅ローン債権相場は底に近いと考えられる。

大富豪のランク付けをしているフォーブスのウエッブサイトを見ると、サミュエル・ゼルは68位で資産総額は50億ドル(約5千億円)、ジョン・ポールソンは78位で45億ドルだった。因みに財務長官のハンク・ポールソンはゴールドマンの元会長だったので、大富豪に入っているかしら?と思って調べてみたが、上位400人は入っていなかった。投資銀行のトップより、ヘッジファンドのボスの方が当たるとみいりが良いということだろう。

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デトロイトを外国メーカーが代替する?

2008年11月17日 | 社会・経済

ビッグ3の苦境についてはこのブログで何回か取り上げたが、今日(11月17日)かなりショッキングな論評をニューヨーク・タイムズで読んだ。題名はIf Detroit falls, foreign makers could be buffer 「もしデトロイト(ビッグ3)が破綻したら、外国の自動車メーカーがバッファーとしてショックを吸収することができるだろう」だ。つまりアメリカで販売される車は破綻しなかった他のビッグ3と外国自動車メーカーで穴埋めができるということだ。

ショッキングなのは今週米国議会でビッグ3の救済策が討議される予定だが、その前に民主党寄り(民主党はビッグ3救済のための政府資金の投入を求めている)のニューヨーク・タイムズのこのような論評がでたことだ。

著者(Louis Uchitelle)は、景気が悪化する中で燃費の良い車しか売れないが、そのような車は日本やその他海外の自動車メーカーの強みで、ビッグ3は主力商品になる燃費の良い車を開発しておらず、これから開発するのでは遅過ぎろだろうと述べる。過去のようにアメリカで車が年間15百万台も売れる時代だと、ビッグ3にも生き残る余地があるが、現状のように10百万台レベルまで販売台数が低下した状態が続くと、税金を投入してビッグ3を救済しても、競争力のある車を作ることができず、結局自壊するというのが著者の主張だ。

全米の自動車メーカーの従業員は33.3万人で75%はビッグ3が雇用している。だが今年自動車メーカーと関連業界で既に10万人以上の従業員が解雇されていて、その大部分はビッグ3に関連している。雇用の面から見てもビッグ3は必ずしも広い支持を得られているとは限らない。

もっともビッグ3の一角が消滅して、外国企業が代替すると、アメリカで関連業界が受けるダメージは大きい。「ビッグ3が85%の部品を北米で調達しているのに較べて、外国の自動車メーカーは65%の部品しか北米で調達していない」とミシガン工業技術センターの主席調査員ルリア氏は述べている。またこのままでいくと、来年早々にも運転資金が枯渇すると予想されるGMだが、次世代電気自動車用のリチウム・イオン電池の開発に力を入れている。もしGMが破綻した場合、その開発は途絶えてしまう。どこか外国のメーカーがリチウム・イオン電池の開発は続けるだろうがそれはデトロイトではなくどこか外国で行われ、技術開発の機会を失うとある業界調査機関のエコノミストは述べている。

ビッグ3救済に政府資金を使うかどうかは焦眉の課題だ。その中で「ビッグ3の一角が破綻しても何とかなる」的な意見がクオリティ・ペーパーに出たことはかなりインパクトがあると思うが如何なものだろうか?

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リングサイドはブラジルと中国

2008年11月16日 | 国際・政治

土曜日(11月8日)世界20カ国の首脳を集めた金融サミットが行われた。何が決められ、何が決められなかったかは、明日にでもゆっくり新聞で確認するとしてホスト側のブッシュ大統領としては成功と評価している。

その理由は「世界の自由貿易の必要性が再確認されたこと」と「自由な市場資本主義が世界的な金融危機の悪役にされなかったこと」だ。だがそのことに明日からの株式市場が満足するかどうかは相場に聞いてみないと分からない。

ニューヨーク・タイムズはサミットの本当のストーリーは話されたことよりも、ディナーの席順にあると述べている。ブッシュ大統領の右側にはブラジルのシルヴァ大統領が座り、左手には中国の胡錦濤主席が座った。シルヴァ大統領は「我々は先進国の助けを必要としない。我々はただ先進国が自分たちの問題を片付け成長路線に戻ることを期待している」と述べている人物だ。

この席順が象徴することは先進国は世界の経済成長のエンジンとして中国やブラジルの成長力と資金力を当てにしているということだ。20カ国を集めたサミットは「儀式的」には無事終了した。だがオバマ大統領が就任にしてから101日後に予定されている次のサミットではもっと具体的な対策が必要になる。市場はオバマの水面下の動きを注目するだろう。

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靴を磨きながら思ったこと

2008年11月16日 | うんちく・小ネタ

私は家事をワイフと分担するというような模範的な亭主ではないが、昔から靴磨きだけは自分で行っている。日頃は履いている何足かの靴を2,3週間に一回ほど靴クリームを付けて丁寧にみがくのである。

今日靴を磨きながら「随分長い間ビジネスシューズを買っていないぁ」と思った。別に節約している訳ではないが、ここ5年程ビジネスシューズを買った記憶がない。それでも靴が傷まない理由が2,3ある。一つは昔程営業で歩き回らなくなったことだ。特に雨や雪の日の外回りは靴を傷めた。それが余りなくなったこと。次に4,5足の靴を交代で履いている。従って一つの靴は一週間に一回か二回しか履かない。若い時は1,2足の靴をとっかえひっかえ履いていた。これはお金に余裕がなかったこともあるが、社宅の玄関が狭く余り靴を置くスペースがなかったことも大きな原因だ。幸いなことに今はその程度のスペースに苦労することはない。靴は木型を入れて休ませてやると吸い込んだ汗を放出し、元気を回復するのだ。

もう一つ理由は雨の日はゴアテックスの靴(皮製だが)を履いていることだ。雨に強くて水が滲みこむことがない。だから革が傷まない。

以上のようなことでビジネスシューズが長持ちしている。結構なことだが、世間のサラリーマンが皆同じような状態だと靴は中々売れないだろうと思った。靴だけでなく背広などが売れないのは同じような理由からだろう。

この分で行くと5,6年後に退職する時期が来ても、ビジネスシューズだけは現役でがんばっているかもしれない・・・と思った。体が元気でも働くチャンスがなくなるように、ビジネスシューズはピカピカでも履いて行くところがないというのでは洒落にもならない・・・・と思った。

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実篤記念館に行ってみた

2008年11月16日 | まち歩き

昨日(11月9日)車で武者小路実篤記念館http://www.mushakoji.org/に行った。記念館は京王線仙川駅とつつじヶ丘駅の間(双方から徒歩10分)にあるので、西東京市からだと車の方が便利だと思い車で出かけた。ところが記念館の近くで少し迷ってしまった。この辺りは道が狭い上、ハケ(武蔵野崖線)があり車が通過できない道があったりするので少し迷いやすい。

記念館には5,6台分の駐車場があった。200円払って記念館に入る。武者小路実篤に特別な関心はないが(著作を読んだこともない)、暇な土曜日なのでちょっと出かけた次第だ。ウイキペディアで武者小路実篤を調べると「一般的には、確固たる思想的裏付けが無く、近視眼的な理想主義・現実離れな言動で、軽率であるとの懐疑的な見方が多い。」とかなり辛らつな評価が下されていた。

記念館の中には沢山の書籍や例のかぼちゃの絵などが並んでいる。実篤はものすごく沢山の色紙を描いたので、本人でもどれが本物でどれが贋物か分からなくなったという話を読んだことがある(この話自体本物か贋物か分からないが)

記念館の横には実篤が死ぬまでの20年間を過ごした邸宅の庭を公園にした「実篤公園」と「旧宅」がある。

Zou

実篤邸の庭は1,500坪あり、国分寺崖線から湧き出る水が幾つかの池を作っている。池には鯉が沢山いたて遊びにきた子供たちを楽しませていた。

紅葉には少し早く目を楽しませてくれたのはセンリョウの赤い実位だった。

Senryou

記念館の入り口には「どうぞご自由にお持ち帰りください」とメモの入ったどんぐりの実の一山があった。

Donnguri

住宅街にありながらここには沢山自然が残っている。1,500坪の庭のある家に住みながら実篤は「何も贅沢をしなければ幸福になれないということはない」という言葉を残している。現実離れした言葉かもしれない・・・・と思いながら私は記念館を後にした。

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