住宅ローン債権の値崩れで一財産築いたポールソンが、住宅ローン債権の底値買いに入ったというニュースをファイナンシャル・タイムズで読んだ。モーゲージの値崩れで有名になったポールソンには、財務長官のハンク・ポールソンがいるが、今回の主人公はジョン・ポールソンだ。
ジョン・ポールソンは、サブプライム・モーゲージ市場の崩壊を予想して、2006年の初めからショート・ポジションを取り、大きな財産をなした。また彼は英国の銀行の株価下落にも賭けて一儲けをしている。
そのポールソンが住宅ローン債権を担保にした証券を買い始めている。彼は10月1日にポールソン・リカバリー・ファンドというファンドを発足させ、金融機関の株を買い始めている。それに加えて彼は先週末に値段の崩れた住宅ローン担保債券を買うファンドをスタートさせた。
ショート・ポジションを取って、住宅ローン担保債券で一儲けをした男が住宅ローン債権が底値に近づいたと見て、買い方に回った訳だ。
ジョン・ポールソンの動きは1990年代に商業用不動産を底値で買って大儲けをした「墓場のダンサー」サミュエル・ゼルを思い出させる。誰も見向きもしなかった商業不動産をゼルが買った後、不動産の値段は上昇し始めた。もしポールソンが、ゼルと同じ嗅覚の持ち主だとすると、米国の住宅ローン債権相場は底に近いと考えられる。
大富豪のランク付けをしているフォーブスのウエッブサイトを見ると、サミュエル・ゼルは68位で資産総額は50億ドル(約5千億円)、ジョン・ポールソンは78位で45億ドルだった。因みに財務長官のハンク・ポールソンはゴールドマンの元会長だったので、大富豪に入っているかしら?と思って調べてみたが、上位400人は入っていなかった。投資銀行のトップより、ヘッジファンドのボスの方が当たるとみいりが良いということだろう。