金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

目の前のカモシカに感激!

2008年11月23日 | うんちく・小ネタ

昨日(11月22日)午前11時頃、南アルプス夜叉神峠の北方、標高約22百メートル付近でカモシカを1頭まじかで見た。つややかな毛をしたカモシカはけっこう太っている。

Kamosika2

カモシカというが鹿の仲間ではなく「ウシ」の仲間である。オスメスともに短い角があるので角や外形で雌雄の判断はできないそうだ。私が見たこのカモシカ、すこしお腹が大きいようなので妊娠しているメスかもしれない。カメラを構えてもカモシカはじっとこちらを見つめていた。人間に対する警戒心が乏しいのだろうか?

カモシカの毛はフカフカしている。カモシカのカモは氈(カモ)で毛織物のこと。昔はカモシカの毛で敷物を織っていたということだ。だが今は天然杵物。野生のカモシカをみることは滅多にない。

Kamosika1

カモシカは茶色い目で僕をじっと見ていた。カモシカは好奇心と警戒心のバランスの中で自然界にはいない奇妙な生き物(私は真っ赤なフリースのジャケットを着ていた)を見つめていたのだろう。

人気(ひとけ)の少ない晩秋の山ならではの幸運であった。

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薬師岳、カモシカ登山

2008年11月22日 | 

11月21日(金)と22日(土)で夜叉神峠から鳳凰三山の観音岳に登った。「カモシカ登山」というのは、私がカモシカのように素早く登ったからではない。後ほど写真をお見せするが、山中でカモシカを目の前で見て撮影したからである。

夜叉神峠からの鳳凰三山は私の「雪の50名山」にも入れた雪山の魅力に溢れたコースだ。アプローチが良くて、天候が比較的安定していて、技術的に難しいところがなく、景色が素晴らしいという長所を持っている。

さて今回は初冬というのか晩秋というのか微妙なところだが、雪山への思いが募り、一人で鳳凰三山の一角に入ることにした。21日朝5時半起床、前日名古屋まで出張して宴席で遅くなり寝たのは午前1時だ。それでも好きな山行きとなるとピコっと起きるから不思議なものだ。マイカーを飛ばして甲府昭和インターで中央高速を降りる。高速料金は半額の1200円、八王子・甲府昭和インター間は100kmを切るので早朝割引があるのだ。時間的に早く夜叉神峠に着くには双葉ICから中部横断自動車道に乗り、白根ICまで行く方法があるがかなり割高だ。特に早朝割引が使える時は甲府昭和ICが良い。

釜無川を渡る橋が混んでいたが、8時50分頃夜叉神峠到着。ここから登山開始。9時に登り始めて10時夜叉神峠到着。眺望を期待していた白根三山は雪雲の中だ。ここから今日の泊まりの南御室小屋まではひたすらの登り。晴れていた天気は曇りに変わりやがて粉雪が舞い気温が下がってきた。寒冷前線が通過しているのだ。午後2時小屋に到着した時は西からの激しい風がゴーゴーと吹き荒れていた。夜叉神峠下の駐車場から南御室小屋まで5時間というのは標準コース時間の5時間30分より少し短いがとてもカモシカ・ペースではない。

南御室小屋の宿泊客は二人だけだった。相客のTさんは八王子在住の男性単独登山者で、話を聞くとかなり頻繁に山に登っている。この時期の鳳凰三山に一人で入るのはかなりの好き者であろう。午後7時前の天気予報を見ると今日寒冷前線が通過して明日は快晴とのこと。Tさんは御来光を見るため朝食を取らずに午前5時に出発するというが、私は軟弱に6時の朝食を食べてから薬師岳に行くことにする。

22日(土)快晴。朝食を食べて6時40分に出発。寒いのでアウターを着て、防寒帽をかぶり出発。小屋から暫く急な斜面が続くがやがて傾斜が緩み、木立の間から白根三山の姿が望めるようになると、森林限界は近い。森林限界は砂払山だ。目の前に広がる北岳・間ノ岳・農鳥岳の白根三山の雪景色が圧倒する。何時見ても何回見ても雪をまとった高山の姿は素晴らしく、胸が熱くなる。写真は北岳だ。Kitadake

砂払山と薬師岳の間に薬師岳小屋がある。ただし水場はない。小屋としては昨日泊まった南御室小屋の方が大きい。 午前8時10分薬師岳頂上到着。八ヶ岳やこの前登った金峰山が良く見える。圧倒するのは白根三山の雪景色だ。朝寝坊をしてモルゲンロードに輝く白根三山の写真を撮れなかったことは残念だ。写真は観音岳山頂の岩のオブジェ。雪は風に飛ばされている。

Obje

初冬のこの時期朝早く山を歩く人は少ないが、私より年配と思われる人が一人観音岳から小屋の方へ下っていった。後ろの雪山は右が間ノ岳、左が農鳥岳だ。

Gezannsha

風の弱い潅木帯には少し雪が積もっていた。雪を踏むと心が弾む。

Yukigesiki

9時10分頃南御室小屋に戻る。小屋の娘さんがコーヒーをご馳走してくれた。八ヶ岳の赤岳鉱泉小屋などに比べるとかなり寒い小屋だったが、娘さんの親切を評価してまたいつか来ることにしよう。

さあこれからは夜叉神峠まで約3時間の下山コースをひたすら歩くだけだ。眺望のない樹林帯を歩いていたが、苺平から少し下ったところに焼け跡かなにかで林が疎らになり、白根三山を眺望できるところがある。カモシカはその少し先に立っていた。私は首から提げていたカメラで夢中にシャッターを切った。たまたま望遠レンズを着けていたので、かなりアップのカモシカさんが撮れた。

Kamosika2

Kamosika1

長年山に登っているがカモシカを目の前で見たのは二回目だ(最初は両神山、ただし遠くて良い写真は撮れなかった)。感激!!

感激のついでに定番だが富士山の写真を入れておこう。

Fuji

午後0時30分 夜叉神峠の駐車場に到着。短いが中々充実した私の今シーズン最初の雪山?は無事終了した。それ程雪が多くなかったので雪山と言って良いかどうか微妙なのだが、一日目の夜が物凄く寒かったので「冬山扱い」にしておこうと私は考えている。

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ビッグ3に管理された破産を

2008年11月20日 | 社会・経済

19日付のニューヨーク・タイムズを見ていると、この前の大統領選挙でマケインと共和党候補の地位を争ったミット・ロムニーが「ビッグ3に必要なのは、管理された破産だ」という寄稿を行っていた。ロムニーは前マサチューセッツ州知事で、その前は実業家として企業再生も手がけた人物だ。また彼の父親は、アメリカン・モーターズ(後にクライスラーに買収された)の再生を行った人物だ。このような人物だけに彼の提案は具体的で興味深いものがあった。

「管理された破産」Managed bankruptcyという言葉は耳慣れない言葉だ。しばしば耳にするのは、プリパッケージド・バンクラプシーという言葉でこれは「事前合意済の破産」つまり関係者間で、破産申請の前に権利調整が行われている破産だ。「管理された破産」もこれに似た面がありそうだが、政府が破産後のファイナンスなどに保証を提供する点などに特徴がある。

ロムニーの主張は「ビッグ3がトヨタなど外国の自動車メーカーと競争する場合の最大の弱点はコスト高」だという。給料・年金など広い意味の人件費負担は車1台当り2千ドルになるという。なおロムニーは言及していないが、借金漬けのビッグ3と事実上無借金に近いトヨタの車の間には「金利負担」の違いがあるので、1台当りのコストははるかに大きくなる。

次にロムニーは現在の経営陣を退陣させ、自動車業界外から「マーケッティング」「改革」「創造性」「従業員とのリレーションシップ」に優れた人材を採用するべきだと主張する。

また本当に必要な技術特に燃費改善技術に投資を惜しむな!と彼は主張する。そして政府は今のエネルギー関係調査研究費を40億ドルから200億ドルに引き上げるべきだと主張している。

ロムニーは自動車産業は雇用と産業の要という点で国益のために不可欠であり、以上のような点から「管理された破産」が必要だと主張している。彼の提案は連邦破産法11条を使った再建策の長所を生かしながら短所を補うものだ。

破産法適用の大きな長所は労働協約を抜本的に見直し、コストカットが可能になることだ。一方破産法の一つの短所はGMのワゴナー会長が主張しているように「チャプター11に陥った会社の車には部品供給や修理の保証がないと消費者が見るので車が売れなくなる」というものだ。これに対してロムニーの提案は「政府がワランティー(製品保証)に保証をつける」というもので、消費者不安を払拭させている。

これは中々面白い提案であり、関係者に影響を与えそうな気がしたのでご紹介した次第である。

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瀬戸際のデトロイト

2008年11月19日 | 社会・経済

昨日(11月19日)米国議会でビッグ3のトップが資金援助の必要性を強調したが、余り議会の共感は得られなかったとニューヨーク・タイムズは報じている。そしてその横に「売れない輸入車がカリフォルニアの港で山積みされている」という記事が写真入りで出ている。今アメリカでは、いやアメリカだけでなく日本でも、中国でも車の売れ行きはぱったりと止まっている。その原因は何だろうか?

もっとも基本的な答は「今車を買わなくても済む」ということだ。ファイナンシャル・タイムズのAmerican carsという小論文が、アメリカの自動車業界の抱える問題点を端的に説明している。

まず車の所有状況に関するFTの統計から見ると、2007年のアメリカでは運転年齢人口1000人に対して981台の車がある。英国は613台、ロシアは230台で中国は24台だ。日本の台数は出ていない。日本の総務省のデータは少し古いが日本の自動車保有率は人口1000人について586台、アメリカは675台で英国は510台である。日本の車の保有台数を運転年齢1000人当りで推定すると800台前後であろう。

アメリカの場合運転人口と車の台数はほぼ一致している。つまり一人2台の車を持つとか買い替えが起きない限り車の販売は伸びないのである。FTによるとアメリカの車の寿命の中位値は9.3年と長いので買い替え需要が発生し易かったが、不況期には買い替え時期を遅らせることで人々は経済危機をやり過ごすので販売台数が落ちる。これは我々日本のサラリーマンが背広やコートの買い替えを来年に見送るのと同じ感覚だ。

昨年までの「住宅ブーム」時代はアメリカで年間約1700万台の車が売れていたが、この内150万台はディーラーが大きなリベートを出したり、ゼロ金利ローンを組んだりして無理やり販売したものが含まれているとファイナンシャル・タイムズは分析している。ファイナンシャル・タイムズには書いていないが、中古市場の暴落で痛手を被ったディーラーが、自動車リース(特に大型車の)を手控えていることも販売不振の大きな原因だ。

一人当たりの車の保有台数が変わらないとすると、現在の極端な売り上げ不振(年間換算1050万台ペース)から、回復するにしてもピーク時より350万台位減るだろうというのが、ファイナンシャル・タイムズの見方だ。

ビッグ3の米国内シェアは20年前は75%だったが、90年代後半から急速に下降して現在は48%である。このシェアから考えると2006年にはビッグ3の車が9百万台売れたが、今後の販売見込みは650万台程度という計算になる。つまりビッグ3ではなくビッグ2がやっていけるだけの販売台数しかないだろうとファイナンシャル・タイムズは推測している。

今回のビッグ3の救済について多くの米国人が懐疑的なのは「目先の運転資金を税金から融通しても、車が売れないからやがて救済先が破綻するだろう」と見ていることだ。

先進国はどこでも車は飽和状態なので、販売先は発展途上国に求めることになる。しかし今日ニューヨーク・タイムズを見ると中国でも自動車メーカーが販売不振と低燃費車開発のため政府に資金援助を求めるかもしれないという記事が出ていた。発展途上国でも車の販売は落ちているのだ。クライスラーを別とすれば海外でブランド力のあるGMとフォードだが、海外に活路を見出すのも難しい状況だ。

だがこれは対岸の火事ではない。この不況がしばらく続くと日本の自動車メーカーでも悲鳴を上げるところが出てくる。日本はアメリカよりも生活必需品としての車への依存度が低いので、消費者は徹底的に買い控える可能性がある。

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森を見るか木を見るか

2008年11月19日 | 株式

「木を見て森を見ず」という格言がある。相場に当てはめるなら、世界の景気動向や金利動向などのファンダメンタルを軽視して、個別企業の業績やテクニカル分析に走ることを戒めていると受け止めるべきである。「タクティクス(戦術)を知りて、ストラテジー(戦略)を知らざるものは終に国を失う」という主旨の文章を大村益次郎を描いた司馬遼太郎の「花神」の中で読んだ記憶があるが、これも同じ主旨である。

今日(11月19日)の日経新聞に「個人がETFを活発に買っている」という記事が出ていた。「これまで投資をいていなかった層が、株価は割安と動き始めた」(野村證券)ということだ。これは「森を見た」戦略で間違いは少ない戦略だ。今が絶好の買い時かどうかは別として分散投資がリスクの少ない投資であることは間違いない。

しかし「森を見て木を見ない」リスクもある・・・と私は考えている。例えば今パフォーマンスが悪いのは輸出関連や輸送用機器関連などだ。これは円高や世界的な自動車業界の不振を考えると当然かもしれない。

ただその流れを見て個別企業を見ないと、優良銘柄を見落とすことになる。一例を挙げると世界的な自転車部品メーカーの「シマノ」だ。シマノの株価(11月18日終値)3,180円(PER13倍弱)が妥当かどうかはプロのアナリストの意見に任せるとして着目する点が幾つかある。一つは高級自転車部品で8割近いシェアを持つ優良企業という点。また日本からの輸出は円建てなので為替の影響を受けない点(東南アジアの生産拠点からの輸出はドル建て)。最後に世界的な不況の中でも増収増益基調を維持している点だ。

このような企業がひょっとして「輸出関連」「輸送機関連」として放置されているとすれば、もったいない話である。

これは一例に過ぎないが、技術力のある日本企業の中には他にも「疾風に勁草を知る」ような企業があるだろう。「しばらくの間株式相場が膠着状態にある」という戦略感に立つならば、優良企業という「木」を見る戦術も面白いかもしれない。もっとも大嵐の前では良い企業も悪い企業も一まとめで売り叩かれることを経験すると尻込みするのが人情というものだが。

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