金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

今日は走るんだ

2009年11月21日 | サイクリング

11月21日土曜日。三連休であるが山に行く予定はない。仲間の都合から山行きは来週である。その代わり今日は自転車で走りたかった。なぜ走りたかったかというと、このところやや太り気味になっているからだ。どうも寒くなってくると、動物としての本性が頭をもたげるのか体が脂肪分を蓄えようとする傾向がある。このため11月に入ってから体重が1,2kg増加する傾向にある。

だから今日は走りたかった。自転車を漕いで体をしぼりたいと思った。

9時40分頃クロスバイクで自宅を出発。多摩湖自転車道経由でディノス(自転車店)に行き、後輪のディレイラーの微調整をして貰った。その後昭和記念公園に向かう。公園ではイチョウの紅葉を楽しむことができた。

Ichou

11月も下旬に近いが暖かい日だ。池ではボートを楽しむ人が多い。

Hune

ラーメンを食べた後公園を去り、多摩湖に向かった。地図は持参していないが、頭の中で「東村山警察署→青梅街道→かたくりの湯→多摩湖」というルートが出来上がったのでそれにそって走った。

東村山署から少し北に行ったところに慶性院という品の良いお寺があった。入り口近くに三体の石仏があり隣の看板に「水天像」だという説明があった。水天は十二天の一つだが祀られることは少ないとのことで、この水天様は都内三基の一つ数えられているいうことだ。

Suiten

慶性院を出て少し先を左に曲がり(つまり瑞穂町方面に走ると)、大曲(おおまがり)がある。更に青梅街道を西走して、「かたくりの湯」を目指す。今日は温泉につかるつもりはないが、「かたくりの湯は多摩湖に向かうルートの重要な中継ポイントなのだ。多摩湖の左岸を走って多摩湖を半周した。

Shusuiguchi

取水塔の向こうに西武球場のドームが見える。再び多摩湖自転車道を走り自宅に帰ったのは午後2時(途中で角上魚類で晩ご飯のおかずの魚を買った)。今日の走行距離は58.6km、走行時間は2時間26分だった。

快晴の晩秋。サイクリングは文句なしに楽しい。体を動かすことは気持ちが良い。そして次の一文を私は思い出した。

「第一回の大西洋シングルハンド・レースの優勝者であるフランシス・チチェスターは、1966年、イギリスのプリマスを出航した。・・・その時チチェスターは65歳になろうとしていた。1967年、再びプリマスに(彼のヨット)「ジプシー・モスⅥ」が姿を現すや、ロンドン市民は熱狂してこれを向かえ、エリザベス女王はチチェスターをナイトに叙した。そして、その熱狂の理由は、老チチェスターが彼自身の夢を生きたばかりでなく、「墓場への長く空しい旅」を続けている人々の夢をも生きてくれたからだ、とJ・R・L・アンダスンはいう」(沢木耕太郎・「馬車ははしる」)

☆  ☆  ☆

僕達の中のあるものは、マラソンを走り、あるものは自転車で50km、100kmを走る。あるものは山並みを歩き、汗をかき、風に吹かれて満足する。

僕は「長く空しい旅」の中で惰性に流されることなく、なお立ち上がり走り続けるものに熱い共感を覚えている。

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米国、住宅ローンの遅延史上最高。日本は?

2009年11月20日 | 社会・経済

昨日米国のモーゲージ・バンカー協会は第3四半期の住宅ローンの遅延状況は同協会が1972年に設立されて以来、最悪になったと発表した。

1回以上住宅ローンの返済が遅れている人と競売に付されている人の割合は14.41%、つまり住宅ローンを借りている人の7人に1人が遅延状態だ。この内競売に付されている人の割合は4.47%で、これは1年前の2.97%の5割り増しだ。同協会のエコノミスト・ブリンクマン氏は「明らかにこの変化は雇用状況の悪化に起因する」と述べている。

これまでの不況時には、職を失っても住宅価格が下落していなかったので、住宅ローンを借りている人は自宅を売却して別の都市で仕事を探すか少なくとも賃貸物件に入居するなどライフスタイルを変えることができたが、今回は住宅ローンの残債よりも自宅の価値が下がっているので、そのような選択肢がない。

住宅の競売は失業よりも遅行するので、モーゲージ・バンカー協会は、競売のピークは2011年になるだろうと予想している。

ところで日本の住宅ローンでも遅延が増加しているだろうと思い、少し調べてみたが簡単には包括的な統計データが見つからなかった。少ない情報の中で東京地裁のデータによると、2008年の競売申し立て件数は3,669件と2007年の2,636件の4割アップになり、日本でも競売が増えていることを示している。ただし絶対数で見ると米国の競売数は2百万件を越えるから比較にならないほど少ない。

次に全国銀行協会の個人情報センターの事故情報の割合を見ると2009年3月は2.3%で1年前より0.4%増加していた(これは住宅ローン以外のローンの事故も含む数字)。

07年のピムコの日本の住宅ローンのデフォルト率に関する記述を見ると「住宅金融公庫で0.1%から0.2%で、民間銀行では0.2%程度」とある。今回の不況でデフォルト率は上昇しているはずだが包括的な統計を見つけることはできなかった。

それにしても米国の住宅ローンの遅延者が7人に1人とは!これはサブプライム・ローンの問題ではなく、完全にプライム(優良)な住宅ローンの借り手が返済遅延に陥っていることを示している。米国の個人消費が復活するには時間がかかるだろうと改めて思わざるを得ない。

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どうして中国は元高に抵抗するのか?

2009年11月19日 | 金融

エコノミスト誌は「どうして中国は元高に抵抗するのか?」という記事を載せていた。この記事のポイントは「中国側の論理」を分析していることだ。相手の論理を理解する・・・ということは何事においても重要だ。特に為替問題はそうだろう。

中国が緩やかな人民元の上昇を容認するのではないか?ということはこのブログでも書いた。これは人民銀行が四半期金融政策レポートで為替政策に関する政策変更を示唆するコメントを書いたからだ。しかし為替政策は人民銀行マターではなく、国務院マターであり、特に担当の商務部は今のところ元高に反対している。従ってオバマ大統領と胡錦濤主席の会談でも主席は元高シフトを謝絶している。

他国が元高を主張する根拠は、元高は米国の貿易赤字問題のような、世界的なインバランスを修正するのみならず、中国にもメリットがあるということだ。元高は中国の輸出依存体制を修正し、より持続的な成長経路に導くということだ。

では何故中国は抵抗するのか?中国政府は「為替政策が不公平な優位性をもたらしている」という批判を否定する。例えば昨年の世界的な金融危機時に他の新興国の為替レートは大幅なドル安になったが、中国はドルにペグすることで為替レートを維持した。2008年当初に較べると実際元は円を除いて上昇してしている。

また中国政府は自国の金融政策と財政政策が世界のバランス回復に大いに貢献していると主張する。中国の内需は12%伸びているが、輸出は4%減少し、経常黒字はGDP比で2007年の11%から半分近い6%まで縮小している。中国の政治家は長期的には元が上昇する必要があるということを受け入れているが、輸出が減少している今は悪いタイミングだと言う。

投機家に元が緩やかに上昇するという観測を与えると、ホットマネーが流入し、国内に過剰流動性をもたらす。エコノミスト誌は、これを避けるためには恐らく25%程の大きな元の切り上げが機能するだろうが、これは一夜にして多くの輸出業者の仕事を奪うので政治的には受け入れられないという。

そしてエコノミスト誌は「中国は多分来年の早い時期に元が再び上昇することを認めるだろう。何故なら中国の輸出は成長路線に復帰し、GDP成長率は10%近くなり、インフレ率はプラスになるので、人民元の上昇をサポートする意見が大きくなるだろう」と結論つけている。

☆   ☆   ☆

エコノミスト誌の予想のとおり、来年初めに元高が始まるかどうかは分からない。何故なら中国の輸出成長率がプラスに転じるためには、欧米の消費が回復に向かう必要があるからだ。しかし失業率の状況などを見ると欧米の景気回復は楽観視できる状態ではない。

不確かなことが多い中でより確かなことは、長期的には中国は輸出依存度合いを減らさないと成長が持続しないということだ。欧米・日本の消費者のふところや押入れは増加する中国製品を買い続けるほど大きくはない。

中国が次の成長ステップを内需に求めざるを得ないことは自明の理である。内需を拡大するには中流階級以下の所得を拡大していく必要がある。より多くの給料を支払うために中国企業は売上高ではなく、利益を拡大していく必要がある。

だが日本でもこれらのことは簡単ではない。中国にとっても効果的な内需拡大は極めて困難な課題だと私は見ている。非効率な内需~つまり無駄な投資~を作ることは簡単だが、本当に有用な投資を行うことはそれ程簡単ではないと私は思っている。

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ゴールドマン、金融危機での振舞いを謝る

2009年11月18日 | 金融

昨日久しぶりに昔勤めていた銀行の国際部の連中と酒を飲んだ。この連中はよく喋る。よく喋って楽しいお酒だったが、家に帰ると午前様、さすがに疲れた。私の経験では国際業務に携わっている人はよく喋る人が多い。ビジネスの相手方のアメリカ人がよく喋るからお喋りになったのだろうか?それとも話好きだから国際業務を選んだのだろうか?そこのところはよく分からない。

さてお喋り好きのアメリカ人だが、時として「口は災い」を招く。1週間ほど前ゴールドマンザックスのブランクフェインCEOは英国のサンデータイムズ紙のインタビューで「我々は神の仕事をしている」と話をしたが、言葉尻をとらえられ、相当な批判を浴びた。

昨日同CEOはニューヨークのカンファレンスで「チープ・クレジット・ブームに参加して、金融危機前のバブルに油を注いだことを後悔している」「我々は明らかに間違ったことに参加したので、後悔する理由がある」「我々は過ちをわびる」と述べた。

その数時間後ゴールドマンは「1万のスモールビジネスを援助するため、向こう5年間で5億ドルの投資を行う」と発表した。この投資プログラムは、ゴールドマンの大株主である著名な投資家ウオーレン・バフェット氏を共同会長とする審査委員会で監督される。バフェット氏は「このプログラムは最近のゴールドマンに対する批判に対応したものではない」と述べている。またゴールドマンはスモールビジネス援助プログラムは1年前から計画されてきたものだと述べている。

ところで5億ドル、今の為替レートで450億円は中々大きい金額に見えるがゴールドマンにとってはどうだろうか?

トレーディングで巨額の利益を上げた同社の今年の人件費は218億ドルに達すると推定されるので、5億ドルは人件費の2.3%に過ぎない。ほんの少し幹部のボーナスを抑えると簡単に捻出できる金額である。

また第3四半期にゴールドマンはトレーディングで1億ドル以上稼いだ日が36日あるとFTは紹介している。つまり年間の拠出額1億ドルは相場の良い日の一日の稼ぎなのだ。

皮肉はこの程度にして、巨額の利益を上げている投資銀行が、スモールビジネスを支援するため教育プログラムや融資プログラムに資金を提供することは良いことだ。支援を受けるスモールビジネスにもプラスだし、ゴールドマンの評判にとってもプラスになる。

日本の大手銀行の大手銀行の中にも、ゴールドマンの真似をすると亀井圧力をかわせると考えているところがあるかもしれない。

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米中経済関係を巡る4つの俗説

2009年11月17日 | 国際・政治

50最近ブログに書いた幾つかの記事にご批判やご賛同を頂いています。貴重なご意見どうもありがとうございます。

私がブログに幾つかの外国の有力紙(誌)の見解を紹介している理由は、そこに掲載された総ての意見に組している訳ではありません。しかしそのような意見は内外の政治家や投資家達に影響を与えそれが日本の政治経済に影響を与えると考えているからです。好き嫌いは別として大きな影響力を持つクオリティ・ペーパーの意見は参考にするべきでしょう。

☆   ☆   ☆

さてオバマ大統領の訪中の最中、米国の有力シンクタンク・外交問題評議会Council on Foreign Relationsは「米中の経済問題については4つの俗説があるが、事実と俗説を分けて考えるべきだ」というレポートを発表しいてる。このようなレポートは米国政府関係者が読むだけでなく、私は中国の関係者も読むのだろうと考えている。またレポートの書き手も当然そのことを期待しているはずだ。広い意味の情報活動とは「敵を知り己を知る」とともに、相手に己の知見を伝えることも含まれると私は考えている。

レポート(著者Dunaway氏)が上げる4つの俗説とは「米国は中国からお金を借りているから、交渉に限界がある(中国は米国の銀行)」「米国は中国の安い輸入品に依存している」「中国の政策変更について外部圧力を加えることは逆効果を生じる」「社会的不安定は中国にとって悪いことだ」というものだ。

個々の俗説については後ほど説明するが、著者は「これらのことは俗説なのだから、オバマ大統領さん、言うべき主張は遠慮せずにしてください」と述べている訳だ。

さて最初の「中国は米国の銀行」という俗説についてだが、中国は2兆3千億ドルの外貨準備の7割を米ドルで保有していると推定される。レポートは「中国は米国の大顧客ではあるが、銀行ではないし、米国は財政赤字のファイナンスを中国に依存していない」と言う。もし中国が米国債を買わないという選択をした場合、全世界的に公的資金や私的資金の買い手が現れる。この場合新しい買い手を誘引するため、米国政府は多少国債金利を引き上げる必要があるかもしれないが、引き上げ幅は小さいだろう。(この後レポートは中国政府がドルの替わりにユーロを準備通貨になるとどうなるなど幾つかのシナリオを展開しているが省略する)

「中国の安い輸出品に依存している」俗説については、レポートはこれは全く真実ではないと言う。米国は衣料、繊維など多くの消費財を中国から輸入しているが、もし中国からの輸入がストップしても、他国から輸入するか自国で生産することが可能だ。恐らくコストは少し上がるだろうが。実は依存関係は逆で、中国が輸出先の米国に依存している。中国は今年政府の景気刺激策で8%成長が達成可能だが、米国向けの輸出が増えないと来年はこの目標達成が苦しくなる。

「外部圧力は逆効果」俗説について、レポートは「外部圧力の影響を受け易いと思われたい国はないが、外部圧力がないと政策変更をするインセンティブは少ないというのが真実だ」という。

うーん、何ともpusy(押し付けがましい)物言いである。かって米国はこのような「教義」に基づき、日本に構造改革を求めてきたものだ。

だがレポートは「このことは特に中国においては真実なのだ。何故なら中国政府は過去の成功体験に縛られていて現状維持傾向が強い。2008年8月から外部圧力がなかったので、中国は人民元を再びドル相場に固定した。」と続ける。

最後は「社会不安」俗説で、レポートは「中国政府は中国内部の社会的不安定は中国の経済成長にマイナス効果をもたらすので、世界に悪影響を及ぼすと示唆するが、社会的不安定や不安定に対する警戒心は、中国の経済政策を変える上で大きな役割を果たしている」と述べる。例えば沿岸部と内陸部の所得格差による社会的不安定に対する懸念が内陸部開発政策を促進した。

☆   ☆   ☆

ざっと見たところこの「4つの俗説」論にはすっと入る部分と若干疑問を持つ部分がある。そのことの真偽は別として、米国のシンクタンクがこのようなメッセージを発していることは今後の米中交渉を予想する上で一つの材料になると私は考えている。

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