金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

富裕層資産でアジアが欧州を抜いた

2010年06月23日 | うんちく・小ネタ

ファイナンシャル・タイムズはメリルリンチの富裕層に関する調査の概要を報じていた。

自宅を除いて100万ドル(約9千万円)の資産を持つ個人を富裕層と定義したこの調査によると、昨年末時点でアジア・太平洋地区と欧州には各々約3百万人の富裕層がいる。富裕層の資産合計ではアジア・太平洋地区が9兆7千億ドルで、欧州が9兆5千億円だ。初めてアジア・太平洋が欧州を抜いた。地域別で南アーワンなのは北米で約3.1百万人の人が10兆7千億ドルの資産を持っている。

世界の富裕層の数は約1千万人。この内約半分は米国、日本、ドイツにいる。だがこの分野でも中国は追い上げていて富裕層の数は48万人で4番目になった。インドの富裕層も2009年に倍増して12.7万人になった。

富裕層が減少したのは中東地区でドバイの不動産危機で、富裕層は19%減少した。

☆   ☆   ☆

ところでglobal rich listという面白いサイトがある。http://www.globalrichlist.com/

これは収入ベースであなたが世界で何番目にリッチか?を直ぐ計算してくれるサイトだ。このサイトを使ってフローベースだけれど年収が幾らくらいあると世界のトップ1千万人に入るかを計算してみた。結果は大体年収2千26万円程度で1千万人に入ることが分かった。

もしお時間があればこのサイトであなたが世界で何番目にリッチか調べてみると面白いだろう。

ただしこのサイトの目的はよりリッチになるためあなたの貪欲さを奮い立たせるものではなく、もし自分はリッチなんだと感じたら、貧しい人に寄付をしてあげてくださいというものだ。

トップ1千万人は世界の総人口の僅かに0.16%に過ぎない。年収が500万円の人でも世界のトップ2.16%なのだ。世界には一日2ドル以下で暮らす人が30億人いるという。

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クルーグマンも結構批判されているね

2010年06月22日 | 社会・経済

ニューヨーク・タイムズにポール・クルーグマン教授がNow and Laterというタイトルで「経済が停滞している今こそ支出を増やすべきだ」という小文を寄稿していた。

クルーグマンの主旨は「米国の財政赤字の大きな原因は経済危機による税収減と金融システム救済による支出で危機が緩和すると改善する。予算局の予測では景気が回復するとGDPの10%に相当する赤字は2014年には4%に削減される。もっともこれで財政均衡が図られるわけではない。財政を改善させるにはヘルスケアコストの削減を中心に支出削減を図る必要がある。また5%の付加価値税を導入するべきだ。だが今は税制緊縮策をとるべき時ではない。景気が回復してから財政均衡を目指すべきだ」というものだ。

このエッセーには今時点で238のコメントが寄せられていた。ざっとみると批判的な意見が多くストレートに賛成という意見は少なかった。

短くて面白いコメントを紹介しよう。Pau, it sounds Greek to me.「ポール、それは私にはギリシアに聞こえるよ」

The Japanese has been following your advice for the past 15 eyears・・・ How has that working for them?

「日本人は15年間あなたのアドバイスに従ってきたけれど・・・それはどのように効き目があったの?」

同氏の意見に賛意を示す人も「財政支出削減のために軍事費を削減するべし」とか「代替エネルギー開発など長期投資を行うべし」など付帯条件付が多い。

☆  ☆  ☆

日本では菅内閣が「強い経済 強い財政 強い社会保障」をスローガンに掲げた。ただこれだけでは単なるwish listを並べただけに過ぎない。財政支出を抑制しながら、以下に経済を強くするか?社会保障を充実させるか?の具体策が課題だ。

「ITで70兆円の市場創出」というのもスローガンとして悪くない。しかし目的と手段が倒置するとこれはおかしなことになる。「IT技術を使って、公共サービスを合理化する」「消費者にとって利便性が高く、コスト負担の少ない医療サービスを生み出す」という目的が明確化しないで、市場創出が目的化すると巨大な浪費に終わる。

今こそ限られた財政支出を如何に有効に使うか?が問われる時はないだろう。

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中国が工業生産高で米国を抜く日

2010年06月22日 | 社会・経済

ファイナンシャル・タイムズは米国の著名な経済コンサルタント会社・IHSグローバルインサイト社が2011年に工業生産高で中国が米国を抜き世界一になると予想したと報じている。

米国は1890年代後半に英国を抜いて、工業生産高で世界一になったが、110年でその座を中国に譲ることになりそうだ。

ボストン・コンサルティング・グループのSikin氏は世界一の座を中国に譲ることについて米国は過度に悲観的になるべきではないと述べている。曰く「人口で4倍、賃金で10分の1の国がいづれの日か工業生産能力において前にでることは明らかなことだ」

IHSによると昨年の米国の工業生産高は1兆7,170億ドルで、中国は1兆6,080億ドルだったが、2011年に中国の工業生産高は1兆8,700億ドルになり僅かに米国を超える見込みだ。

これはインフレ調整前のドルベースの予想で、インフレ調整後では米国のインフレ率は中国のそれよりも低いので中国が世界一になるのは数年遅れて2013-14頃とIHSは予想している。

いずれにせよ中国が工業生産高で世界一になると、1850年代にその座を英国に奪われてから150年ぶりに返り咲くことになる。中国は英国にその座を奪われるまで1,500年以上工業生産において世界一であった。

後世の歴史家は中国は150年の停滞を経て再び世界一の地位に戻ったと書くだろう。これは私見だが。

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【数字は語る】山岳事故の39.8%は道迷い

2010年06月21日 | 

今週の日経ヴェリタスの中に、「登山市場、けん引役は『山ガール』」という記事が出ていた。日本交通公社が昨年10月に実施した「旅行者動向調査2009」によると、「09年に初めて登山を楽しんだ人」の割合は1.2%で、20代後半の女性に限ると5.2%に跳ね上がるということだ。

私の会社の山の会でも友達の若い女性の同僚が昨年初めての山登りで私達の登山に参加してくれた(残念ながらその後の参加が途切れているが)。

ところでヴェリタスの記事によると、インターネットに押され気味の紙のメディアも登山関連では健闘していて、分けても紙の登山地図には根強い人気がある。そして首位を独走するのが昭文社の「山と高原地図」ということだ。

私は原則山岳部時代の習慣で国土地理院の2.5万分の1の地図を使っている。2.5万分の1の地図は等高線等がはっきりしているので地形の読み取りができるからだ。一方一つの山に行くのに何枚もの地形図をそろえなければならないとかコースタイムが読めないという不便もある。まあ夏山に一般ルートを登るのであれば昭文社の地図で良いだろう。

ところで地図の重要性は山岳事故の最大の原因が道迷いで39.8%を占めることを警察庁が昨年7月に発表しているデータは示している。

私は直感的に滑落や転倒の方が事故原因として多いと思っていたのでやや意外であるが滑落(18.1%)と転倒(13.7%)を足しても、道迷いより少ない。なお自己原因の割合は40歳以上の中高年に関してもほぼ同じような割合である。

警察庁の統計は「何故道迷いが起きるのか?」までは分析していないが、どのようにして道迷いが発生するかは事故防止の観点から重要な分析課題だろう。例えば「地図を持っていなかった」とか「リーダーや仲間からはぐれた」などの分析をすれば事故防止に資するかもしれない。

人生の荒海という難路を海図なしに歩いてきた人達は地図を軽視する傾向があるのだろうか?あるいは時として登山路にある不確かな標識を盲信して歩き続けることが迷いを深めるのだろうか?

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人民元上昇でアジア株全面高

2010年06月21日 | 株式

ファイナンシャルタイムズによると、本日(21日)の人民元の対ドル相場は金曜日のレベルと変わらない水準でスタートしたが、午前中の遅い時間に6.8154元に上昇した(上昇幅は0.16%)。これは21ヶ月ぶりの人民元の高値だ。

中国人民銀行は先週土曜日に人民元は通貨ペグを解除し、人民元をよりフレキシブルにすると発表した。ところが日曜日には一時的な切り上げを否定し、人民元を大きく切り上げる理由はなく、人民元を安定した水準で保つと発表した。

この二つの矛盾を含む発表は人民元問題に対する中国当局の難しい立場を示している。国際的に人民元切り上げの要求は高まるし、中国の経済通の中にも人民元を実勢に近づける方が持続的で安定的な経済成長に資するという意見が強い。一方人民元高が輸出競争力を弱めるとして警戒する政府高官も多いからだ。

実際今朝一番で人民銀行が示した為替中値は先週と同じ水準だったが、3ヶ月もの元先物は0.6%高になっていた。これはトレーダーが元の1.2%上昇を予想したことを示している。現物市場の上昇は先物が牽引した形だろう。今後中国政府がどこまで元高を容認するかトレーダーが瀬踏みをしてくるだろう。

人民元高は中国の購買力を高めるので、中国向け輸出シェアの高いアジア諸国は全面的な株高。日本株もコマツなど中国関連株を中心に上昇している。

☆   ☆  ☆

ところでKeep calm and carry onからエコノミストの予想に関する箴言を一つ紹介しよう。

What we anticipate seldom occurs; what we least expect generally happens. Benjamin Disraeli

「我々が期待したことは滅多に起こらず、最も少なく予想したことが一般的に起きる」ベンジャミン・ディズレーリ(英国ビクトリア朝期の首相)

幸いなことに人民元の切り上げは紆余曲折を経ながら実施されそうだ。ペースは遅いとしても。このことは暫く世界のリスクテイク意欲を元気つけるだろう。だがその後どうなるのか?

もし過度の株価上昇期待があるとすればそれはseldom occursかもしれない。

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