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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ジャンクボンド、最後に損をするのはやはり個人?

2012年10月29日 | 金融

ニューヨーク・タイムズに今年のジャンクボンドの発行額が史上最高になったという記事が出ていた。デーロジック社によると、単年度のジャンクボンドの発行額の記録は10月18日に破らえた。現在までの今年のジャンクボンドの発行額は2,930億ドルですでに2011年全体の発行額2,490億ドルを凌駕した。

今年の第3四半期までは機関投資家も個人投資家も同じようなペースでジャンクボンドに投資してきたが、記事によるとここ数週間は機関投資家は危険度が高まったジャンクボンドから引き気味だが、個人投資家の買いは続いているという。10月の最初の3週間で個人投資家はジャンクボンドに21億ドルの買いを入れたが、機関投資家は2.6億ドル資金を流出させた。

ジャンクボンドは直訳すると「屑債券」。ジャンクボンドのジャンクは、ジャンクフード、ジャンクメールで使われるJunkだ。Junkが何故「屑」を意味するかについては、ジャンク船と呼ばれる中国の船で東南アジアに移住した人達が出すゴミのことに語源があるという説があるそうだ。

金融用語でいうとジャンクボンドは「非投資適格債券」で、格付がBB以下のものを指す。本来賢明な投資家は避けるといわれているこのセクターに資金が流入している最大の理由は連銀の金融緩和政策のお陰だ。連銀が住宅ローン担保債券を購入して、市場に大量の流動性を供給し、住宅ローン担保債券や国債の利回りは大きく低下した。従来であればこのような状況下では株式が大きく買われたが、リーマンショック以降株式投資でやけどをした投資家は株式市場に不信感を抱いていて、ジャンクボンドに向かったということだ。

だがここにきて、リスクの高い資金使途~買収やプライベート・エクイティに対する配当支払い~のために債券を発行するケースが増えていて、機関投資家は敬遠し始めたという話だ。

最後にババを掴むのは個人。洋の東西を問わずこれは真実かもしれない。

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チープだけど健康で知的な土曜日

2012年10月27日 | うんちく・小ネタ

10月27日、10月最後の土曜日だ。昨夜は有楽町でスキー仲間の素敵な女性とワインを傾けご機嫌だったがその後がいけなかった。遅い時間の西武新宿線は猛烈な混み方で、準急を見送り、上石神井までしか行かない各停を乗り継いでギリギリ帰宅した次第。

面白うてやがて悲しき鵜舟かな 芭蕉 である。

西武池袋線が人身事故で運休し振替輸送を行なっているというアナウンスがあったがそのため異常に混んだのだろう。今朝の新聞を見ると「池袋線の椎名町付近の踏切で車椅子の男性が電車にはねられ死亡」という痛ましい記事がでていた。ただご冥福を祈るのみ。

さて色々出費のかさむ今日この頃。今日はチープに、しかし健康で楽しく半日を過ごすことを考えた。暑くもなく寒くもないこのこの季節の天気が良い日はサイクリングが一番だ。サイクリングの後はスポーツクラブの岩盤浴で寝転んで本を読もうというのが今日の粗筋だ。

今日は野川公園から野川サイクリングロードを調布辺りまで往復することにした。往路は小金井公園を横断して武蔵野公園から野川公園に入った。野川サイクリングロードは幅が狭くかつ一般道との交差が多いので、シリアスな自転車ライダーにはほとんど出会わない。しかしポタポタ走るには手頃なコースである。調布は布多天神という神社を目標にしたが、こちらは事前調査不足で近くまで行きながらたどり着けず断念。

帰路はルートを変えて武蔵境通りを真っ直ぐ北上してみた。

「musashisakai.pdf」をダウンロード

武蔵境通りは深大寺付近から東八道路にかけて道が拡幅され大変走りやすくなっている。さらに今日はじめて気がついたが連雀通りから北に向かって道路が整備され中央線を真っ直ぐ越えていたのにはびっくりした。これで神代植物園に行きやすくなるし、多摩川サイクリングロードにも行きやすくなった。感激。

さてお昼は田無駅付近のフジカフェという喫茶店のモーニングセットで済ませた。この店は3つの良いことがある。一つは「終日モーニングサービスをやっていること」二つ目は「コーヒーのおかわりが自由であること」三つ目は「無線LANが使えること」だ。

Fujicafe

これで590円悪くはないと思う。

喫茶店でゆっくりした後ティップネスの岩盤浴に寝そべりながら塩野七生の「ローマ人の物語」の終わりに近い部分「ローマ世界の終焉」を読んだ。

「ローマ人の世界」を読むとローマ型の民主主義やその後の良き君主制は米国に伝わっていると改めて思う。

「ローマ人の物語」の孫引きだが、イタリアの教科書に次のような言葉があるそうだ。「知性、身体の健全、類なるまでの寛容、持続する意思、説得力 この5つの特性を備え持った人物はシーザーしかいない」

色々批判のある今回の大統領選挙だが、選挙民が審判しているのは個々の政策というよりは、次のリーダーがどれほどこれらの特性を持っているか?という点だろう。

塩野七生は「ローマ世界の終焉」の中で西ローマ帝国が滅んだ後約千年も東ローマ帝国が存続できた理由を次のように述べている。

「東ローマ帝国にも問題は西方と同じに大きかったのだが、それに対処する人が腰を落ちつけて対処できた利点は大きかった。現代的にいえば政局安定である、現代でも、選挙で選ばれた大統領や首相に、五年から七年の任期を保証するのもそのためである」

ところが日本ではこのところ毎年のように首相が変わる。大臣に至ってな3年の間に7,8人が変わるという忙しなさだ。歴史に照らすと亡国の兆しのような気がする現象である。

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人類はなぜ地球を歩いたか?

2012年10月27日 | うんちく・小ネタ

「人類(ひと)はなぜ地球を歩いたか?」とは随分大袈裟な題であるが、昨日聞いた「だから人類は地球を歩いた」という講演を踏まえて考えている。

講演を主催したのは国立民族博物館と日本経済新聞社だ。講演内容は二つだった。最初はアフリカで誕生した人類が初めて海を渡りオセアニアに移動していった話で次はベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に行った話だ。

後者の方に関心が高いので後者の話をしよう。

人類が何万年か前にベーリング海峡を越えてロシア側からアラスカ側に渡ったことは漠然とは知っていた。しかしどのようにして渡ったのか?などということは深く考えたことはなかった。

民族博物館の関教授によると、人類がベーリング海峡を越えたのは氷河期の頃(最近の氷河期は1万万年位前に終わっている)。氷河期には蒸発した海の水が氷となって陸地に残るため、海の水が減って陸地が増える。だからベーリング海峡も陸続きの状態になり歩いて渡ることができたというお話。それまで私は人類は氷結したベーリング海峡を歩いて渡っていたのか?と思っていたが、一つ賢くなった。

関教授によると南北アメリカを通じて「最初のアメリカ人」の現存する遺跡としてもっとも有力視される遺跡がチリ中部のモンテ・ベルデ遺跡で1.3万年くらい前のものらしい。

氷河期の最中ベーリング海峡を越えた人類は何千年かかけてアメリカ大陸を北から南まで移動したようだ。

ところが関教授によると氷河期の北米今のカナダがある部分は東から西まで巨大な氷床に覆われていて人類が移動できるような状態ではなかった。巨大な氷床に南北を貫く「無氷の回廊」が出現するのは1.2万年位前なので、人類はいかにして南下したか?という疑問が起きる。少なくとも1.3万年の何百年か前に南下を始めていないと辻褄が合わなくなるからだ。

それに対して関教授は北米大陸の西海岸沿いを船で南下したと考える説が有力だと示唆していた。

でも次々色々な疑問が起きてくる。ベーリング海が歩いて渡ることができる頃、更にはベリーング海峡までユーラシア大陸東岸を北上できる頃、ベーリング海より南の北米北部にはどうして巨大な氷床があったのか?などなど。

でも最大の疑問は何故人類はアメリカ大陸を縦断するという壮大な旅にでたのか?ということだ。

この点講演された先生方にもまとまったアイディアはなく「環境要因などが考えられるが人間が持つ好奇心といったものを考慮に入れないと説明がつかない」といった説明だった。

★    ★    ★

人類学にも考古学にも何の知見も持たない私だが、この問題つまり「人類はどうして遠くに行くのか?」という点についてある仮説を持っている。

それは「人間の基本的な遺伝子の中に『未知を求めて遠く旅をしなさい』という命令が組み込まれている」というものだ。

うろ覚えだがコーランの一節に「未知を求めて遠く旅するものに幸いあれ」という句があった。

強い繁殖力と火と武器を持つことによって野生動物を捕食する力を持つようになった人間がひと所に留まると縄張り争いが起きて共食いが始まる。そうなる前に新しいフロンティアを拡大しろというのが遺伝子の命令だ。また定住生活では血が濃くなっていくという遺伝上の問題が発生するが、移住や旅人との交流はそれを防ぐ。古代の日本では地方の人は都から旅人を「貴種」として娘に夜伽をさせたという話を聞くがこれはまさに古人の知恵だ。

旅は情報をもたらす。マルコポーロの東方見聞録は、西欧人に日本の黄金に対する強い興味を引き起こし、それが大航海時代につながっていく。旅は人類発展の原動力なのだ。

学問って面白いなぁ。そして学がなくても空想を巡らせるってもっと面白いなぁと思った次第。

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アマゾンの安売り、米小売業の脅威

2012年10月26日 | 社会・経済

アマゾンが昨日発表した第3四半期の決算は、274百万ドルの純損失。内169百万ドルは2010年に買収したLivingSocialというオンラインクーポン会社に関わるものだが、それを除いた本業でも損失がでている。発表直後に株価は9%ほど急落したが、最終的には2.4%の下落まで回復した。株価が急反発したのはアマゾンの経営戦略を評価する投資家が多くいるということだろう。

アマゾンの戦略は他の米国企業と大きく異る。株主の発言力が大きい米国企業経営では、利益を最重視するが、アマゾンは違う。アマゾンは利益よりも成長性と市場シェア拡大を重視している。そのアマゾンの戦略を支持する投資家がいるということは、アマゾンには強力な援軍だが、商売上の競争相手にとっては、違うルールで格闘技を戦っているような違和感があるだろう。

昨日は日本でも電子本を読むことができるタブレット・キンドルを12月に販売開始すると発表したアマゾン。日本の新聞を見るとアマゾンとアップル・グーグルを並べてタブレット端末の性能や価格を比較した表を見かけるが、このような比較はアマゾンの本当の姿を見失う可能性がある。

アマゾンは電子機器メーカーではなく、小売業者なのである。もちろんリアルな店舗を持つ小売業者ではなく、オンライン上の小売業者だが。だからアマゾンの競争相手はアップルではなく、Radio Shark、Best Buyといった家電小売業者など小売業者なのだ。

アマゾンの安売り戦略は、リアルな店舗で営業する家電量販メーカーなど小売業者にとって大きな脅威で、たとえば昨日第3四半期は大幅減益になるだろうと発表した家電小売業Best Buyの株価は10%急落した。

アマゾンは全米各地で巨大な配送センターの建設を急いでいる。その投資負担が利益を圧迫しているが、巨大配送センターが完成すると、アマゾンは配達に要する日数を一日短縮することができると言っている。これはリアルな店舗を展開してる小売業にとってはさらに大きな脅威だろう。

ユニクロがデフレを助長するという主旨の本がちょっと売れたことがあったが、同じノリでいえば米国で巨大なインフレストッパーになっているのは、アマゾンだ。だがそのお陰で今後退場を余儀なくされる小売業者が続くのではないか?

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キンドル本をNexus7で読んでみた

2012年10月25日 | デジタル・インターネット

今日(10月25日)アマゾンが日本でキンドル端末を発売すると正式に発表した。私はアマゾンの優良顧客(笑い)なので、アマゾンからメールで端末販売の案内が来ていた。一番安い8,480円のpaperwhiteという端末は今予約すると12月2日の週に出荷されると書いてあった。

Kindle端末に興味はあるが、最近Nexus7を買ったばかりで自宅にタブレット端末がゴロゴロしていてもしょうがないので、当面Kindleを買う予定はない。ただし販売されている日本語のキンドル本については、参考までに1冊買ってみた。

購入方法はNexus7のPlayストアからKindleアプリをダウンロードして本を発注するという簡単なものだ。「磯野家の相続」という本はペーパー版の半額以下の500円ほどだったので、参考までにダウンロードしてみた。

Blog

開いてみるとこんな感じで結構読み易い。むしろこの本に限ってかもしれないが、1ページに書かれている文字数が少なくあっという間に読んでしまうので、ページをくる手間がかかりそうだ。

Kindle

日本でも電子本の売り手は揃ってきた。タブロイド端末と電子本は今年後半の一つの目玉だ。だが本当の意味はそれをどう使うか?それで何を読むか?である。日本の電子本はマンガ本が多いようだが、これは新しもの好きの若者は活字離れでマンガ好きということなのか。

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