ニューヨーク・タイムズに今年のジャンクボンドの発行額が史上最高になったという記事が出ていた。デーロジック社によると、単年度のジャンクボンドの発行額の記録は10月18日に破らえた。現在までの今年のジャンクボンドの発行額は2,930億ドルですでに2011年全体の発行額2,490億ドルを凌駕した。
今年の第3四半期までは機関投資家も個人投資家も同じようなペースでジャンクボンドに投資してきたが、記事によるとここ数週間は機関投資家は危険度が高まったジャンクボンドから引き気味だが、個人投資家の買いは続いているという。10月の最初の3週間で個人投資家はジャンクボンドに21億ドルの買いを入れたが、機関投資家は2.6億ドル資金を流出させた。
ジャンクボンドは直訳すると「屑債券」。ジャンクボンドのジャンクは、ジャンクフード、ジャンクメールで使われるJunkだ。Junkが何故「屑」を意味するかについては、ジャンク船と呼ばれる中国の船で東南アジアに移住した人達が出すゴミのことに語源があるという説があるそうだ。
金融用語でいうとジャンクボンドは「非投資適格債券」で、格付がBB以下のものを指す。本来賢明な投資家は避けるといわれているこのセクターに資金が流入している最大の理由は連銀の金融緩和政策のお陰だ。連銀が住宅ローン担保債券を購入して、市場に大量の流動性を供給し、住宅ローン担保債券や国債の利回りは大きく低下した。従来であればこのような状況下では株式が大きく買われたが、リーマンショック以降株式投資でやけどをした投資家は株式市場に不信感を抱いていて、ジャンクボンドに向かったということだ。
だがここにきて、リスクの高い資金使途~買収やプライベート・エクイティに対する配当支払い~のために債券を発行するケースが増えていて、機関投資家は敬遠し始めたという話だ。
最後にババを掴むのは個人。洋の東西を問わずこれは真実かもしれない。