先週末神楽峰にバックカントリースキーに出かけた。神楽峰には「かぐらスキー場」の第5ロマンスリフトの終点からシールを着けて歩き出す。第5ロマンスリフトはバックカントリースキーやパウダースキー愛好者の間で「ゴロマ」と呼ばれるほど人気のリフトだ。
リフトの終点に登山届の提出を監視するスキー場の監視員がいて、ここでビーコンチェックを行っている。
ビーコンとはスマートフォン程度の大きさで電波を発信する機器だ。これを体に付けておくと万一雪崩に巻き込まれた場合同行者に埋没場所を知らせることができる(同行者もビーコンを持っている必要があるが)。
神楽峰はバックカントリーエリアとして人気が高く、また遭難事故も多い。そこでスキー場が遭難事故防止のためスキー場の出口にビーコンチェックポイントを設けた訳だ。
スキー場のホームページによるとバックカントリースキーヤーに「ビーコン」「食料・飲料」「バックパック」の持参を義務付けている。
その努力は多とするが敢えて問題点を指摘しておきたい。
第一は「ビーコンだけでは雪崩に巻き込まれた人を救うことはできない」点だ。雪崩に巻き込まれた場合、ビーコンで埋没者の大体の位置を特定した後ゾンテという3mほどの金属棒で埋没者の位置を特定し、スコップで雪を掘り起こし、埋没者を救出する。つまり3点セットと呼ばれる「ビーコン」「ゾンテ」「スコップ」が必要なのだ。
第二に神楽峰周辺のバックカントリースキーの事故は「雪崩ではなく道迷いで起きている」ことだ。致命的な道迷いは「谷筋に滑り込むこと」と「スキー場に戻ることができない斜面を滑ってしまう」ことだ。神楽峰周辺は広々としているのでホワイトアウトすると地図と磁石で現在地を特定することは難しい。そこで役に立つのはGPSだ。スマートフォンのGPS機能では不安が残る(バッテリー切れなど)のでできれば本格的なGPSを携行したいものだ。
ビーコンも本格的GPSも数万円する機器だ。余裕があれば両方揃えるにこしたことはないが、神楽峰周辺で敢えて一つ選ぶとすれば、私はGPSではないか?と感じている。
ビーコンは電源を入れているかどうかをゲートの受信機で簡単にチェックできるので、チェックは簡単だ。だが管理者側のチェックの容易さがビーコンチェックにつながっているとすれば、多少本末転倒という気がしないでもない。