金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本仏教八ヶ岳論

2007年04月08日 | うんちく・小ネタ

最近「お坊さんが困る仏教の話」(新潮新書)という本を読んだ。著者は村井幸三氏という民間の仏教研究家である。内容は日本の仏教を含む大乗仏教がどれ程お釈迦様オリジナルの仏教から乖離しているかということや江戸時代に始まった檀家制度が今日の葬式仏教化した日本の仏教を規定したかということだ。著者の語り口は柔らかいが高いお布施を払って立派な戒名をつける習慣等にメスを入れている。仏教の入門書としてお勧めできる本だ。

ところで週末山梨県の桜の名所のお寺を回りながら、八ヶ岳連峰を遠望しているとふとこの本をことを思い出し、更には「日本仏教八ヶ岳論」という自説の展開まで頭に浮かんできた。

日本仏教八ヶ岳論というのは簡単にいうとこうだ。八ヶ岳というのは赤岳を盟主として阿弥陀岳、横岳、硫黄岳、天狗岳などという個別の山の集まりを指す名称であるが、八ヶ岳という名称の山はない。

日本の仏教というのもこれと同じで天台宗、真言宗、浄土宗といった個々の宗派はあるが、仏教という統一された一つの教えはないのである。例えば日本の総ての宗派(主流は13あると言われている)が、共通して唱えるお経がない。般若心経は天台宗や禅宗では唱えるが浄土真宗では唱えず、浄土真宗で唱える浄土教系のお経は禅宗では唱えず・・・・という具合に「共通語」がないのである。

つまり日本のお坊さんというのは「黒い衣」を着ているという共通点を除くと、拝む仏様や唱えるお経まで全く違う場合があるということだ。

八ヶ岳に話を戻すと、「八ヶ岳」と聞いて初夏の高山植物彩る麦草峠や白駒池の風景を思い浮かべる人もいれば、烈風舞う大同心の垂壁を思う人もいるだろう。同様に仏教という言葉から阿弥陀様のいる西方浄土を思い起こしたり、寒風舞う中の托鉢を想像したりと仏教という言葉の持つイメージもバラエティに富んでいる。

つまり日本の仏教というカテゴリーには八ヶ岳の個性溢れる山々程に色々な宗派が存在するのである。私はキリスト教については仏教以上に門外漢であるが、キリスト教における各宗派の違いなど日本仏教における各宗派の違いに比べるとものの数ではないかもしれない。

狭い国土に個性溢れる宗派が林立する様は八ヶ岳の姿に似ていると私には思えるのである。私は日本の仏教がお釈迦様オリジナルの仏教から乖離したからそれだけで悪いという積もりはない。宗教も又風土の産物であり、時の権力との妥協の産物という側面も容認せざるを得ない。しかし花祭り(潅仏会、お釈迦様生誕の日、4月8日でたまたま今日だった)の日位お釈迦様が始められたオリジナルの仏教に思いを馳せ、今の日本の仏教は一体何なのだろうと考えても悪くはないだろう。

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山梨で花三昧

2007年04月08日 | まち歩き

この週末はM君と夜叉神峠から鳳凰三山に行く予定だったが、M君が風邪で体調不良というので、山は夜叉神峠までとして桜見物に切り替える。まずは塩山の滋雲寺の糸桜を見に行く。滋雲寺には前に桜の花が終わった後来たことがあり、いつか花の季節に来たいものだと思っていたが意外に早く実現した。

Jiunjitakizakura

山の南西斜面に立つ滋雲寺は陽光がさんさんと降り注ぎ、山門の前からは白根三山など南アルプスの山並みが良く見える。この日はあいにく空気がかすんで遠くの山は写真にはならない。

このお寺の前には桃やアーモンドがピンクの花をつけてあでやかだ。

Jiunjimomo

桃の花を見ながら草餅を食べた後国道20号に出て、夜叉神峠を目指す。11時半過ぎ峠下の駐車場に到着し、11時45分夜叉神峠に向けて標高差300mの道を歩き始める。峠への道はゆったりとした道で余り汗をかくこともなく50分の登りで峠に到着。目の前に雪を冠った白根三山が見えるが中腹から上は雪雲に覆われているので、良い写真にならない。弁当を食って下山。12時35分駐車場。ここから国道52号を身延山に向かって南下する。この富士川沿いの道はNHK大河ドラマ「風林火山」で山本勘助らが駿河と甲斐の往復に使う道である。

通り雨の中身延山久遠寺に到着。お寺の近くの駐車場へ入る道は大変混んでいるので参道途中の町営駐車場に車を止める。ここは1時間315円と良心的だ。

久遠寺の石段の高さは参拝者を一瞬圧倒する。

Kuonjiisidan

傾斜の緩い坂道の男坂や女坂を登る手もあるが、日頃山に登っている我々がひるむ訳には行かない。鼓動の高まりを感じながら上りきる。段数は280(一つ二つ数え間違いがあるかもしれない)だった。久遠寺の境内は立派な伽藍が立ち並んでいて、このお寺の財力を偲ばせる。有名な枝垂桜は花の盛りを過ぎ葉桜になろうとしていた。

Kuonjisakura

この日は久遠寺から少し甲府に戻ったところの山間にある下部温泉・ニュー山田ホテルに泊まった。一泊二食付1万円である。食事は十分満足したが、楽しみは写りの悪い小さなテレビしかなく巨人阪神線を観てからすぐ寝た。今自宅では大画面テレビやパソコン、オンディマンド・テレビなどといった遊び道具で時間を潰していることが多いので、山奥の宿屋に泊まると退屈してしまう。

翌日日曜日は本栖湖を経由して河口湖インターから中央道で帰京した。本栖湖手前のトンネルを抜けると目の前に富士山が圧倒的なスケールで広がる。

Motosukohuji

銭湯のタイル絵的ではあるが富士山は美しい。

美しいといえば山梨県の北と南を代表する様な桜巡りをした後、自宅に近い花小金井駅付近の円成院(えんじょういん)というお寺の桜を見た。樹がまだ若いので滋雲寺の桜の様な迫力はないが中々きれいである。100年位経つと有名になっているかもしれない。

Enjiuin

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