金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ハゲタカ、翼を広げて大空へ

2007年04月02日 | 金融

少し前にNHKのドラマ「ハゲタカ」が終わった。しかし現実の金融の世界では今ハゲタカつまりVulture fundsが、不良債権の匂いをかぎつけ舞い始めた。

エコノミスト誌は次の様に報じている。原題はThe Vultures take wing. Take wingはbegin to flyつまり飛び始めるということだ。

  • 過去3年間は企業収益は良好で、リファイナンスは容易だった。このため不良債権の発生が少なく、伝統的な不良債権ファンドはしぶしぶリスクは高いがまだ生きている債権つまりジャンクボンドに投資を行なっていた。
  • 今やサブプライム住宅ローンの崩壊で、不良債権ファンドに活路が開けてきた。投資銀行自体不良債券(あえて券を使った)グループを強化している。実際サブプライム住宅ローン問題で破綻し、銀行が救済を見送った企業に融資をつけたのは、不良債権ファンドである。
  • かっては専門家向けの禁猟区であった不良債権はメインストリートの投資家を惹き付けている。アルトマン教授によると170の機関がもっぱら不良債権に投資を行なっている。「疲弊した債券」に賭ける戦略はヘッジファンドの好む戦略リストに入っている。

確かに好況期に不良債権は減っていた。しかし緩過ぎた信用供与のために、一度リセッションが始まるとデフォルトが予想できないレベルまで跳ね上がる懸念が出ているのだ。

  • 次の不良債権の波は前2回と様相が異なるだろう。一つは商業銀行が処理プロセスを攻めるということはない。S&Pによるとヘッジファンドの様なノンバンクが金利の高いレバレッジローンの約半分を実行している。
  • ヘッジファンドはクレジットカード並の高い金利を取るだけでなく、Loan-to-own戦略を取る。つまり融資先が破綻した場合、自ら所有者になってリストラクチャリングを推進するという戦略である。
  • 2番抵当権の爆発的増加により、債権者の権利関係が複雑になっている。

今日本では米国のサブプライム住宅ローンの問題は他のセクションに波及しないという論調が取上げられているが、少し注意深く見ておく方が良いだろう。ユルユルの信用供与で息を継いできた企業は、一旦企業業績が悪化し、貸し手が信用リスクに敏感になり始めるとリファイナンスを受けることが困難になりデフォルトリスクが高まる。

今米国の企業与信の世界にもハゲタカが舞う時代が来る可能性はあるだろう。歴史は繰り返すのである。

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セゾン・バンガード投信を始める

2007年04月02日 | 株式

クレディセゾンが設立したセゾン投信でバンガードのグローバル・バランス・ファンドの毎月積立を開始することにした。この投信はファンドオブファンズでバンガード社が運用するファンドを集めたもので、債券・株式半々に運用、米国・欧州が約4割、後日本株と債券、エマージングを少しというファンドだ。

このファンドを選んだ理由は「インデックスファンド」で信託報酬がトータルで0.78%と低いことだ。また販売手数料がゼロ。解約時の信託財産留保額が0.1%で他に手数料なしというところが気に入ったからだ。無論バンガードの投信を直接購入するとセゾン投信が取る0.4935%という信託報酬は不要なので、欧米株のインデックス投信についてはその方がコストセーブになる。ただしエマージング・ストック・インデックスファンドは日本では簡単に買えない様だ(バンガードのホームページを見る限り)。このエマージングを組み込んだところに商品設計のミソがあるのかもしれない。

なおトヨタアセットもバンガードのファンドを使ったファンドオブファンズを販売している。こちらは株式中心のファンドだが、その分?少し信託報酬が高い。

バンガード社は運用財産約1.1兆ドルで世界第2位の投信運用会社。インデックス運用のパイオニアで経費率(運用資産に対する経費の割合)が約0.21%と非常に低いのが特徴だ。

世の中には「アクティブ派」「パッシブ派」がいてそれぞれ主張があるが、統計的事実はパッシブ運用を支持する。2005年12月末にいたる15年間のデータを見ると、米国の大型株投信でS&P500つまりインデックスを上回るパフォーマンスを上げたファンドは27%だった。残り73%は市場平均を下回った。このことは平均的にはパッシブファンドの方が有利ということを示している。

更に私見を加えるならば、米国の様に効率的な市場ではパッシブが有利であるが、新興市場の様に非効率的な市場では優れたアクティブファンドにも勝ち目があるのではないか?ということだ。もっともこれは実証していないので当てにしないで欲しい。

もっとも私はインデックス投信一本槍でアクティブはやらないか?というとそうではない。インドの個別株を含めて海外でも個別運用リスクを取るタイプだ(もっとも勝ったり負けたりだが)。しかしこれが資産形成の本道だと思っている訳ではない。いわば実弾を持った勉強のためである。少しでも新しい知識が入り、脳が活性化するならば多少の損得は問題ではない。

資産運用の本道はやはり低コストのパッシブファンドである。そして「人生には資産運用の他にやるべきことが沢山ある。資産運用は他人に任せて他の事をやりたい」という人にはこのように幅広く分散されたグローバルなインデックスファンドはお勧めである。

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