金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

保険の払い漏れ、実際にあるのですねぇ

2007年04月04日 | うんちく・小ネタ

マスコミで保険の払い漏れ事件が喧伝されていたが、私には縁がないと思っていた。ところが少し前、前にいた会社の人事部から電話があり、人事部が窓口になっていた某生命保険が運用するグループ保険で未払いがあったという。数年前ワイフが病気で入院した時の給付金が少なかったということだ。

しばらくして某生命保険会社から保険金と遅延損害金が送金されてきた。ちょっとびっくりしたのは、遅延損害金が多いこと。恐らく年5分という民法上の利息で計算したのだろう。生保の一般勘定に比べると4倍以上の高利回りである。この低金利の時代にありがたい話だった(もっとも元本である払い漏れ額自体大したものではないので利息もしれているが)。

それにしても某生保はどうして遅延損害金の計算方法を具体的に説明しないのだろうか?それと金を払う前に受取証を求めるという姿勢にも疑問を感じる(本来当初の給付請求書で事足りるはずであろう)。

なお文句のついでに言っておくとこの某生保は、保険金請求の時「当社専用用紙で病院の治療証明を取って欲しい」と要求するなど要求は多いが金の支払はもっとも遅かった。

その点非常に感じが良かったのはアメリカンファミリー保険であった。ここは治療証明はコピーで受理してくれた。治療証明を取るには数千円を病院に支払う必要があるので助かる。これがサービスというものだろう。それと支払が非常に早いことにも好感を持ったことを思い出した。

いずれにしろ日本の生保にはまだまだ改善しなければならないところが多い。

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買収ファンドと新聞の役割

2007年04月04日 | 社会・経済

買収ファンドと新聞の役割と書き出すと、米国でサム・ゼル氏がトリビューンを買収した話か?と思われる方が多いと思うがその話ではない。話というのは今日(4月3日)の日経朝刊とフィナンシャルタイムスに「買収ファンドと雇用」というテーマで記事が出ていたが、その取扱い姿勢に二つの新聞の違い、更には新聞の役割とは何か?ということを考えさせるものがあったということだ。

日経は「買収ファンドの社会的意義」(「一目均衡])の中でこう書いている。「米投資ファンドTPGの日本代表は『買収ファンドは雇用に良い影響を与えている』と主張。・・・ATカーニーの調査は『過去4年間にファンドは欧州で百万人、米国で六十万人の新たな雇用を生んだ』とはじいた。」

そして日経は「買収ファンドの喫緊の課題は、広く社会に受け入れられること。企業買収が隆盛にさしかかる日本にも無縁な話でない」となんとも当たり前で具体的な行動指針に役に立たない結論で話を終えている。

ではフィナンシャルタイムスはどう書いているか?表題は「買収ファンドは首切屋だという評判を覆す」という具体的で力強い見出しだ。最も大切なことはフィナンシャルタイムスが自分で30の大型プライベート化案件を分析して「一般に労働組合が不満を述べるのとは異なり、調査期間(03,04年)中で、失業者より新規採用者の方が多かった」と結論付けていることだ。

英国のプライベートエクイティファンドとベンチャーキャピタルの業界団体であるBVCAのスポークスマンは「我々はフィナンシャルタイムズの独自の調査結果を歓迎する。その結論はプライベートエクイティとベンチャーキャピタルは雇用においてポジティブな効果を持っているというものである」というコメントを発表している。

ここで日経とフィナンシャルタイムズの読者が得るものを考えてみよう。日経を読んでも果たして買収ファンドが雇用にポジティブかどうかの判断はできない。そこにあるのは「誰かがこう言っている」という話だけで、日経が自ら調査して自分で出した結論は何もない。従って読者に具体的な判断材料を提供できないのである

一方フィナンシャルタイムズの記事は省略したが、最終結論だけでなく、どういうケースでは雇用が増えたとか減ったとかという具体例が出ている。そしてオーバーオールでは「買収ファンドは雇用を拡大する」という具体的な結論を出している。

従って読者はこの記事から「買収ファンドと雇用問題」に関する具体的情報を得られ、モノゴトの判断材料を得られるのである。

巷間自己責任ということが叫ばれて久しいが、具体的な情報がない社会で自己責任のもとになる正しい判断を行なうことは困難であるといわざるを得ない。日本のマスコミはまず汗を流して「具体的な調査活動」を行なうことである。評論家的な間の抜けた記事を書いても読者に益するところはない。

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