金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

小型株と投資力

2007年06月07日 | 株式

以前「楽天」の株を少し買ったことがあった。これは2005年頃の小型株ブームがまた来るという思惑を持ったことによるが、暫くして上がりそうもないので損切りをして売却してしまった。再び楽天に投資することもないので、株価をこまめにチェックしている訳ではないがその後もかなり下がっていると思う。

投資をする時私は三つのことを考えている。「世の中には【反復的な出来事】と【一度限りの出来事】があり、これを見極めることができる投資の世界で勝てること」次に「いかに個別銘柄選定能力が高くても資産配分の巧拙をカバーすることはできないこと」最後は「自分はセイゼイ人並み程度の投資力(=投資能力)しか持っていないということ」である。

「楽天」への投資の失敗は日本の小型株ブームという【一度きりの出来事】を【反復的な出来事】と考えたことにあった。最近のファイナンシャルタイムズは日本の小型株について専門家筋のコメントを集めていたが、大半は弱気な見方をしている。

  • KBCのアナリスト・田山(?)氏は「決算発表の時期になり業績の良い小型株には買いが入り5月21日以降4%程値上がりがしている。」「しかしジャスダックが昨年のピークレベルを回復することは来年はない」と言う。
  • 他のアナリストに比べると田山氏は強気である。マザースをカバーしているアナリスト達はもっと悲観的である。マザースは先月2006年1月以来最安値をつけた。ピークの72%の下落である。
  • 新興市場の危機は昨年のライブドアの査察に始まった。当初のパニックの時売り一色で買い手がなくなり、流動性がなくなった。もしこれがもっと大きくて流動性の高い市場で起こったことであれば今までにトラウマから回復していただろう。しかし投資家は新興市場では又同じことが起こるのではないかと恐れている。
  • 新興市場ではマスコミがいくつかの詐欺事件を報道しているので、投資家の懸念に再び火が着いている。このため新光証券の瀬川氏は新興市場がリカバリーすることはないと見ている。
  • 東証一部の企業が二桁の成長を示しているのに新興市場企業の成長率はきわめて低い。ジャスダックの20倍という予想株価収益率は日経225と同一である。これは高い成長率を示すはずの小型株市場では異常なことである。

この様な見方に立つと日本の新興市場ブームは一回限りのことだったのだろう。

なれば資産配分をもっと成長性の高い市場に持っていくべきである。同じ新興市場ならエマージング市場と呼ばれる中国やインドなどに。

もっともその中国やインドでも個別銘柄では買ったり負けたりである。インドの市場全体は上昇しているが上昇している銘柄は3分の1程度の様だ。私もインド株投信ではプラスだが、IT大手のInfosysなど個別銘柄では苦戦している。もっともこれらは長期投資狙いなのでじっくり見て行きたいが。

負け惜しみは言ったものの人並み程度の投資力しかない人間はやはり投信でも買っておく方が良いということだろう。ところが中々己を知ることができないところに投資の世界の難しさと面白さがあるということだ。

コメント
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