金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米国預託証券投資の実際

2007年06月18日 | 株式

週末の日経新聞に米国預託証券投資の話が出ていた。まだ預託証券に投資していない人で興味を持った人もいると思うので私の経験を踏まえてより具体的な説明をしたい。

米国預託証券とは?】American Depositary Receiptの訳語。略称ADR。米国外の企業が米国で資金調達を目的に発行する譲渡可能な証券で、自国で発行する株式(原株)を預託銀行に信託し、原株とほぼ同じ権利を付与したもの。米ドル建てで取引され配当も米ドルで支払われる。詳しい情報を知りたい人はこちらへ。英文だがシティバンクがADRについて詳しく説明している。http://wwss.citissb.com/adr/www/faqs/index.htm

どんな会社がADRを発行しているの?】国際的に知名度の高い会社が多い。日本ではキャノンや三菱UFJファイナンシャルなどがADRを発行している。インド企業ではインド最大の民間銀行ICICIバンク、情報産業2位のインフォシス、タタ自動車などがADRを発行している。発行企業は米国会計基準に基づく決算内容の開示が求められるので発行会社のディスクロは信頼できる。

どこで購入することができるの?】岡三証券・東海東京証券・楽天証券などで購入することができる。私はたまたま仕事でお付き合いのあった岡三証券を利用したが手数料はネット証券の楽天証券が安いといわれている。

どれ位の資金で購入できるの?】私はインフォシスのADRを買ったが、岡三証券の最低購入単位は100ADRだった。1ADRが60ドル程度(当たり前のことだが刻一刻値段は変わる)だったので、60ドル×100×120円(為替レート・当時)=72万円。投資金額は購入するADRの価格によってことなるが、50万円から100万円位が目安だろう。

ADRの値段を調べるには?】取引証券会社に聞けば教えてくれるだろうが、インターネットを使って無料で調べることもできる。ウオール・ストリート・ジャーナルのホームページを開き(アドレスバーにwww.wsj.com と入力してEnterキーを押す)、Market Data Centerというタブを開き、値段を調べたい会社の名前を入力すると価格や簡単なチャート、企業情報を入手することができる。

ADR投資って儲かるの?】それが分かれば苦労はない。普通の株式投資と同じで、儲かる時は儲かるし損をする時は損をする。ADRや新興市場国の株式投資がいかにも儲かる様に書き立てているホームページを見ることがあるが要注意だろう。なお投資リスクは原株の価格変動リスクに加えてドル・円為替リスクも存在する。

ではどうしてADR投資をするの?】インドなど新興国の一流企業の株式(に近いもの)を保有できる。ちなみに一般の外国人がインドの株式市場で原株を購入することはできない。長期投資で新興国の経済成長のおこぼれを頂戴するにはその国の代表的企業に株式投資をするのが良いからだ。ADRを購入することで英文で企業情報や業界情報を読むので、語学力が付きぼけ防止になるという副次効果がある。

たとえば今インフォシスは好調な企業業績にも係わらず若干株価は低迷している。これは米国の景気が後退すると米国企業からインドのIT産業へのアウトソース額が減るのでないか?という予想が働いているからだ。一つの銘柄を通じて世界経済の動きが見えてくるので視野が広がるというものだ。

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