エコノミスト誌を読んでいるとアグフレーションという新しい造語に出会った。アグフレーションAgflation、つまり農産物のインフレだ。アメリカではオレンジジュースの値段が過去1年間で25%上昇し、卵は20%、牛乳は5%上昇している。コーンや小麦粉のような穀物類の価格は10年振りの高値になっている。
穀物価格上昇の被告はバイオ燃料である。勿論中国など発展途上国で肉食をすることが増えてきたので家畜の飼料として穀物需要が増えていることも原因ではある。アメリカでは2000年以降エタノールを作るための穀物消費が3倍になり、今ではコーンの消費量の5分の1にまで及んでいる。
エコノミスト誌はコーンの生産量を増やすことで穀物価格が安定するとは見ていない。それは原油価格が上昇することと政府がバイオ燃料に補助金を出すことで、バイオ燃料産業が利益がでるようになっているからである。従ってコーンを増産してもそれはバイオ燃料に使われる。この結果原油価格のコーン価格の動きは同じ動きを取る様に収斂する方向にある。エコノミスト誌によると穀物価格が下落するためには、政府がバイオ燃料に対する補助をやめるか原油価格が下落するしかない。
日本では食料品の価格が目立って上昇している様には見えない。これは日本が積極的なバイオ燃料政策を取っていないからである。しかしタイムラグはあるものの、食料品の価格上昇は日本にもやってくるだろう。リスク分散型の投資の観点からは、食品や代替エネルギーに投資するファンドを組み入れることも良いだろう。私はたまたまドイチェ・アセットが運用するニューリソース・ライジング・ファンドというファンドに投資しているが、基準価格は今年初めの設定以来25%近く上昇している。注目しておいて良いファンドかなぁと考えている。