今国際的な金融界で大きく話題になっていることは、サブプライムと円キャリートレードだ。円キャリートレードの問題は一個人投資家の観点でも気になる。円キャリートレードが収縮すると円高になり、海外投資を行っている投資家は痛みを被るからだ。
いやそれだけではない。円キャリートレードが収縮すると世界の株式が下落する可能性が高い。円キャリートレードがどれだけグローバルな株高に寄与しているか証明することは不可能である。ただしトレーダーの間では次のような話があるとファイナンシャルタイムズ(FT)に書いてあった。
- 今年に関してはS&P500とニュージーランド・ドル/円相場に極めて高い相関関係がある。S&P500が上昇する日はニュージーランド・ドルが上昇し、S&Pが下落すると円が強くなる。
- S&P500とニュージーランド・ドルが歩調を合わせる理由はほとんどないが、これをみてトレーダーは円キャリートレードが米国株に必要だと考えている。
ところで円キャリートレードというのは、安い円を借りてその円を売り、豪ドルやニュー時ランド・ドルなど金利の高い通貨の資産に投資するもので、将来の急速な円高が見込まれると成り立たなくなる。また投資資産から借入金コストとカバーするリターンが得られないとこれも成り立たなくなる。
今資産サイドを見るとサブプライムローンなどハイリスク・ハイリターンの運用がまさにハイリスクになった。ファンドの中には相当な実現損を出すところも出てきた。
また株式市場が弱気になると、資源関連株が先行して下落する傾向があり、このため豪ドルやニュージーランド・ドルが一層下落する可能性がある。
円高要因としては今日から始まるAPEC蔵相会議で各国が円安が日本の輸出競争力を不当に高めているので、円キャリートレードに対する監督強化を求める可能性も上げられる。
一方政局の不安定さなどの理由で日銀が今月の利上げを見送る可能性が高まったことは円安要因である。と書くと両論併記のようだが、全体として私は今後やや円高に触れると考えている。