金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

円キャリートレードのゆくえ

2007年08月02日 | 金融

今国際的な金融界で大きく話題になっていることは、サブプライムと円キャリートレードだ。円キャリートレードの問題は一個人投資家の観点でも気になる。円キャリートレードが収縮すると円高になり、海外投資を行っている投資家は痛みを被るからだ。

いやそれだけではない。円キャリートレードが収縮すると世界の株式が下落する可能性が高い。円キャリートレードがどれだけグローバルな株高に寄与しているか証明することは不可能である。ただしトレーダーの間では次のような話があるとファイナンシャルタイムズ(FT)に書いてあった。

  • 今年に関してはS&P500とニュージーランド・ドル/円相場に極めて高い相関関係がある。S&P500が上昇する日はニュージーランド・ドルが上昇し、S&Pが下落すると円が強くなる。
  • S&P500とニュージーランド・ドルが歩調を合わせる理由はほとんどないが、これをみてトレーダーは円キャリートレードが米国株に必要だと考えている。

ところで円キャリートレードというのは、安い円を借りてその円を売り、豪ドルやニュー時ランド・ドルなど金利の高い通貨の資産に投資するもので、将来の急速な円高が見込まれると成り立たなくなる。また投資資産から借入金コストとカバーするリターンが得られないとこれも成り立たなくなる。

今資産サイドを見るとサブプライムローンなどハイリスク・ハイリターンの運用がまさにハイリスクになった。ファンドの中には相当な実現損を出すところも出てきた。

また株式市場が弱気になると、資源関連株が先行して下落する傾向があり、このため豪ドルやニュージーランド・ドルが一層下落する可能性がある。

円高要因としては今日から始まるAPEC蔵相会議で各国が円安が日本の輸出競争力を不当に高めているので、円キャリートレードに対する監督強化を求める可能性も上げられる。

一方政局の不安定さなどの理由で日銀が今月の利上げを見送る可能性が高まったことは円安要因である。と書くと両論併記のようだが、全体として私は今後やや円高に触れると考えている。

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どう影響する?ドイツの銀行危機

2007年08月02日 | 金融

ファイナンシャルタイムズ(FT)によると、ジュッセルドルフのIKBが米国のサブプライムローンに絡む損失で収益の大幅な悪化があった。FTには具体的な数字は出ていないが、ドイツの金融監督庁のヘッド・サニオ氏によると、1931年以来最悪の銀行危機だという。

ドイツの開発銀行(国有)がIKBの80億ユーロ~これはIKBの時価総額の5倍以上だが~を越える債務を保証すると発表している。また35億ユーロの救済ファンドが組成され、ドイチェバンク、コメルツバンクなど民間銀行が3割を出資し、残りは開発銀行が出資していると報道されている。

ブンデスバンクのウェーバー総裁によると「ドイツの銀行の米国不動産市場へのエクスポージャーは限られていて管理可能な範囲だ」ということだ。

今朝FTを見たところでは、この程度の情報だが世界各国の金融ウオッチャーは銀行のポートフォリオのクレジットに関心を一層高めるだろう。

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