金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

サブプライムがどうして日本に影響するのか?

2007年08月16日 | 金融

サブプライムローンの破綻が米国で信用収縮問題を起こすことは直感的に理解できても、どうしてそれが日本にまで影響してくるのか?ということを今の時点で多角的に説明できる人は少ないだろう。時間が経てば評論家と称する人達があれこれ後講釈を述べるだろうが?

ここではまず資産担保証券の世界から問題を考えてみよう。

米国には約1兆ドル(120兆円弱)のABCP(資産担保コマーシャルペーパー)市場があり、この市場が売掛債権・クレジットーカード債権・自動車ローン等が流動化(資金化)されている。また住宅ローン債権もこのABCPで流動化されることがある。このため投資家がABCP全体について非常に神経質になっている。

ファイナンシャルタイムズ(FT)によると、スプレッド(上乗せ金利)が劇的に拡大しているケースがある。本当のクレジットクランチはABCPの投資家~年金基金、生命保険会社、MMF等~がCPを購入しないと決めるとCPのロールオーバーが出来なくなることだが実際いくつかロールオーバーできないケースが出ている様だ。

CPの発行者は銀行にバックアップラインを持っていることが多い。今サブプライムローン問題で名前を耳にするカントリーワイド社も最近120億ドルのバックアップラインを確保したということだ。しかし通常CPのバックアップラインが使われることは余りなく、もし頻繁にバックアップラインが使われるようになると、銀行が通常の融資に振り向ける資金が少なくなるという信用収縮を起こす。

懐の深い米国CP市場にこれほど混乱が起きているのは滅多にないことである。ところで米国のCP市場と日本の金融がどうつながるかというと、日本の事業会社の中には米国のCPプログラムを使って資金調達しているところがある。

例えばリース会社は日本国内でリース債権をバックにした長期債券を発行して資金調達することが出来るが、リース債券を米銀が組成するABCPプログラムに売却して資金調達するケースもある。この場合もしそのABCPプログラムでCPの発行に障害がでるとリース債券の流動化に影響がでることが考えられる。

これは極一例ながら米国CP市場という巨大市場で資金調達が難しくなると、世界の金融と経済に大きな影響を与えるということだ。

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都心の避暑地・美術館

2007年08月16日 | うんちく・小ネタ

今週は猛烈に暑い。今日(15日)館林で最高気温が40℃を越えたとニュースで言っていた。こんな日の避暑には都心の美術館が良いと思い、午後休みを取ってワイフと国立新美術館http://www.nact.jp/index.htmlに行った。ワイフのお目当ては館内にあるレストラン   ポール・ボキュース Paul Bocuseである。フランスの三ツ星レストランだ。ところが12時半にレストランに入ろうとすると順番待ちで入れるのは午後2時頃ということ。これではランチを食べる前に腹ごしらえをしなくてはならない。とても待てないので今回は諦める。ところで館内を見回すと我々よりややご年配の方が多い。今日はお盆休みの最中である。

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写真は美術館2階のカフェ・サロン・ド・テ ロンドの写真だ。こちらはポール・ボキュースよりは空いていたがちょっと待ちそうなので1階のカフェでサンドイッチを食べた。

遅い昼食の後「日展100年」を見た。程々の混み具合である。もし週末に出かけると大変な混雑だったかもしれない。この展示会では教科書的に有名な日本画を見ることが出来た。(無論洋画もある)

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写真は東山魁夷の「秋翳」という絵だ。法師温泉の紅葉を描いたものということだが、こう暑いと火の山に見えくる。

実際美術館を出ると灼熱の道が地下鉄乃木坂駅まで続いていた。美術館は都心の避暑地だが避暑地を一歩でるとかえって暑さがこたえた。

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