先日失業率に関するブログを書いたところ、ある読者の方から「LEAP/E2020の予測はどうなんでしょうか?」というコメントを頂いた。LEAP/E2020とはフランスのシンクタンクで、リーマンブラザースの破綻に始まる金融危機を予想したことで有名になった。LEAPは年200ユーロで購読できるが、私は購読していないし当面購読する予定はない。
LEAPの当面の予想は「4月のG20で主要国はドルに替わる多通貨システムの創設を行うという選択と現在のドルシステムを維持するという選択があり、恐らく後者を選択する。これは危険な道でドルは今年の夏に崩壊する」という不気味なものだ。この予想は極端過ぎると私は思うが、LEAPの判断根拠まで詳しく読んではいないのでこれ以上のコメントは避ける。
現時点でLEAPを積極的に読もうと思わない(でもニュースレター位には目を通そうと思うが)理由は幾つかある。第一はじっくり読んでいる時間がないということ。次の問題は私は会社の損益予想等に携わっているので、経済予想は必要だが、少数異見(少なくとも当社程度の会社にとって)ではシナリオを作成できないという実用性の欠如である。例えば会議などでも「エコノミスト誌はこう述べている」というと一定の説得力はあるが、「LEAPがこう述べている」と言っても今のところ「それは何ですか?」で終わりそうだ。
ところでドルは崩壊するのだろうか?もしドルの価値が2,3割下落することをもって「崩壊」と呼ぶなら崩壊する可能性はある。時期は分からないが。何故ならこれから米国は金融機関や自動車会社の救済、景気対策で多額の借金をせざるを得ないからだ。多額の国債発行は通貨価値の下落につながる。
ではドルの価値は何に対して下落するのだろうか?他の通貨例えば「円」に較べて?あるいは金や石油のような実物資産に較べてだろうか?実物資産の価値が上がるとはインフレが起きるということだ。欧州の投資家が資産の一部を金投資にシフトしていることは、ドルのみならず通貨の価値の下落を予想しているからだ。
ドルに懸念を示すのは投資家だけではない。世界最大の外貨準備を抱える中国の人民銀行総裁・周小川氏もSDR(国際通貨基金の特別引き出し権)の拡大を主張し、ドル一極集中からのシフトを主張している。国債の安定消化に頭を痛める米国は中国の意見をある程度尊重する必要がある・・・・。
などなど考えてくると勉強のためその内200ユーロ払ってLEAPを読む・・・なんてことがあるかもしれませんね。