4月22日のニューヨーク・タイムズは「中国海軍の幹部が23日に中国海軍建設60周年式典の一部として原子力潜水艦を公開すると述べた」と報じていた。中国海軍は青島Qingdaoで潜水艦を公開する予定だが、中国海軍が艦船を公開するのは初めてのこと。
中国海軍の幹部は新華通信に「中国が世界の安全保障の脅威になるのではないかという疑いは誤解と中国に対する理解不足が原因である」「外国の海軍幹部が中国を訪問して本当の状態を知れば嫌疑は消えるだろう」と語っている。
だが中国が海軍力を誇示して領海問題の解決にアドバンテージを取ろうとしていることは疑いの余地もない。中国政府はフィリッピン政府と南沙諸島の領有を巡る論争を抱えているが、中国政府は「不法漁業取締り」の名目で6隻の巡視船をこの海域に派遣して海軍力を誇示している。
米国国防省が3月に発表したレポートによると、中国の軍備増強の目的は台湾海峡をはさむ戦争が起きた時充分な戦力を確保しておくというものだと述べている。
2006年に中国政府のシンクタンクである中国社会科学院は中国の総合力を世界6位と位置づけた。ダントツ1位はアメリカで2位英国3位ロシアと続く。日本は中国の一つ下の7位だ。中国は自らアジアトップの国力を持つ国と位置付けた訳だ。海軍力の誇示は国力のステータスシンボルを内外に示すという意味も大きいだろう。
元々中国は世界の大国中の大国であった。少なくとも19世紀半ばまで「眠れる獅子」として西欧列強が恐れていたことは間違いない。その神話は1840年のアヘン戦争と1894,5年の日清戦争で一旦崩れる。だがそれから約100年中国は再び世界の大国へ向けて地歩を固め始めた。原子力潜水艦の公開は中国の自信の表れと見てよいだろう。
日本は今この中国パワーとどう向き合うか真剣に考える時に差し掛かっている。