金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国が原潜を公開する意味

2009年04月22日 | 国際・政治

4月22日のニューヨーク・タイムズは「中国海軍の幹部が23日に中国海軍建設60周年式典の一部として原子力潜水艦を公開すると述べた」と報じていた。中国海軍は青島Qingdaoで潜水艦を公開する予定だが、中国海軍が艦船を公開するのは初めてのこと。

中国海軍の幹部は新華通信に「中国が世界の安全保障の脅威になるのではないかという疑いは誤解と中国に対する理解不足が原因である」「外国の海軍幹部が中国を訪問して本当の状態を知れば嫌疑は消えるだろう」と語っている。

だが中国が海軍力を誇示して領海問題の解決にアドバンテージを取ろうとしていることは疑いの余地もない。中国政府はフィリッピン政府と南沙諸島の領有を巡る論争を抱えているが、中国政府は「不法漁業取締り」の名目で6隻の巡視船をこの海域に派遣して海軍力を誇示している。

米国国防省が3月に発表したレポートによると、中国の軍備増強の目的は台湾海峡をはさむ戦争が起きた時充分な戦力を確保しておくというものだと述べている。

2006年に中国政府のシンクタンクである中国社会科学院は中国の総合力を世界6位と位置づけた。ダントツ1位はアメリカで2位英国3位ロシアと続く。日本は中国の一つ下の7位だ。中国は自らアジアトップの国力を持つ国と位置付けた訳だ。海軍力の誇示は国力のステータスシンボルを内外に示すという意味も大きいだろう。

元々中国は世界の大国中の大国であった。少なくとも19世紀半ばまで「眠れる獅子」として西欧列強が恐れていたことは間違いない。その神話は1840年のアヘン戦争と1894,5年の日清戦争で一旦崩れる。だがそれから約100年中国は再び世界の大国へ向けて地歩を固め始めた。原子力潜水艦の公開は中国の自信の表れと見てよいだろう。

日本は今この中国パワーとどう向き合うか真剣に考える時に差し掛かっている。

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出版不況を実感しました

2009年04月22日 | うんちく・小ネタ

今日(4月22日)の日経新聞朝刊に「NYタイムズ最終73億円(74百万ドル)赤字」という記事が出ていた。前年同期が33万ドルの赤字だから大幅な赤字拡大だ。赤字拡大の要因は広告収入の急減ということ。私も毎日のようにNYタイムズの記事を無料で閲覧しているが、新聞によると「無料化で読者層の拡大は続いているが、広告収入は5%の減」とのことだ。新聞・出版業界は洋の東西を問わず厳しいようだ。

実際昨日出版業界の厳しさを実感する出来事があった。私はほぼ毎月ある地域金融機関向けの月刊誌に寄稿しているが、その雑誌の編集長がきて愚痴を並べ始めた。曰く「地銀。・信金なども経費締め付けが厳しく、節目の3月で購読部数を減らすところが増えてきた」「経費削減のために今年から雑誌の紙を真っ白で少し薄くして、紙代・郵送料を削減している」

私も「そりゃー大変ですね。でも金融庁の方の検査マニュアル解説など参考になるでしょうねぇ」と切り替えしを出すが「最近は銀行・信金も忙しくて雑誌など読んでいる暇はないといわれる」という返事。そして編集長はとうとう本題を切り出した。「このような厳しい状況ですから、暫く原稿代を8割程度にして頂きたいのですが・・・・」

まあ半分ボランティアと自己顕示のためにやっている投稿なので否やはなく応諾したが、出版不況をこんな形で実感するとは思わなかった。それにしても原稿料が落ちるということは一般論としては、記事の質が落ちる可能性につながっていると思う。私は寄稿をする以上皆さんのためになる記事を書きたいと思い、資料収集に原稿料の過半を投じることが多いが、原稿料が減ると資料収集コストを削減させたいと思うのは止むを得ないことだろう。

話は飛ぶが最近民放のテレビ番組が押しなべて面白くなくなってきた。広告料の減少で番組制作費を絞っているのだろう。「不況」と「インターネットの攻勢」の中で伝統的なメディアに試練の時が続いている。

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