金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

景気という不思議なもの

2009年08月04日 | 社会・経済

少し前まで世界経済は収縮の崖っぷちにいるという悲観論が強かったが、昨今の株高でセンチメントはすっかり変わっている。今日のファイナンシャル・タイムズは世界の株式市場が今年の最高値をつけたことを報じる記事の中でブラウン・ブラザース・ハリマンのアナリストの言葉を紹介していた。

「1ヶ月前は投資家は世界経済の下落速度は鈍化しているかどうかを見ていた。今は・・・彼等は世界経済は成長しているかどうか質問しない。彼等はどれ位の速さで経済が成長するかを質問する。」

欧州の株高を牽引したのは、HSBCとバークレーズの予想を上回る好決算だ。バークレーズの半年決算の利益は29億ポンド。利益を叩き出したのは投資銀行部門のバークレーズ・キャピタルだ。社長のVarley氏は数千人のバークレーズ・キャピタルの社員に記録に迫る高額のボーナスを支払う報酬体系について謝ることもなく「我々は才能ある社員を採用し確保するために競争力のある報酬パッケージを提供する必要がある」と述べている。

記事によると今年の後半も業績が良いとバークレーズ・キャピタルの社員は平均10万ポンド(約16百万円)のボーナスを受け取ることになるそうだ。

いやー、何とも景気の良い話である。ところでこの景気という言葉だが、中々不思議な言葉で元々は経済に関する言葉ではなく、風景に関する言葉で景色の精気や力を指していたということだ。気韻が高い風景画(山水画)を景色が良い画という具合に使うということだ。

これが転じて経済に活気・精気がある状態を景気が良いというようになった。ということは経済成長はしているけれど、人々の精気がないという状態は景気が良いといえないのではないだろうか?昨年まで日本では実感なき景気回復という言葉があったが、景気の語源に戻ると自己撞着した表現というべきだろう。

「日は又昇る」といわれた時期の日本に活気がなかったのは、儲かった会社の多くが余り社員にボーナスを出さなかったし、また多額のボーナスを貰った人も「景気良く」使わなかったのではないだろうか?「景気良く」使わなかった人の中には忙しすぎて使えなかった人や世間の目を気にして使えなかった人がいるだろう。

煎じ詰めると景気が良い状態とは人々が贅沢をしている状態なのだ。それを無駄遣いと呼ぶか人生をエンジョイしていると呼ぶかは別として。

私は消費余力のある人がもっと消費できるような社会~例えば働き盛りの夫婦がベビーシッターを雇って夜観劇に行くことを賞賛するような社会~を作るという主張があっても良いと思っている。こんなことを言うと「アンタは贅沢だ」と批判を浴びるかもしれないが、今の私はそれ程贅沢をできる身分ではない。しかし贅沢をする人をやっかむ気持ちもない。ただ精気に満ちた社会を作らないと経済成長が上を向いたところで、本当に景気は良くならないことを懸念している次第だ。

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女性の方が管理職に向いている?

2009年08月04日 | うんちく・小ネタ

昨日(8月3日)の日経新聞朝刊の社説は「男女共同参画のスピードをあげよ」という題で日本の女性が指導的地位に占める割合が少ないことを問題として取り上げている。社説によると民間企業の管理職に占める割合は6.6%だ。海外を見ると米国では管理的職業に占める女性の割合は4割を超え、欧州でも3割を超えるという。

米国の女性管理職問題についていうと、先週ニューヨーク・タイムズにNo doubts: Women are better managers 「疑いなく女性が管理者として(男性より)優れている」というある企業の女性シニア・バイス・プレジデントのインタビュー記事があった。この記事は結構読者の注目を集めていた。うがった見方をすると「男性の方が管理職として優れているのではないか?」という見方が一般的だからこのような記事が話題になるのかもしれない。

今週はこの記事をフォローアップして、女性識者の意見が掲載されていた。その中で納得できる意見があったので、ポイントを拾ってみた。書き手はノースウエスタン大学の社会心理学部の部長Alice Eagly氏だ。

  • 一般的にいうと女性は男性よりも「管理職らしく」ない。人々は恐らく管理職然とした女性を管理職然とした男性よりも嫌うだろう

「管理職らしい」は英語ではBossy。Bossという名詞にyをつけて形容詞化したもので、威張るというニュアンスがある。ただしBossそのものには一般的に頼りになる上司というポジティブな意味があるようだ。

  • 女性管理者は男性管理者より協力的で民主的である。
  • 男性管理者は部下を叱るなどネガティブなアプローチを取るが、女性管理者は元気付けるなどポジティブなアプローチを取る。
  • 女性管理者は一緒に働く人達に対し、指導することや彼等彼女等の個人的な事情を考慮に入れることなどでより世話をする。
  • 女性管理者の方が男性管理者よりも効率的に仕事をこなすが、これは仕事ができないと女性の方が男性よりも解雇されたり、降格される可能性が高いからである。

私はこの最後の見解は一つの真実をついていると思う。管理者として認められようと一生懸命仕事をするから、女性管理者の方が仕事ができるのかもしれない。

アリスさんは最後に「女性が管理者として男性より優れているかというと日常的な仕事において女性管理者は男性管理者よりも長所があるはずだが、答はそう簡単ではない。何故かというと管理者というものは人々がその権威を認めてこそ良い仕事ができるからだ」と締めくくる。

日本でも本気で女性管理職を増やすのであれば、女性管理者を女性ではなく、まず管理者としてきちんと受け入れる風習が確立させることが大事だろう。

ただ進んでいる米国でもこのような話題が大きな反響を得ることは女性管理者が楽ではないことを示しているといえる。

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山で針金役に立ちました

2009年08月04日 | 

この前会社の連中と北岳に出かけた(雨のため途中で撤退)時、メンバーの一人の登山靴の底がはがれるというハップニングが起きた。下界が近かったので私の非常用セットの中の針金で靴底を縛り下山したので大事にはならなかったが、長い縦走途上や雪道だと結構トラブルになったかもしれない。

日本トレッキング協会の「トレッキングマスターテキスト」によると「ここ5~6年、ミッドソール(靴底のビブラムと靴をつなぐ部分)の劣化によるソールのハガレのトラブルが多発しています」ということだ。ハガレが起きるのはミッドソールにポリウレタンを使用している靴だ。ポリウレタンはクッション性は良いが、大気中の湿気を吸収して加水分解を起こす。テキストによると「しばらく使用しないでチェックしないまま使用して起きるケースが多い」ということだ。事前チェックの方法は靴をソールごと曲げて見て、ミッドソールにクラックが出来たりしないかチェックする。

山の非常用品として何を用意するか?は、ものの本を見るだけでは実感できない。小さな失敗やハップニングを積み重ねて勉強するしかない。私は登山中に眼鏡のネジが経年劣化で折れて輪ゴムで応急処置したことがある。

「針金」「輪ゴム」「粘着テープ」「細引」などは装備や携帯品の応急修理やケガの応急措置に役に立つ。ついでにいうと私は日帰り登山でもツエルトザックと呼ばれる缶ビール2本程度の大きさの「簡易テント」をザックの底に入れていることが多い。これは緊急露営用の道具だが、いざという場合タンカーとして利用することもできる。幸いなことに実際に使う場面には遭遇していないが。

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