金融危機を予測したことで有名なニューヨーク大学のルービニ教授がファイナンシャル・タイムズに景気の二番底リスクに関する見解を寄稿していた。
教授は今次の3つの疑問があると述べる。「いつ世界的なリセッションは終わるのか?」「景気回復の絵姿はどんなものか?」「再び景気後退に陥るリスクはあるのか?」
「いつリセッションが終わるのか?」という点については、先進国の一部(オーストラリア・日本・ドイツ・フランス)や中国・インドなど大部分の発展途上国で景気回復は既にスタートし、今年後半に米国・英国・スペイン・イタリアなどで景気はボトム・アウトするだろう。
「景気回復の絵姿」はU字型。恐らく一旦払底した在庫の積み増し効果で数四半期急速な成長が起きた後、無気力な低成長が数年続くと教授は予測。
このような予測の根拠として「米国をはじめ先進国経済で失業率が高止まりすること」「金融システムの機能不全が中々回復しないこと」「経常赤字国では消費者は消費削減を強いられること」「低成長やデフレ圧力などで企業の利益率が低水準で推移すること」などが上げられている。
また二番底リスクの懸念は「金融超緩和策の出口戦略」にかかわる。つまりどこかで財政赤字に歯止めをかけるため、財政を引き締め増税を行う必要があるが、それは景気をリセッションとデフレーションに陥れるリスクがある。一方財政赤字を続けると国債金利が上昇し、スタグフレーションに陥るリスクがある。
最後にルービニ教授が指摘しているのは、石油・エネルギー・食糧価格が経済のファンダメンタルが許容する範囲を超えて上昇し、二番底を招くリスクだ。
私自身は景気回復はU字型で、各国政府と中央銀行は相当期間緩和策を続けるので、早過ぎる引き締め政策によるスタッグ・デフレーションのリスクは少ない、ただし経常赤字国で国債金利上昇リスクは高まる・・・・という程度に判断している。
いささか過熱気味の株式相場はルービニ教授の弱気論をどう解釈するだろうか?