8月8日(土曜日)午前5時半に田の原山荘を出発し、御嶽山頂上を目指す。田の原の標高が2,200mで山頂が3,067mなので標高差870m3時間の登りだ。御嶽山の南側に虹がかかっている。
しかし山頂は雲の中だ。天気は今日も不安定なようだ。案の定八合目を過ぎたところで小雨が降りだした。
八合目と九合目の間の一口水という小さい岩場にツガザクラが咲いていた。ここで又晴れ間が戻り、東の空の雲が切れて、鋸岳から甲斐駒ケ岳につながる稜線を見ることができた。
振り返ると田の原から大勢の登山者が登ってくる。御嶽山で特徴的なことは「六根清浄」「お山は晴天」の掛け声を掛け合って登る御嶽教の信者の方の一団が多いことだ。
岩の間に小さなイワギキョウが咲いていた。
午前8時5分王滝山頂到着。昨夜下から灯りが見えていた山小屋がある。ここから上は植生がほとんどない瓦礫の斜面が剣が峰まで続いている。左手の斜面からは水蒸気が上がり硫黄の臭いがする。御嶽山は活火山なのだ。頂上には靄がかかる。景色が見えないのは残念だが、暑さしのぎにはこれ位のガスがある方が良い。
午前9時頂上到着。ガスが多く視界は狭い。食事をしながらガスが切れるのを待つ。写真は二の池を見たものだ。
午前9時25分ガスが晴れないので二の池を経由して出発点の田の原山荘に戻ることにする。
二の池手前でミヤマダイコンソウが咲いていた。
二の池は私達が昔雪上訓練に使ったところである。写真の雪渓がある斜面を滑落停止訓練に使ったが滑り落ちても池(冬は凍っている)で止まるので安心できる。もっともその安心が油断を生んだのか、仲間が足を骨折するという事故を起こしたことがあるが。
ミヤマダイコンソウのような可憐な花はひっそりと咲くが、下の写真のオンタデは礫地でもたくましく繁殖している。この草の名前については登山隊のメンバーがポケット図鑑を引っ張り出しあれこれ詮索したがわからなかった。今私はネットで調べた情報でこの植物オンタデと決めている。
この花は「噴火跡の礫地などに他種に先駆けて進出する先駆植物」として知られているそうだ。分布範囲は2千3,4百メートルから3千メートルに及んでいる。雑草っぽい花なので私は道元禅師の「花は愛惜に散り、草は棄嫌におうるのみ」という言葉を思い出した。ところが強そうに見えて絶滅危惧種だそうだ。植物は見かけで判断してはいけないということだろうか?
二の池から王滝山頂に向かう道から頂上(剣が峰)に向かう登山者が見える。その上のそびえる山小屋は威風堂々たる姿だ。信仰登山者を中心に多くの登山者に愛された御嶽山らしい光景だ。
王滝山頂に10時15分到着。そこから先は岩のゴロゴロした急坂を降る。標高の低いところではかなり激しい雨が降ったらしく、登山道の一部が川になっていた。12時20分田の原帰着。振り返る御嶽山は相かわらず厚い雲の中だ。不安定な気候の中、強い雨に合うことなく御嶽山登山を終えることができたのは幸運だった。
田の原からはマイクロバスで木曽福島のそば屋車屋http://www.soba-kurumaya.com/に行った。この店の蕎麦は殻の部分を引いているようで色がかなり黒っぽい。これを良しとするか白い更科蕎麦を良しとするかは好みの問題だが、私は白い蕎麦の方を好む。有名になってお客が多いのか、注文の取り方や配膳がゾンザイな気がした。私は多少名前が出たことで横柄な対応を取る店~特に蕎麦屋に多いのだが~は好まない。少し名前が出たところで謙虚に振舞う店があるとブログで絶賛するのだが・・・。
木曽の宿は老舗の「いわや」に泊まり夜は木曽節の盆踊りに参加した。飛び入りの旅人にも丁寧に振り付けを教えてくれたので、楽しいひと時を過ごすことができた。こうして長い木曽福島の一日が終わり、木曽川の川音を騒がしいと思う間もなく私は眠りに落ちていた。