金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本も自転車シェアリングを真剣に考えるべき

2009年08月14日 | 社会・経済

マンションなどの住人を対象に乗用車を共同利用するカーシェアリングは日本でも話題になっている。カーシェアリングの自転車版・自転車シェアリングもJR西日本などが実施している。また自治体がレンタルサイクルを行っているところもある(私も一度台東区のレンタルサイクルを借りようと思ったことがあるが、その時は総ての自転車が貸し出されていた。)

しかしクリーンエネルギー政策の観点から、自治体が都市交通システムの一環として自転車シェアリングを推進するというイニシアチブは取られていない。

ニューヨーク・タイムズに記事が出ていたが、自転車シェアリング・システム(名前はBIXI)で世界の先端を行くカナダのモントリオール市が、同システムをボストンとロンドンに輸出するということだ。

モントリオールのBIXIシステムは、3000台の自転車と300台の駐輪機で構成される。自転車を短期的に利用する人は、自動化された駐輪機から自転車を借りて乗り、目的地の駐輪機で自転車を返却するというものだ。ユニークなのは、駐輪機がソーラーシステムで稼動するため移動・撤去が簡単なことだ。冬の寒さが厳しいモントリオールでは、自転車シェアリング・システムは冬はお休みになり、駐輪機は一時的に撤去される。

モントリオール市は自転車シェアリング・システムを「経済的で環境に優しく、利用者の健康促進に役立つ公共交通システム」と位置付けている。

私はこのようなシステムを日本でも採用するべきだと考えているが、最大のネックは日本における自転車道路が余りにも未整備ということだ。

モントリオール市は従来から「自転車に優しい街作り」を進めていて、4タイプの自転車道路があるhttp://www.treehugger.com/files/2009/07/montreal-bike-lane-system.php。「レーン・ワン」は分離帯で仕切られた「自転車専用道路」で安全に高速で自転車を走らせることができる。「レーン・ツー」は取り外し可能な標識柱で仕切られた自転車レーンで、冬は標識柱が取り払われ専用レーンはなくなる。「レーン・スリー」は路面に自転車通行帯と表示された道路で、この表示の上は車は走らない。「レーン・フォー」は自転車通行の表示はあるが、車も走るので「極めて恐ろしいだろう」と説明されている。

日本の大部分の自転車が通行する道路はこの「極めて恐ろしい」道路なのである。

道路が狭い日本でモントリオールのように(あるいは欧州のように)、分離帯で仕切られた「自転車専用道路」を普及させることは困難だ。とはいえ長期的に見るとエネルギー問題や環境問題に対処するために、都市交通システムに自転車を取り込んでいくことは必要なことだろう。そこでできることから始める必要がある。まず最初に取り組むべきことは「都市部における電柱の撤去・電線の地下埋設」だ。次に道路拡幅時における「自転車専用レーン」の確保である。

高速道路の通行料金をタダにするよりも、高速道路の料金を利用して都市部の自転車道路を整備し、都市交通百年の計を定めるというような政策提言があっても良いと思うのだが、票にならないせいか、日本でこのような主張をする政治家がいないことを私は残念に思っている。自転車は高齢者にもフレンドリーな乗り物なので、安心して自転車に乗れる道路環境が整うと、老人福祉や健康促進・医療費削減の観点からも効果的だと思うのだが。

コメント
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