一ヶ月程前まで日本のことは世界のマスコミを賑わすことは殆どなかったが、さすがに今回の総選挙前から「自民党一党政治の終わり」ということで日本の政治が話題になっていた。だが私は一般の外国人にとって「一体日本の何が悪くて何が問題なのか?」よく分からないのではないか?という疑問を持っている。例えば国内では「格差が広がった」などということが騒がれるが、世界の常識から見ると日本ほど格差の少ない社会は相変わらず珍しい。選挙をするとその日の夜中にもう大方の結果が判明するという類を見ない程正確な選挙システムや以前より悪化したとはいえ、世界トップレベルの治安システム。
今日話題にする「所得税+社会保険料の個人負担」の低さも世界トップレベルなのだ。
エコノミスト誌は簡単なグラフで世界主要国の個人(所得税と社会保険料の収入に占める割合)税率を紹介していた。それによると税率が一番高いのはスロベニアで約55%だ。江戸時代風にいうと五公五民を越えて、六公四民に近い水準だ。
次に税率が高い国はインド、イタリア、スウェーデンで税率は40%を越えている。フランス、ドイツも税率は35%だ。税率が30%を切る国は中国、日本、アメリカで、一番税率が低い国はスイスで20%以下だ。
もっとも日本の場合、赤字国債を発行して帳尻を合わせてきた結果、国債残高がGDPの二倍になっているので手放しで「三公七民」と胸をはることは出来ないが。
繰り返しになるが、これらの数字だけを見ていると日本のことをよく知らない外国人は「一体日本のどこが問題で、自民党がこんなに大敗したのか理解できん」と思うのではないだろうか?あるいは色々なものはあるが、ないものは若者の希望というと理解するだろうか?