金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

好調な経済データに株価上昇したが・・・

2010年02月02日 | 株式

米国株は伝統的に1月上昇すると言われているが、今年は中旬から大きく下げていた。理由は中国の金融引き締めとオバマ大統領の銀行規制法案だ。穿った見方をすると、実物経済の回復基調がしっかりしている見通しが立っていたので、ブレーキ・ペダルにちょっと足を乗せてみた・・・という解釈ができるかもしれない。

昨日の株価はFTSEが+1.14%、SP500が+1.43%と世界各地の好調な経済データを素直に好感して上昇した。

中国の購買担当者指数については、欧州のマクロ経済調査会社・マーキット・エコノミクスの指数は12月の56.1から57.4に上昇。中国政府が発表した購買担当者指数は12月の56.6から若干下落して55.8だった。

インドの購買担当者指数の12月の55.6から57.6に上昇。また韓国の1月の輸出は前年比47.1%増加。

欧州のマーキット購買担当者指数は12月の51.6から52.4に上昇。4ヶ月連続の上昇ながら、欧州経済にはバラツキがあり、フランスが極めて好調で、ドイツ、英国が続いている。しかしギリシア、スペイン、アイルランドは不振。

米国の供給管理協会指数は12月の54.9から58.4に急進、これは過去5年間で最速の伸びで、工業が景気を牽引するという期待感が高まっている。

ニューヨーク・タイムズはRDQエコノミクス社のチーフ・エコノミストRyding氏の「過去2回のリセッションを見ると、景気回復期に入って2,3年経つまでこのような速いペースの工業生産の伸びに出くわすことはなかった。過去のリセッションに較べて今回のリセッションの方が景気後退度合いは深いが回復速度ははるかに速い」という言葉を紹介している。

工業生産が急回復している理由は、業界が在庫削減幅を過去より減らしているからだ。加えて輸出が伸びていることと、政府の景気浮揚策により内需が改善していることがあげられる。

伝統的に米国の景気を牽引した個人消費については、可もなく不可もないデータが発表された。12月の米国の個人所得は0.4%、12.25ドル増加し、個人支出は0.2%増加した。

「これはブーミングな(活気のある)成長ではないが、とにかく成長だ」とJPモルガンチェースの米国チーフ・エコノミストは述べている。彼は「我々はまだ労働収入の強い伸びを見ていない。これが消費の最大の抑制要因だ」と付け加えた。

だが個人所得が上昇しても、消費が回復すると判断するのは早計だろう。米国の消費者の態度には構造的な変化が起きている。消費者は不動産や株価の下落で傷ついた老後資金の準備のために貯蓄に励むだろう。タイムズは「個人貯蓄性向は12月に4.8%に達したが、エコノミストは今後も上昇を続けると予測している」と報じている。

過熱気味の経済にブレーキをかける中国、貯蓄に励む米国の消費者・・・この組合せから予想できるのは精々modestな株式市場のリカバリーだろう。我々もまた地味な貯蓄に励まざるを得ない時代にいるのだろう。

コメント
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