新聞に週刊新潮の記事見出しが出ていた。トップが「普天間の仇をリコールで!トヨタは生贄というアメリカ謀略・・・カナダ紙が報じた」である。カナダの新聞が「トヨタのリコール、アメリカ仕返し説」を書いていたことは知っていたが実物は読んでいないし、特に読もうとは思わない。
今日米政府の関係は普天間基地問題や日本のインド洋給油支援の取り止めでギクシャクしているが、アメリカのトヨタユーザーの多くがそのこととアクセルやブレーキの問題を結びつけるほど外交問題に敏感とは思わない。
むしろGMやフォードの車が日本のエコカー補助金の対象外になっていることに対し、米国の自動車メーカーがトヨタのリコールを煽っているという話の方が現実味がある。もっとも確たる証拠のある話ではないが。
FTは「観察者達は議会のトヨタに対する反発は反外国的な動きの兆候が見られると述べているが、トヨタのルーツが日本であることが問題になっている証拠はほとんどない」と報じ、外国企業の米国子会社のためにロビー活動を行う組織のナンシー女史の「トヨタの現在の問題に関する懸念が外国嫌いの中で起きているというのは正確ではない」という言葉を紹介している。
もっともFTはその後で「そうはいっても多くのアメリカ人はトヨタや他のアジアの自動車会社がデトロイトのシェアを奪っていることをうらみに思っている。GMやフォードは日本のエコカー補助金に対する抗議の旗を振っている」と報じている。
このエコカー補助金の問題だが、この記事だけを見ると恣意的に外車を排除しているように見えるが「大部分の外車は燃費基準はOKだが、排ガス基準を満たさない」ためエコカー補助の対象にならないというものだ。排ガス基準を満たせない米国の車がそのことを伏せて旗を振るうのはフェアではないだろう。
ワシントンポストによるとトヨタは積極的なロビー活動を始めた。トヨタは全米から23人の従業員をワシントンに集め、トヨタ車を運転させ彼等にアクセルの問題を感じたかどうか発表させている。結果問題を感じたという人はいないようだ。これは議員達に好印象を与えるためにアピール活動である。
トヨタとそのディーラーは全米で17万人の従業員を持ち、南部諸州の経済に大きな影響を与える会社であり、政治的にも強い支持団体を持っている。普天間やエコカー補助金の仇を米国が組織的に行っているとは考えられないと私は思っている。
トヨタの問題はアクセルやブレーキに問題が出た時の初期動作が悪かったことを米国のマスコミが叩いているというのが実情だろう。もっともGMを抜いてトップランナーになったトヨタへの風当たりは強い。
トヨタがロビー活動で早期に挽回を図ることができるかどうか?これからが正念場である。