FTによると中国で2番目に輸出額の多い江蘇省は先週最低賃金を13%引き上げ、月額960元(140ドル)とした。中国政府の関心事は景気問題からインフレに移っている中、他の省や都市もこの動きにすぐに追随すると予想される。
「これは賃金インフレの危険な信号だ。労働需給の逼迫に起因する賃金上昇は中国のインフレの体質である」とチャイナ・エコノミック・クオータリーの編集者Kroeber氏は述べている。
昨年の旧正月(2月)に帰郷した推定20百万人の出稼ぎ労働者は、戻ってくる仕事がなかった。しかし先進国の在庫削減が一巡した夏頃からは、出荷が回復し、出稼ぎ労働者は沿岸部の工業地帯で仕事を見つけることができるようになった。
香港ベースの「中国労働掲示板」のCrothall氏は「経済は再び加速し始めた。インフレと基本的な生活コストは増えている。労働者のために調整を図ることが地方政府の利益になることは明らかだ」と述べている。
江蘇省に隣接する上海は4月1日に二桁の最低賃金引き上げを行うと予想されている。また北京や広東州内の都市も最低賃金の引き上げを考えている。
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中国の賃上げ、良いことだと思う。賃金を引き上げ、生活水準を向上させることで、内需を高めることができるからだ。
私が仕事についた頃は日本でも二桁の賃上げがあった。その後インフレの収束とともに、賃上げ幅は小さくなり、やがてベアがなくなり、定昇すらストップする事態となったが・・・
日本の最低賃金を12万6千円とする(時間8百円×8時間/日×20日間/月)と中国の最低賃金の10倍だ。
仮に年率10%で中国が賃金を引き上げたとして(そして日本では賃上げがないとして)、日本にキャッチアップするには24年必要だ。日本で二桁賃上げがあったのは約40年前の話。中国で10%を超える賃上げがあっても不思議はないのである。