金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ギリシア救済難航の裏に年金問題あり

2010年02月24日 | 国際・政治

エコノミスト誌のブログを読んでいたら、「ドイツなどの欧州諸国がギリシア救済に難色を示す大きな理由は、ギリシアの公的年金制度が、ドイツなどの年金制度より退職者を優遇していることにある」という分析に出合った。

そのブログによると、ドイツでは少し前に法的な退職年齢を65歳から67歳に引き上げた。ところがギリシアでは、法的な退職年齢を61歳から63歳に引き上げるという提案に対して、抗議のデモが起きている。

またギリシアでは1992年前に公務員になった人は、35年以上勤めて58歳で退職すると、最終給与の80%を年金として受け取ることができる。一方ドイツでは40年勤めて退職した後、最終給与の70%強を年金として受け取る。この差がドイツ国民のギリシア救済に対する怒りの元だとブログは分析している。

財政赤字を削減するため、退職年齢を引き上げる動きは欧州で顕著になっている。スペインでは退職年齢を65歳から67歳に引き上げる案が先週提案された。平均寿命が伸びに退職年齢の引き上げが追いつかないため、先進国では年金財政の悪化が続いているのだ。

恐らく日本以外の先進国では、法的な退職年齢の前に退職して、年金を貰い老後を楽しむ傾向が強いので、年金財政は一層悪化する訳だ。

エコノミスト誌がGolden yearsという短い記事で、男性について実際の退職年齢から死ぬまでどどの位の年数があるか?という国別のグラフを示していた。

それによると現在(2002年-2007年)一番長いのはフランスで24年程度。そのフランスも40年程前(1965年-70年)では10年だった。長い国を順に挙げるとオーストリア、イタリア、スペイン、オランダ、ギリシア、カナダでここまでは退職してから20年以上の老後がある。

短い国は日本や韓国で日本は15年、韓国は10年である。短いとはいえ、40年前の日本では退職後5年間しかなかった老後が15年に伸びている。

☆   ☆   ☆

私事になるが、先日年金の支払に関する案内が届いた。数ヶ月すると私も年金の受給資格が発生する(貰えるかどうかはその時の所得によるそうだが)。だが数年後で生まれた人は公的年金の支給開始年齢が1年づつ遅くなり最終65歳になる。だが今のままの状況が続くと年金の支給開始年齢は更に延ばされる可能性があるのではないか?と考えている。

豊かさとは何だろう?

ギリシア政府は借金まみれだが、60歳前で退職して、8割の年金を受け取ることができる。日本の政府も借金まみれだ。だが回りを見回しても60歳でサッパリとリタイアする人は少ない。これは年金の所得代替率が低いからだろうか?それとも日本人がヨーロッパ人に較べて働き好きだからだろうか?

恐らく両方だろう。出切るだけ長く働くことを前提に設計された年金制度、それが日本の制度なのだ。一方欧州では高い税金と社会保険料を現役世代に負担することで~中にはギリシアのように他国の投資家に借金している国もあるが~法的退職年齢前にリタイアして老後をエンジョイすることができる・・・

うーん、難しい問題である。

コメント (2)
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