株式相場が暴落した時「心臓に悪いよな」などと軽口を叩くことがあるが、株価の下落や動きの激しい相場は本当に心臓に悪いということを統計的に分析したレポートがアメリカと中国で発表された。
中国復旦大学のWenjuan Ma教授等がヨーロピアン・ハート・ジャーナルに発表した研究によると、株価の振幅が激しかった2006年から08年にかけて上海都市部で追跡調査をしたところ、株価の1%の変化が心臓病による死亡率を1.9%増加させることが分かった、とFTは報じている。
株価の変動と心疾患による死亡率の因果関係を証明することは出来ていないが、研究チームは「中国人の投資家は退職した高齢者が多く日中証券取引所のモニター画面の前で株価を追いかけている・・・・」ことを強調している。
株価と心臓疾患の因果関係を調査した米国のバーンスタイン研究所の上級アナリストは「株価の上昇も下落も恐らく感情的、心理的そして肉体的に大きなストレスを与えるのだろう。そこから言えることは余り頻繁にポートフォリオをチェックしないということではないか?毎日チェックすると半分は失望を味わうだろう」と述べている。
また昨年アメリカの心臓病学会の雑誌に発表されたデューク大学の研究によると、心臓発作の発作件数の3ヶ月の移動平均は、株価の動きと逆相関関係があるということだ。つまり株価が下落すると心臓発作が増え株価が上昇すると心臓発作が減るということである。
☆ ☆ ☆
常識的に考えても相場でリスクを取っている時は緊張感が高まり、交感神経が活発になっている。このような状態が持続するとストレスから心臓や血管系の負荷が高まり疾患を起こすリスクが高まる。安全資産の上に座っているとアップサイドの楽しみはないが、心は平穏である。
賢明なファイナンシャルアドバイザーは高齢者に株式ウエイトを落すことを薦め、貪欲な証券会社や銀行は株式や外国証券投信などボラティリティの高い商品を高齢者に薦める。これらの商品は販売手数料が大きいからだ。それらの商品を買う高齢者の方は金を払って心臓病のリスクを高めている可能性がある。
一般に女性は保守的でリスクの高い金融商品を敬遠するという。女性の方が男性より長生きする一つの要因だろうか?