金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国、インフレ抑制の対価は高い

2011年11月10日 | ニュース

昨日(11月9日)中国国家統計局は10月の消費者物価上昇率が5ヶ月ぶりに6%を切り5.5%となったと発表した。だがインフレ抑制のための荒っぽい政策は強い副作用を経済全般に及ぼすリスクが高まっている。

FTはインフレ抑制の影で銀行システムや民間企業そして特に不動産市場に大きな負荷がかかっていると警鐘を鳴らす。

リーマンショック後金融緩和策で景気の収縮を防ごうとした中国だが、昨年10月以降は引締めに転じて政策金利を5回引き上げ、準備率を9回引き上げ、さらに貸出枠規制を行なった。

貸出枠の規制を受けた銀行は中小企業向けの融資を絞り、デフォルトリスクが少ないと思われる国営大企業向けに資金を振り向けた。

商務部によると中小企業は中国GDPの6割と雇用の8割を担っている。従って中小企業が資金繰りに苦しむと中国経済には大きな影響がでる。温州市で起きた一連の小企業の破産は政府に警鐘を鳴らした。温家宝首相は「引締策を予防的に微調整する時がきた」と金融緩和を示唆した。中小企業には少し金が回り始めたという報道もある。

だが不動産市場については当局は規制を緩める気配はない。中国政府は物件を購入する人の数を制限するといった荒っぽいやり方で不動産市場を冷やそうとしている。統計局によると通常であれば住宅購入のピークである10月の不動産取引は前月比25%減少した。

荒っぽい規制は住宅価格の暴落を招く可能性がある。野村證券のZhiweiエコノミストは住宅セクターは中国の一番のダウンサイドリスクだと警告している。

世の中のリスクは刻々と変わる。中国にリスクはインフレリスクから低成長リスクに変わりつつある。アメリカと欧州という市場経済国家で政策が経済をコントロールすることの難しさを我々は目の当たりに見てきたが、中国でも同じようなことを見る可能性が高まってきた。

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ウッドフォード前社長の復帰求める声高まる、オリンパス

2011年11月10日 | ニュース

連日新聞紙面のトップを賑わすオリンパスの飛ばし問題。ただし日本のマスコミが余り触れていないのが、海外に機関投資家の中でウッドフォード前社長の復帰を求める声だ。

FTによると同社の株式の4%を保有する英国のBaliie Giffordは不正の一掃にはウッドフォード前社長の復帰が良いと主張し、5%の株式を保有するHarris Associatesも「彼の経験を考えると彼が社長候補の筆頭」と述べている。

一方日本国内の株主はもっと慎重で筆頭株主の日本生命などはもっと情報を開示することを求めている。

オリンパスの不正問題にいち早く着目したのは海外のメディアやFBI等海外当局だ。

この文脈から見るとウッドフォード氏の復帰の可能性は高いかもしれないと私は見ている。

ウッドフォード氏自身は「過去3週間地獄を見た。株主の要請があれば復帰する準備はできている」と復帰に意欲を示す。

舵取りによってはこれから地獄を見るのはオリンパスの社員達。彼等はウッドフォード氏の復帰を望むのか?聞いてみたいところである。

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