金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ブラックフライディ売上好調でアジア株上昇

2011年11月28日 | 株式

今日(11月28日)のアジア株はおしなべて好調だった。日経平均は127円1.6%上昇。FTによるとMSCIパシフィック指数は1.7%上昇、これは11月4日以降一番の上昇だ。

株式相場が好調だった理由は、日曜日に全米小売業協会が発表したブラックフライディの売上が非常に好調だったこととIMFがイタリアに金融支援を行なうのではないかというレポートを投資家が歓迎したからだ。

ブラックフライディというのは、感謝祭の後の11月の第4金曜日の通称で、この日からクリスマス商戦が始まる。なぜブラックフライディというかというとこの日小売業が黒字になる(つまりブラック)からだとそうだ。

全米小売業協会によると、買い物客一人当たりの消費額は昨年比9.1%の伸びでこれは2006年以降最大の伸びだ。

1週間ほど前のギャラップ調査を見ると、米国の高所得層(年収9万ドル以上)の経済への信頼度合いの改善が続いている。といっても8月には経済状態は悪くなっているという人の割合が8割で11月にはそれが7割に減ったという話なのだが・・・・

このようなセンチメントの変化がサイフの紐を予想外に緩めたのだろうか?

長続きするかどうかは分からないが、暗い話題が多い中ちょっと明るい話ではある。

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一人遊びも悪くない~サイクリング

2011年11月28日 | うんちく・小ネタ

先週の土曜日はワイフは仕事に出かけ、山登りの予定もないので昭和記念公園までクロスバイクで往復した。山にはすごく登りたい時期とそれ程でもない時期がある。11月下旬というのは、高山では雪が降り始めているが根雪にならず不安定で歩きにくい。もう少し低い山では紅葉が終り、目玉となる景色が少ないという時期だ。つまり僕にとっては山は端境期である。

こんな時は天気が良ければサイクリングに限ると僕は考えている。サイクリングの良いところは色々あるが、その一つに「一人になれる」ということがある。居酒屋本で有名な太田和彦氏の「超・居酒屋入門」にこんな文章がある。

「私は、男は、いやもちろん女もそうだけれど時々一人になる時を持つ事は大切と思う。会社も友人も家族も、すべてのしがらみから離れ、一人でぼんやりする。」と太田氏は振っておいて「男が一人になって何をするかといえば、それは酒を飲むのが一番ふさわしい」と受けるのだ。

酒を飲むのが一番ふさわしいかどうかは別として、僕も酒を飲むことを一人ですることのリストの上位に上げることには賛成だ。

だが休みの日の朝から酒という訳にもいくまい。美味い酒を飲むためにも午前中は体を動かすに限る。一人で体を動かすには散歩、ランニング、登山等色々あるが、今の僕は3,4時間という限られた時間ならサイクリングが一番良いと考えている。

散歩は運動量が少なく、ランニングは2時間も走ると疲れるからだ。

ということでこの日も昭和記念公園までクロスバイクを走らせた次第。公園で紅葉を観て写真を撮り芝生で軽食を食べてまた自転車を走らせる。風は冷たく大汗をかくことはないが、日帰り温泉に立ち寄ってひと時を過ごす。

そういえば日帰り温泉では一人ぼんやりしている男の人が多い(女風呂はのぞいたことがないので女性については分からないが)。これも一人の楽しみ方だ。ただ僕は長風呂は余り得意でないが。

「風呂上りビール!」といきたいが、家まで自転車に乗るのでこれは我慢して家に戻ってから飲むことにした。コンビニで買ったおでんをつまみながら飲む一汗かいた後のビールは最高だ。たまの一人遊びは本当に楽しいと思うひと時だ。

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IMF対日本処方箋を読む~消費税の異時点効果

2011年11月28日 | 社会・経済

IMFはSustainability Reportの中で、税収を増やす施策の中で消費税の引き上げが一番注目に値すると述べ、数年かけて消費税を5%から15%に引き上げると、公的債務比率を適正レベルに引き下げるための財政調整の半分は手当てできると分析する。

IMFは段階的な消費税引き上げは目先のGDP成長率を0.3%から0.5%引き下げるが、最終的には公的債務が減少することで信頼が回復し、予防的な貯蓄が減り消費が拡大すると予想する。

私見を加えると、将来の不安に備える予防的な貯蓄は財政健全化の目処が立つだけでは減らない。年金や医療保険に対する信頼を高める必要があるし、その前提となる安定した経済成長の見通しをたてる必要がある。そのためには扶養者となる労働人口を拡大する必要がある。

話をIMFのレポートに戻すと、IMFは消費税を段階的に引き上げると発表するとinter-temporal subustitution effect「異時点間の代替効果」により、物価が上昇し、実質金利が下るだろう、またインフレ期待を高めるだろうと予想している。

平たくいうと消費税が上昇するので、その前に耐久消費財や貯蔵可能な財やサービスを購入しておこうという消費需要が起きるという予想だ。

これに関する実証的な研究発表を経済産業研究所の宇南山氏が「97年4月に消費税を3%から5%に引き上げた時、平均的な家計は直前3ヶ月で3万231円消費を増やし、直後の4ヶ月で2万1938円消費を減らした」と発表している。そして同氏は「消費税引き上げの所得効果は小さかった。すなわち、消費税を引き上げても消費が長期的に低下する可能性は低い」と述べている。

また宇南山氏は2011年10月18日の日経新聞に「97年4月の消費税引き上げは景気悪化の主犯とされたが、それは経済企画庁が暫定的に3月に景気の山があったと判断したためで、その後景気の山は5月だったと確定判断された。従って景気転換の主要因は6月に起きたアジア通貨危機と見るべき」という論文を発表している。

話がやや横道にそれたが、私は「消費税の異時点間の代替効果」については懐疑的に見ている。つまり短期的には前倒し消費が起きるが長期的には消費に対してニュートラルなのではないかと見ており、消費税の引き上げが長期的な物価上昇につながることも、需要の減少につながることも少ないのではないか?と見ているのである。

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IMF対日本処方箋を読む~支出削減は限界

2011年11月28日 | 社会・経済

2009年に政権を取った民主党が行ったことの一つに事業仕分けがある。つまり政府支出の無駄を減らそうという試みだ。局地的には多少の無駄をあぶり出すことはできたかもしれないが、マクロ的にはさほどの財源捻出は出来なかった。このことは多少なりとも財政問題に関心のある人ならば完全に予知できたことである。

何故なら日本の「社会保障費」を除いた政府支出は先進国の中でも一番低いからだ。また資本財への支出も95年をピークに着実に減少している。IMFはSustainability Reportでこのことを次のように指摘している。「日本の非社会保障支出は対GDP比で16%(2010年)とG20先進経済の中で一番低く、資本財への支出も妥当な水準まで低下していて、財政支出削減の余地はほとんどない。一方税収は消費税と個人所得税の低さを反映してG20の中で一番低い」

つまり社会保障費以外の支出を削減して財政健全化を図ろうというのは、実効性はなく政治家のパフォーマンス以外の効果はない。

次に社会保障費の問題について考えよう。日本の社会保障費は年間108兆円(日経新聞朝2011年11月27日朝刊)。高齢化で毎年1兆円を上回るペースで増えている。IMFは社会保障費の7割は高齢者にかかわる支出だと推定している。

今日(11月28日)の日経新聞朝刊に「社会保障の給付と負担に関する」世論調査の集計がでていた。それによると「給付水準を抑えてでも費用負担を抑えるべきだ」が47%、「費用の負担を増やしてでも給付の水準を維持すべきだ」が35%だった。

ところで日本の社会保障費は諸外国と較べるとかなり低い水準である。少し古い統計だが、2003年のOECD20カ国の社会保障費の対GDP比率を比較した資料を見ると、トップはスウェーデンの31.9%、2位がフランス29.1%、3位がドイツで28.5%、日本は16位で18.4%、米国は19位で16.6%だった。

社会保障費を「年金」「医療」「その他」に分けると、「障害・労災・傷病」を含む「その他」の分野で日本の支出が一番低いことが特徴的である。また「保健医療」に関するGDP比支出割合を見ると、日本は6.1%でOECD平均の6.3%を下回っている。

以上のことから考えると日本で社会保障費を削減するとすれば、年金給付削減に焦点をあてるしかないと考えられる。

年金給付の削減については支給開始年齢を68歳に引き上げる案が政府与党案に盛り込まれたが、小宮山厚労省大臣は来年の通常国会には法案を提出しないと述べている。年金給付の削減もまたハードルが高いのである。

財政調整は増税と歳出削減のコンビネーションで行なわれるべきだが、日本の場合歳出削減余地は少ない(だからと無駄を削減しなくて良いという訳ではない)ので、消費税の引き上げを中心とした増税に焦点をあてないといけないのである。

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