金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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【山の雑学】山岳県として新潟の実力はどれ位か?

2011年11月02日 | 

これは登山の観点から新潟県の山を評価しようと言う記事である。何故こんなことを思いついたか?というと、今週末ワイフと新潟県の弥彦山に一泊二日の小旅行を予定しているが、新潟県にはスキー場や温泉はあるが観光資源は本当に少ないと思ったことに端を発する。

「何故新潟県に観光資源が少ないか?」ということは別のブログで述べるつもりだが、山についても同県には観光資源となる山が少ない。登山の対象となる名山は結構多いのだが、運動靴で登ることができるような山は非常に少ない。

まず深田久弥の日本百名山をベースに各県の「山実力」を概観してみよう。

百名山が一番多く存在する県は長野県で100名山中30の山は長野県下にある(山頂が県境にある場合ダブルカウント)。2番目に百名山が多い県は山梨県で12の百名山がある。3番目は群馬の11で、4番目には9つの百名山を県下に持つ富山県、新潟県、北海道が並び、7番目福島6名山、8番山形5名山が続く。

なお新潟県を応援するならば、頂上の領有権争いで福島県に敗れた飯豊山(いいでさん)もダブルカウントしてあげたい。というのは飯豊連峰の主峰・飯豊本峰こそ行政上は福島県にあるが最高峰の大日岳は新潟県にあるからだ。

また新潟・山形県境に広がる朝日連峰も最高峰の大朝日岳頂上は山形県にあるが、連峰は新潟県にも広がり、鮭の溯上で有名な三面川(みおもてがわ)は新潟県の村上市に河口を持つ。

つまり飯豊連峰と朝日連峰を新潟県の百名山にダブルカウントすることはそれ程強引な話ではない。仮にそうすると新潟県下の百名山は11となり、群馬県と並ぶ3位に浮上する。

次に山の質について新潟県と隣の群馬県を較べてみよう。群馬県の百名山の中には車で中腹以上まで登ることができる山が二つある。赤城山と草津白根山である。またロープウエィで中腹まで登ることができる山も二つある。谷川岳(新潟県でもダブルカウント)と日光白根山である。

ところが新潟県にはそのような手軽な山は一つもない。谷川岳のロープウエィは群馬県側であり新潟側から登ると結構な登山になる。

新潟県には観光の対象としてズック靴で登ることができるような百名山は一つもないのである。むしろ里を離れると営業小屋のない山が多く、山慣れた人でないと苦労する百名山が多い。

また槍穂高のように目立つ岩壁はないが、越後駒ケ岳、巻機山、谷川岳北面などは素晴らしい沢登りと山スキーのルートを提供してくれる。だがこれらのルートを一般の登山者がたどることは無理だ。新潟県の山は玄人(くろうと)好みの山なのである。

以下は推論であるが、新潟県が山を観光資源にできなかった理由は幾つかある。一つは自然環境の厳しさだ。冬の豪雪とその雪で磨かれた絶壁は容易に人の手を寄せ付けず開発が困難だったことだ。また観光客が喜ぶ美しい湖、湿原、散策しやすい渓流など人を呼べる資源が少ない。また風景に北海道や北東北のようなエキゾチックな要素はなく、今ひとつ旅情をかきたてない。

良くいうドッシリして懐が深く、悪くいうと颯爽とした軽やかさがないのが新潟の山である。それ故に手つかずの自然が残り、登山者達を手強く歓迎してくれる。私は長野県は別格としても新潟県は山梨県や富山県と並ぶ山の実力者だと思っている。

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