コロナ感染問題に関しては、政府や都道府県の意見や報道に違和感を感じる人も多いのではないか?
たとえば今話題になっているGo to キャンペーン。ネットでちらっと見たのだが、サガテレビが佐賀県民に行ったアンケート調査によると65%の人がGo to キャンペーンに反対ということだ。
しかし政府は反対の声が多い中でキャンペーンの実施に踏み切るのだから「コロナウイルス感染拡大リスクを実際より低く操作する可能性がある」訳だ。無論逆のケースもありうる。何らかの理由で「コロナウイルス感染拡大リスクを実際より高く報じて、世論を自宅待機に誘導する」こともありうる訳だ。
アメリカの世論調査機関Pew Research CenterはThree months in, many Americans see exaggeration,conspiracy theories and partisanship in COVID-19 Newというレポートを出している。
「コロナ関連ニュースに3カ月接して、多くのアメリカ人は『誇張』『陰謀論』『政党意見』で事実がゆがめられていることが分かった」という趣旨だ。
Pew Research は「CDC(仮訳 アメリカ疾病予防管理センダー)」「州知事・州政府」「地方メディア」「全国メディア」「トランプ政権」の5つの情報源の内、どこが「事実関係を正しく伝えているか?」getting the facts rightというアンケート調査を行った(全米9,654名の成人に6月4日~10日に行ったもの)。
その結果一番信頼度が高かったのはCDCで回答者の64%が事実を正しく伝えていると回答した。
一方一番評価が低かったのはトランプ政権で、平均では僅かに30%の回答者が事実を正しく伝えていると回答したにとどまった。なお支持政党別に見ると、共和党支持者の54%は事実を正確に伝えていると回答し、民主党支持者の9%が事実を正確に伝えていると回答した。
因みにCDCの次に信頼度が高かったのは「州知事・州政府」で53%、次が「地方メディア」で50%、次が「全国メディア」で44%だった。
さて今日本で同様の調査を行うとどのような結果がでるだろうか?
それは分からないが、コロナ問題のように「前例や科学理論に政策の妥当性を見つけることが困難な問題において、ニュースソースは自己の政策課題を遂行するために事実を正確に伝えない可能性がある」ということをしっかり認識しておくことが重要だ。
たとえばコテコテの共和党支持者以外のアメリカ人は「トランプ大統領は自分の再選を狙ってコロナ感染リスクを過小評価しているのではないか?」と疑っている訳だ。
うがった見方をすると政治的野心が多い人や機関ほどリスクを過小または過大に操作する可能性がある訳で、政治的野心が少ないと思われるCDCは「良心に従って事実を正確に伝えようとしている」と多くのアメリカ人が判断したことは理に適っている。
アメリカでは11月の大統領選挙に向けて、政治的野心が事実報道をゆがめる可能性がある。
同様に安倍政権の末期を迎える日本でも政治的野心が事実報道をゆがめる可能性が高いと考えておいた方が良いだろう。