金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

亀井を取るかチェンジを取るか?

2009年09月25日 | 政治

エコノミスト誌に亀井郵政改革・金融相の記事が出ていた。記事は1970年代に警察官僚(正確には警備局極左事件統括責任者)として、連合赤軍と戦った亀井大臣は今度は資本主義に挑戦しようとしているようだと書き出す。

これはエコノミスト誌には書いていないことだけれど、亀井大臣は東大教養部時代「マルクスの亀井」と呼ばれるほどマルクス経済学に精通していた。資本主義への挑戦は青春の郷愁だろうか?

亀井大臣の「中小企業融資の3年間モラトリアム」について、エコノミスト誌はマッコリー・キャピタル証券のエコノミスト・Jerram氏の「これはリスクの社会化(または社会主義化)だ」という言葉を紹介している。

同誌がより問題視しているのは、郵政民営化見直しの動きだ。預金量で世界最大の郵貯銀行の株を国が保有し続けることは、預金者に国が暗黙の保証を与えることになり、国民経済的に良くないというのが、金融筋やエコノミスト達の見方であることは周知のとおりだ。

同誌は新政権は「日本をチェンジする」ことを約束しているが、このことが郵政国営化を続けるといった時計の針を戻すことを意味すると考えている人はほとんどいないだろうと結んでいる。

「鳩山内閣は亀井大臣のごり押しを認めて選挙民のチェンジ期待を裏切るか、亀井案を潰して国民新党が袂を分かつリスクを取るかという選択を迫られる」という趣旨のことを同誌は述べている。私は大風呂敷を広げた亀井大臣がどこかで妥協点を見つける可能性大と考えているので、この二者択一説には必ずしも組しないが。

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アフガン戦略の転換点は近いか?

2009年09月24日 | 国際・政治

今日(9月24日)の日本の新聞は鳩山首相とオバマ大統領がニューヨークのホテルで会談し「同盟関係の堅持を確認したが、インド洋での給油活動延長問題には直接言及しなかった」ことを一面で報じている。この会談についてニューヨーク・タイムズがどう評価しているかチェックしてみたが、記事を見つけることができなかった。G20で各国首脳が訪米し、オバマ大統領と会談しているので「内容のない会談」(アメリカにとって)はニュース・バリューがなかったということだろう。

更に深読みすると「アフガン戦略の重要な転換点」を迎えているアメリカにとって「インド洋の給油活動」の意味が大きく変化する可能性もあるので、急がない問題は後回しにして喫緊の問題に専念するということが考えられる。

オバマ政権にとって喫緊の課題は、早急にアフガン戦略を見直すことだ。引き金になっているのは、アフガニスタンの不正選挙とアフガニスタン派遣軍のマクリスタル司令官からの増員要請だ。更に最新の情報では「タリバンがパキスタン国内の聖域を利用してアフガニスタンで内乱を起こしている」という事実だ。

これまでのオバマ大統領のアフガニスタン戦略は「内乱対策」で、しっかりした政権を樹立していこうというものだった。しかし不正選挙により国民の信頼を失っているカルザイ大統領の下では内乱対策戦略は実行し難いという認識がオバマ政権内に広がっている。

今オバマ政権内で力を盛り返していると思われるのは、バイデン副大統領の「パキスタン内のアル・カイーダを攻撃する」という案だ。これは「テロリスト対策」戦略である。今年3月にオバマ大統領はこのバイデン案を却下している。その理屈は「アル・カイーダを打ち負かすために、アメリカはタリバンがアフガニスタンで勢力を盛り返すことを阻止する」というものだったが、今その見直しを迫られている。

アメリカの軍部と諜報機関は「パキスタンのバルチスタン州の州都クエッタがタリバンの拠点となっている。そしてこのタリバンを支援しているのが、パキスタンの諜報機関であるインターサービス・インテリジェンスである。」としている。

もしオバマ政権がパキスタン内のテロリストをスポット的に攻撃する方向に戦略転換すると、アフガニスタンへの増員は必要なくなり、むしろ戦線縮小に向かうだろう。これは派遣軍の死者急増で厭戦気分が高まっているドイツやイタリアも歓迎するところだ。もっとも私にはパキスタン内のタリバン抑圧が必ずしも上手くいくとも思われないが。というのはタリバン達テロリスト集団は相当戦略に長けていて、戦線泥沼化を図り、アメリカや同盟国の疲弊と厭戦気分の高まりを狙っているからだ。

オバマ政権内でバイデン副大統領、ゲーツ国防長官、クリントン国務長官、ミューレン統合参謀本部議長らがアフガニスタン戦略の見直しを議論しているが、結論に至るには今しばらく時間がかかるということだ。オバマ大統領やクリントン国務長官の本音は「今本当に急場で忙しいのだから、同盟関係を堅持すると言うなら、命の危険がない給油位続けてくれ」というところだろう。もっともそんなことはどこにも書いてないが。

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睡眠不足は風邪を招く

2009年09月24日 | 健康・病気

ニューヨーク・タイムズに「睡眠不足は風邪にかかるリスクを高める」という短い記事が出ていた。寒い季節が近づくにつれて人々はビタミンCやエキナセアを準備する。アメリカは医療費が高いので風邪位で病院に行く人は少ない。エキナセアというのはアメリカの先住民が利用していたハーブの一種で日本でも簡単に手に入る(私は試したことがないので効果のほどは知らないが)。

だがもっと良い風邪対策は睡眠ということだ。The Archives of Internal Medicineが153人の男女を使って、睡眠時間が7時間以下の人と8時間以上の人で風邪に罹りやすさを調べたところ、前者は後者の3倍風邪に罹りやすいことが分かった。睡眠は病原菌と戦う白血球の数を増やすので、感染に対する抵抗力が増すということだ。

☆    ☆    ☆

睡眠が健康に良いことは前から分かっていたが、年とともに朝早く目が覚めることが多くなった。ただ山登りやスポーツクラブで沢山運動した翌日はぐっすり眠ることが多い。一方お酒を沢山飲んだ時は明け方にめが醒めることが多いようだ。(運動してお酒を飲んだらどうなるかって?ケースバイケースでしょうね。)

「運動をする」ことは新陳代謝を活発にして、免疫力を高めるとともに、十分な睡眠を招き、十分な睡眠が白血球を増やし、風邪に対する免疫力を高める。これが良い生活習慣サイクルなのだろう。必ずしも実践できている訳ではないが、心がけたいことの一つだ。

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今度は銀行による国の救済?

2009年09月23日 | 金融

ニューヨーク・タイムズに「米国の預金保険が枯渇しそうで、大手行からの借り入れで凌ぐかもしれない」という記事が出ていた。米国の預金保険公社は4兆8千億ドルの預金に保険を提供しているが、今年初めから94の銀行が破綻したため、預金保険ファンドの残高は年初の3分の1の100億ドルにまで減少している。

法律により預金保険公社は財務省から1千億ドルの借入を行うことができる。しかし預金保険公社のシーラ・ベア総裁はガイトナー財務長官と関係がギクシャクしているので、市中大手行からつなぎ資金を借りるのではないかと観測されている。このプランは大手行も歓迎している。何故なら預金保険公社が政府資金を借りることになると、世論は銀行に対する規制強化を求めるからだ。

預金保険ファンドが急速に枯渇したのは、銀行の破綻が続出し、預金保険ファンドからの支払が急増したからだ。今倒産しているのは中小金融機関でその救済のために一時公的支援を受けた大手行が資金を融資するというのは皮肉っぽい話である。

だがこのことは「他山の石」としてよく勉強しておく必要があるだろう。日本で亀井金融担当大臣が「中小企業融資の3年間モラトリアム」提案を行っているが、万一モラトリアムが実施されると破綻する銀行が急増する。大臣は「その時は国が銀行を救済すればよい」と言っているが、先進国で一番財政状況が悪い国にそのようなお金がある訳がない。

国は国債という借金で破綻した銀行を救済するが、その国債を買うのは破綻していない銀行である(そして最終的に返済するのは国民である)。実体経済がよくならない限り、借金の付回しをしても物事は解決しないのである。

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Cut down (イディオム・シリーズ)

2009年09月23日 | 英語

Cut downは読んで字のごとく、切り詰めるという意味で、イディオムという程ではないかもしれない。だがこのデフレ経済下Cutという言葉は一種のマントラなのであえて取り上げてみた。

ニューヨーク・タイムズは日本の消費者の消費態度が完全に節約指向に変わったことを記事にしている。その中に次の一文があった。I have cut down on fruit since last year.「私は昨年から果物への支出を切り詰めている」という意味だ。消費者はメロンの替わりに安いバナナを買うのでバナナの輸入量は過去最高を記録している。

記事の中にCut-rate(割引価格とか安物という意味)に関する次の一文があった。Cut-rate category of "imitation" beers, a poor man's brew made with soy or pea protain instead of barley and hops. 「イミテーション・ビールという大麦とホップの替わりに大豆とえんどう豆でできた貧しい人のビールという割安カテゴリー」

これは第三のビールのことだ。この記事では第三のビールはマイナス・イメージで説明されているが私は必ずしも第三のビールを悪いとは思わない。特に運動をした後などサントリーの「金麦」をクィと飲むとさっぱりしていて気持ちが良い。

もっとも外国人は「イミテーション・ビール」と聞くと余り良いイメージが浮かばないかもしれない。インターネットを見ると「イミテーション・ビールのレシピ」があり「ラム酒に砂糖、レモネード、ホイップクリームを混ぜて作る」と書いてあったからだ。

タイムズによると、消費者の節約指向で7年前ウオールマートの傘下に入った西友の売上が伸びていて、今年初めて黒字を出すことが見込まれるということだ。

不況下でも高級品が売れる唯一の市場と言われた日本が漸く普通の国になったということだろう。

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