金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本人には樹木葬が似合う

2014年08月16日 | うんちく・小ネタ

お盆の時期なので、マスコミでもお墓の話題が取り上げられている。朝テレビで「小平霊園の樹木葬用墓地の申込が分譲数の10倍になった」という話が流れていた。

伝統的な石のお墓の他に色々な遺骨の祭り方が増えているが私は樹木葬が日本人の伝統的な霊魂に対する考えに一番合っているのではないかと考えている。

私は世界的に見ると死後の魂のあり方について4つの考え方に分類できる考えている。

第1は「最後の審判型」だ。これはキリスト教とイスラム教の考え方だ。人は死ぬと生前の行いについて神の裁きを受け、魂は天国に行くか地獄に落とされるかふるいにかけられる。そしてどちらかに行った魂はそれで終わりというものだ。

第2は「輪廻転生型」だ。これはヒンズー教の教えが典型的だ。人は死ぬと生前の行いの良し悪しにより、「天・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄」の六道のいずれかに生まれ変わる。そこでまた修行を積み、死ねばまた次のいずれかの六道に生まれ変わるというものだ。

第3は「里山型」だ。これは中国、日本など東アジアに多い考え方で、死後人の魂は比較的人間社会に近いところに相当期間とどまっているという考え方だ。古い日本の考え方では人の魂は人里からそう遠くない森の中にとどまっていると考えられたからこれを「里山型」となずけた次第だ。

第4はそもそも「死後に霊魂は残らない」という考え方や「死後の世界のことは分らない」とする考え方でこれを「霊魂消滅型・不可知型」と分類した。

私はお釈迦様は第4の「不可知型」の考え方を取っていたと考えている。

日本の仏教がどのような考え方を取っているのかははっきりしない。その理由は江戸時代に始まった檀家制度とお寺の収益維持システムとしての「お墓の仕組み」が霊魂のあり方に対する論理的整合性を歪めているからだと私は判断している。

浄土真宗を開いた親鸞聖人は、「自分が死んだら遺骸は賀茂川に流してくれ」と言っていたそうだが、これは「死ねば自分の魂は阿弥陀如来の力により必ず極楽往生する」という宗教的信念と整合する。しかしそれではお寺の大きな伽藍や宗門システムは維持できないので、後世「お墓」や「追善供養」といったシステムが編み出されたのだろうと私は考えている。

なお私の分類では親鸞聖人の教えは「輪廻転生型」の変形で、永劫的な輪廻のサイクルを一足飛びに飛び越しして、ゴールの極楽に直行するとしたものだと考えている。

今まで「お墓」のマイナス面を書いたが、プラス面もあると思う。それは「霊魂里山型」を先祖代々の刷り込みとして持っている我々日本人にとってはお墓は魂の依代(よりしろ)的な意味があるからだ。

もしそうだとすると石のお墓に葬られるより、樹木の中に葬られる方がよりしっくりくるのではないだろうか?

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米国で非婚女性の出生率久しぶりに低下

2014年08月15日 | 社会・経済

ピューリサーチ・センターは、全米保健医療統計センターの調査によると、久しぶりに非婚女性の出生率が低下したと報じていた。非婚女性の出生率は2008年には、出産可能年齢の非婚女性1,000人に52人の割合に達した出生率は2013年には45人に低下した。

これは法律婚・事実婚を合わせた総ての出生率のトレンドに沿うもので、リセッションの影響によるものと考えられる。ただし全体の出生率は既に底打ちしているので、多くの専門家は非婚女性の出生率も回復するだろうと見ている。

ところでピューリサーチ・センターのレポートが、着目しているのは、非婚出生率の国際比較とその趨勢だ。

レポートによると、生まれてくる赤ちゃんの内、婚外子の割合が高いのはアイスランド67%、フランス56%、スウェーデン54%、英国48%などだ。米国の婚外子の割合はもう少し低く41%だった。

EU諸国平均の婚外子割合は39%だが、総じて北欧諸国の婚外子の割合が高く、ギリシア8%やキプロス19%など南欧諸国の婚外子の割合は低い。EU加盟を希望しているトルコの婚外子の割合は3%である。

ピューリサーチ・センターは日本の婚外子の出生総数に占める割合については言及していないが、少し古い2003年のデータによると1.9%だからトルコ以下程度だろうと思われる。

米国のトレンドを見ると、1960年には約5%だった婚外子の割合は、1970年には11%に上昇し、1990年には28%、2008年には41%に上昇している。

婚外子の比率が増えるに伴い、米国では婚外子を容認する人が増えている。ギャラップの今年の調査によると、成人の58%が婚外子は道徳的に受け入れられると述べている(2002年の調査では受け入れられるという人は半分以下だった)。なおピューリサーチ・センターの2011年の調査では64%の人が「婚外子が増えることは悪い方への変化」だと考え、29%は変わりなし、4%の人は「良い方への変化」だと考えていた。

この調査では「なぜ法律婚より事実婚を選択するのか」という原因については述べられていなかった。たとえばフランスで事実婚が法律婚より多い理由は、一度法律婚をすると離婚が極めて難しいということがあげられる。

日本については平成17年度の国民生活白書が事実婚を選択する理由として次のようなものを上げていた。

「夫婦別姓を通すため」「戸籍制度に反対」「夫は仕事・妻は家事という性別役割分担から解放されやすい」「相手の非婚の生き方を尊重」(男性が回答割合大)

日本では事実婚の場合は生活費は男女半々で負担するという回答の比率が一番高いから、女性のキャリアアップに伴って事実婚が多少は増える可能性はあるかもしれないと私は感じている。しかしもし「夫婦別姓を通すため」に事実婚が選択されるとすれば、選択的夫婦別姓制度の導入で対応するべきではないか?という気もするのだが。

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びっくりしました 灰谷健司氏の死去

2014年08月14日 | うんちく・小ネタ

灰谷健司さんは三菱UFJ信託銀行の執行役員で相続や遺言問題に関する著書も多い方だ。個人的な面識はないが、学会(日本相続学会)のセミナーのご案内をさしあげようと思い、インターネットを調べていたら、なんと今月10日に大腸がんでお亡くなりになり、一昨日告別式が行われたということであった。

機会があれば学会でも講演をして頂こうと思っていただけに他人事とは思えない悲報である。

ご冥福をお祈りします。

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GDP大幅落ち込みでも投資家が強気な理由

2014年08月14日 | 金融

昨晩(8月13日)は久しぶりに赤坂に行き、昔の証券関係の仕事仲間と「まるしげ夢葉家(むようや)」という居酒屋で一杯飲んだ。仲間の一人の還暦祝いだ。「まるしげ」のある赤坂みすじ通りは黒塗りの車が停まっている料亭筋や韓国料理の店が多いところだが、「まるしげ」はリーズナブルな値段で美味しい料理と酒を出す中々良い店だ。太田和彦氏が「居酒屋百名山」に選んでいることに納得した。

さて昨日発表された日本の第2四半期GDPは年率換算で6.8%という予想通りの大幅落ち込みだった。しかし日経平均株価は52.32ポイント(0.35%)上昇。また夜間取引でも100ポイントほど上昇している。過去の例ではGDPが落ち込むと株価が下落するパターンが多いがどうして今回は株価はしっかりしているのだろうか?

理由は幾つかある。一つは第2四半期GDPについては、4月の消費税引き上げ前に急増した第1四半期GDPの反動として大幅な下落が予想されていたことだ。市場では7.1%の落ち込みと予想されていたから、それより若干良かったので安心感が広がったのだろう。

また先週ウクライナ情勢悪化予想などから、世界同時的な株安の中で日本株も下げていたから「買いやすい」水準にあったことも好材料だったと思う。

株式のバリュエーションの点では、日本株が割安水準にあると考えるグローバルな投資家が結構いることも相場を支える要因だ。確かにTOPIXのPERは14.3倍で、米国のS&Pの18.2に較べるとかなり低い。

企業業績が良いことも好材料だ。モルガンスタンレーによると、四半期決算を発表した会社の52%はアナリスト予想を上回る純利益を上げている。

また経済成長率の鈍化に伴い、2%のインフレターゲット目標が困難になると判断すれば、日銀が追加的な金融緩和に動くという期待も大きい。

更にGPIFが日本株への資産配分を現在の12%から20%に引き上げを検討している(ロイター)ことも短期的には大きなプラス材料だ。

昨晩証券業務をやっていた連中と飲んだこともあって、株屋さんみたいなことを書いてきたが、正直なところ私も短期的には日本株には強気で臨んで良いと考えている。

しかしである。5年、7年、10年という長期的な視点で考えた場合に日本株に強気で良いのか?というと答えは「?」である。その理由は単に「アベノミクスの第三の矢」である構造改革の達成に疑問を持っているからだけではない。もっと大きな何か?に不安を感じているからだ。

そのもっと大きな何か?の代表的なものは「人口減少」と「大都市圏と地方」のアンバランスである。この2つは「今の日本は本当に住みやすく、安心して子育てができる国なのか」という問題でつながる。親が自分たちの人生は楽しい、その楽しい人生を子孫に伝えたいという思いが高まれば、生物の本能として、私は子どもを持つ親が増えると思うのである。

赤坂の居酒屋の気の置けない連中との一夜は楽しかった。しかし我が家から赤坂は遠い。お盆休みで電車が空いていたので帰宅は楽だったが予想どおり少し乗り過ごしてしまった。東京は大き過ぎる。

「もっと楽に通勤できる環境で働きたい」「子育てが楽なように職住接近を考えたい」「法定の有給休暇位は安心して(上司の顔色を窺わずに)取得できるようにしたい」ということについて会社と従業員が真面目に考え、ソリューションを考えることが、私は日本の長期的な経済成長には一番大切なことではないか?と考えているのである。

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ドミノ・ピザ、日本の低賃金で儲け拡大

2014年08月13日 | 社会・経済

ドミノ・ピザ・エンタープライズは、世界で1万店あるドミノピザの約1割を運営する会社で本社はオーストラリア。昨年8月に米系投資ファンドからドミノ・ピザジャパンの株式の75%を取得した。

そのドミノ・ピザ・エンタープライズの2014年6月期年間決算は、純利益が48%増えて、42.3百万ドルになるという好調なものだった。

CNBCによると、増益要因の一つはドミノ・ピザジャパンの買収だった。ドミノ・ピザ・エンタープライズのMeij CEOは、日本のピザ店の運営コストはオーストラリアやニュージーランドより安いという。「店舗の賃料はオーストラリアより安いし、賃金はオーストラリアの半分だ。食材は総て輸入しているので、少し高い。しかしピザの売値が高いので日本は良い市場だ」と彼は述べている。

このニュースのタイトルはThe future looks tasty for Domino's in Japan

「日本のドミノピザにとって将来は美味しくみえる」

日本の物価が相対的に高かった頃は「老後は物価の安い海外で暮らそう」というプランを宣伝する雑誌などもあったが今はあまり見かけなくなった。物価という点では日本は他の先進国よりaffordable(お手頃)になっているのだ。だが人件費がオーストラリアの半分というのは問題である。

昨今の外食産業の人手不足問題がどの程度賃金アップにつながるか注目したいところである。

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