惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

不快害虫

2015-06-04 21:34:22 | 動物

 別に害を与えるわけではないものの、存在自体が不快であることから害虫呼ばわりされる虫が増えてきているそうです。人間のエゴとしかいいようがありませんが、感覚的にダメなものはダメなんでしょう。

 実は、私の部屋には不快害虫がいっぱい。
 そもそも室内でミミズを飼っていることに耐えられない人がいるでしょう。ミミズ御殿には主人のシマミミズだけでなく、一緒になって生ゴミを処理してくれる小さな虫がたくさんいるのです。トビムシ、ハサミムシ、ダニ……。

 この季節になってコバエが発生してきました。たぶんクロバネキノコバエの仲間。
 ぶんぶん飛び回られるのも嫌なのでコバエ取りのトレイを100円ショップで買ってきて設置してみましたが、効果がありません。昼間は窓を這いまわることが多いので、粘着テープで捕殺し、暗くなってくると電撃殺虫器を点灯しています。今のところ、これがいちばん効果的。根治は無理でしょうから、時期が過ぎるのを待つしかないのかもしれません。

 今日の桂文楽師匠(8代目)の演目は「厩火事」。
 髪結いのおかみさんが、昼間っから酒を飲んでぐうたらしている亭主の心情がわからないと、仲人の男に相談にゆく。愚痴を言いたいだけで、亭主の悪口をいわれると却って反論したりする。仲人は、亭主の気持ちを確かめるために、大事にしている焼き物を割ってみろとおかみさんに焚きつけるが……。

 解説によると、文楽師匠はこの噺を3代目の柳家小さんから教わったそうで、もとは50分もあったとか。この録音では21分。師匠が話のエッセンスが際立つように磨きあげ、磨きあげして、この形にしたんでしょうね。噺の筋立てはすっきりと伝わってきます。
 ここに談志師匠の言葉を引いてみると――

 作品を気持ちよく客に聞かせるということが、落語の主眼であるという文楽だから、噺をどんどん刈りこむことができたのであろう。リアルに演ろうとしたら、逆に噺がふくらんでいくものである。文楽の噺をそのまま私が演っても、出てくる人間の感情が客に伝わらない。どうしても言葉を増やさないと、ダメなのである。(『あなたも落語家になれる』三一書房、1985)

 談志さんのいうとおりだと思います。
 そぎ落としてゆく芸と、遊びを入れてゆく芸とがあるとすれば、文楽師匠は前者の極み。
 私としては、もうちょっと、おかみさんや仲人さんの性格がふんわり出ればなあと感じます。ただ、ほとんど不在の髪結いの亭主に対する想像力は膨らみますが……。