お昼はなでしこジャパンの応援。足をつったカメルーンのエンガナムイ選手を、日本のゴールキーパー海堀選手が一所懸命治療しているのが印象的でした。勝って良かった。
夕食後の落語は今日も三代目金馬師匠。
演目は「田の馬場」。浅草でガマの油を売っている姉弟に、古傷のある男が「これにも効くか?」と訊いたことから、男が姉弟の親の仇であることがわかり、明日、田の馬場で果し合いを――ということになるが……。
これもラジオで聴いた覚えがあります。ガマの油売りの口上の見事なこと。
ところで、金馬師匠は落語通の文化人には評判が悪かったとか。久保田万太郎や安藤鶴夫、正岡容などが口をきわめてけなしたそうです。江戸時代以来の落語の美学に沿っていないということだったのでしょうか。確かに「粋」という感じの語り口ではありませんでしたねえ。
しかし、誉める人もいます。談志師匠は「好き嫌いとは別に(中略)金馬の芸のしたたかさ、レパートリーの広さ、大衆にもわかる芸のうまさ、明るさ、その他もろもろも含めて、その内容とテクニックは、文楽・円生をはるかに凌ぐものがあった、と私は思っている」(『あなたも落語家になれる』三一書房、1985)と書いています。
確かに、ラジオを通して聴く落語家の中では、いちばん話がよくわかり、声もはっきりしていたし、人物の描き分けもくっきりしていました。
釣りに行って鉄橋で汽車にはねられて片足を失ったこと、知り合いの釣竿職人一家が空襲に合い、1人生き残った海老名香葉子さんを養女のようにして育てたことなど、いろいろなエピソードも興味深い噺家さんです。