昨夜は立花家橘之助さんに惚れましたが、今日、続きを聴いた歌六師匠の音源では、これまた女流の三味線にうっとり。
宝集家金之助(本名:笹川たみ)の「櫓太鼓」。櫓太鼓の激しい音を三味線で再現――というか、モチーフとした楽曲に仕立てている。昔の芸人さんの技能はただならぬものがありますねぇ。
かつて、明治の若者たちは娘義太夫に熱をあげ、その興奮ぶりは今のアイドルに対するそれをはるかに凌駕したとか。うなずける話です。
他には、初代・桂春団治「なさぬ仲」、3代目・蝶火樓馬楽「長屋の花見」、初代・桂枝雀「芋の地獄」など。どれも短く、芸風の見本ぐらいのものです。
それにしても、明治の高座での語り口を聴いていると、今の古典落語と、まったくといっていいほど変わりません。たぶん、江戸末期もこんなようなものだったのでしょう。
ということは、落語は江戸の文化をそのまま残してくれているんですねえ。150年以上前の遺産が今も生きている。素晴らしい(と褒め讃えるのと同時に、現代の落語とは何かを考える必要もあるでしょうね)。