惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

SFファン交流会

2015-06-20 21:44:53 | SF

 音羽山親方の訃報に愕然。享年43!
 現役だった頃、貴ノ浪関はまるでクレーンのようで、肩越しでも何でも相手のまわしさえ取れば、ぐっと吊り上げて土俵の外へ持ってゆく。豪快でした。
 引退してからは、和やかなキャラクターに加えて、話も上手。NHKの相撲番組では実に良い味を出していました。ロシア、東欧の相撲事情を取材したドキュメンタリー番組が忘れられません。
 相撲のグローバル化に、後進の指導に、これから真価を発揮する人だったと思います。実に残念。ご冥福をお祈りします。

 今日は午後2時から笹塚区民会館でSFファン交流会
 「SF系新人賞出身新鋭SF作家座談会」ということで、最近デビューした新進気鋭の作家さんたち5人が登場しました。司会は大森望さん。

 デビュー順に話が進行したので、ここでの紹介も同様に。

 片瀬二郎さんは第2回創元SF短編賞大森望賞受賞。
 子どもの頃からSFは読んでいたが、小説を書こうと思った頃はホラーブームで、そちらが面白くてエニックスの賞をとってホラー作家としてデビュー。フェイドアウトする形で遠ざかっていたけれど、創元SF短編賞に応募してSF作家に。1年前に出た『サムライ・ポテト』(河出書房新社)は、幅広い作風の短編を並べて好評を得ています。
 居心地はホラーよりSFの方かいいとか。
 お名前は「かたせ・にろう」と読みます。「じろう」じゃないのは、「親がそうつけた」からだそうですが、本名は姓が別。つまり、ペンネームなのです。

 倉田タカシさんは、第2回ハヤカワSFコンテスト最終候補作となった『母になる、石の礫で』がこの2月に早川書房から出たばかり。先鋭的な作風がSFファンの注目を浴びています。
 ウィリアム・ギブスンの作品集『クローム襲撃』やブルース・スターリングのSF作品がお好きだそうで、このところ不遇なスターリングのためにも、自分が頑張ってスターリングを見直させなくてはとのこと。
 他の4人は何らかの賞を得ているのに、自分だけ獲っていないと嘆いていると、大森さんが「最終候補2作(創元SF短編賞とハヤカワSFコンテスト)なので、併せて1本でいいのでは」と慰めていました。

 高山羽根子さんは第1回創元SF短編賞佳作入選。その「うどん キツネつきの」を表題作とする作品集(創元日本SF叢書)を昨秋、上梓。読みやすいけれど、果てしなく奥深い作風に惚れ込む人が続出しています。
 最初に書いた「小説」は、美大4年の時、リトルモア主催「ストリートノベル大賞」に応募したもので、テプラで打った文章や手書き文が混在したコラージュのような作品だったらしい。
 その後、就職した職場が超多忙で、定時退社ができるようになった10年ぐらい前から、再び執筆を開始。たまった作品の中から、友人に選んでもらった作品を、その友人が選択した新人賞(創元)に応募したそうです。「最小限の要素に削ったので手がかりが少なくなったかもしれない。3度読めば、3度違ったふうに受け取ってもらえるかも」とのこと。本当、読むたびに発見があるのです。

 宮澤伊織さんは、最新の第6回創元SF短編賞受賞。その作品「神々の歩法」はもうすぐ発売される創元SF文庫の年刊傑作選で読めるはずですが、実は、すでに7~8作を出版している中堅といっていいような作家さんなのでした。『ウは宇宙ヤバイのウ! ~セカイが滅ぶ5秒前~』(一迅社文庫)はSFマインドに溢れたパロディ小説らしい。あれこれ、SFのネタを盛り込んであるので、純然たる創作の部分まで「元ネタは?」と訊かれたりするそうです。
 もうひとつの仕事であるゲーム業界の話も興味深いものでした。あれこれ、多彩な作風の作品が期待できそう。

 柴田勝家さんは第2回ハヤカワSFコンテスト受賞作『ニルヤの島』(ハヤカワSFシリーズJコレクション)で昨秋デビュー。戦国武将そのままのペンネーム(大学1年の時からのあだ名で、先生も「勝家」と呼ぶとか)に負けぬ強烈な個性の持ち主で、まずはメイド喫茶の話題で盛り上がってしまいました。
 次回作は(メイド喫茶などで)執筆中だそうで、今年中には読めるかもしれません。

 と、後にゆくにつれて駆け足になりましたが、どなたもしっかりした意見と才能の持ち主で、末頼もしく思いました。ますますのご活躍をお祈りします。