昨日(3月13日)ニューヨークダウは242ドル下げた。これは今年二番目の下げ。原因はサブプライム住宅ローンに関する懸念やリテイル・セールス・データに対する失望だ。これでダウは年初来3.1%下がった。
サブプライム市場が問題を抱えていることは先刻承知なのだが、裏付けするデータが出てくると心胆を寒くするものがあるのだろう。米国のモーゲージ・バンカー協会が昨日発表したところでは、サブプライム・アジャスタブル・レート・モーゲージの第4四半期の延滞率は1.22%上昇して14.44%に達した。また597万件のサブプライム住宅ローンの4.53%が競売に付されている。
プライムローンが競売に付される比率はもっと低く第4四半期末で0.5%だが、これも第3四半期末の0.44%よりは上昇している。モーゲージ協会のチーフエコノミストのダンカン氏によると「年末には住宅市場が安定するので、延滞による競売比率も安定化する」ということだ。
この様な記事の中で「さすがはアメリカ、さすがは投資銀行」と思わせるニュースがある。それはゴールドマン・ザックスがサブプライム市場のプレーヤーを買収しようと力を入れているというニュースだ。
ウオール・ストリート・ジャーナルはゴールドマンは投売り価格Fire sales pricesでサブプライム・セクターを買おうとしていると報じる。サブプライム・ビジネスを安く買おうとしているのは、ゴールドマンだけでなく他の投資銀行も同じ考えだ。ただしゴールドマンはリーマン・ブラザースやベア・スターンズに比べて今までこのセクターに余り投資していないので、傷が浅くより入り易い。
今NHKで「ハゲタカ」というドラマをやっているが、ハゲタカの親玉はこの米国の投資銀行なのだ。しかしウオール・ストリート・ジャーナルなどを見ても、ハゲタカを悪く見ている様には取れない。何故ならハゲタカのような、底値の買い手や逆張りの投資家がいるから市場が反転するからである。日本の様にサラリーマン投資家では、順張りしかできないのである。順張りでは市場のブレを増幅させるだけである。
ところでサブプライムローンの問題は米国の銀行業界にディスクロージャーの点で影響を与える可能性があると私は見ている。それは引当金の計算根拠に係る開示の問題だ。現在米国でも個別金融機関の貸倒引当金の計算根拠は開示されていない。またここ数年景気が良く、デフォルト率が低下していたので引当金比率は歴史的な低率になっていたが、そろそろその反動が出てくるころだ。引当金の積み増しと引当金の根拠の開示、これが米銀の次の課題であろう。
従って投資銀行がハゲタカの如く上手に立ち回っても、今後の株価のパフォーマンスがどうなるか?ということを占うのは速すぎる様だ。