金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ハゲタカ舞うサブプライム市場

2007年03月14日 | 金融

昨日(3月13日)ニューヨークダウは242ドル下げた。これは今年二番目の下げ。原因はサブプライム住宅ローンに関する懸念やリテイル・セールス・データに対する失望だ。これでダウは年初来3.1%下がった。

サブプライム市場が問題を抱えていることは先刻承知なのだが、裏付けするデータが出てくると心胆を寒くするものがあるのだろう。米国のモーゲージ・バンカー協会が昨日発表したところでは、サブプライム・アジャスタブル・レート・モーゲージの第4四半期の延滞率は1.22%上昇して14.44%に達した。また597万件のサブプライム住宅ローンの4.53%が競売に付されている。

プライムローンが競売に付される比率はもっと低く第4四半期末で0.5%だが、これも第3四半期末の0.44%よりは上昇している。モーゲージ協会のチーフエコノミストのダンカン氏によると「年末には住宅市場が安定するので、延滞による競売比率も安定化する」ということだ。

この様な記事の中で「さすがはアメリカ、さすがは投資銀行」と思わせるニュースがある。それはゴールドマン・ザックスがサブプライム市場のプレーヤーを買収しようと力を入れているというニュースだ。

ウオール・ストリート・ジャーナルはゴールドマンは投売り価格Fire sales pricesでサブプライム・セクターを買おうとしていると報じる。サブプライム・ビジネスを安く買おうとしているのは、ゴールドマンだけでなく他の投資銀行も同じ考えだ。ただしゴールドマンはリーマン・ブラザースやベア・スターンズに比べて今までこのセクターに余り投資していないので、傷が浅くより入り易い。

今NHKで「ハゲタカ」というドラマをやっているが、ハゲタカの親玉はこの米国の投資銀行なのだ。しかしウオール・ストリート・ジャーナルなどを見ても、ハゲタカを悪く見ている様には取れない。何故ならハゲタカのような、底値の買い手や逆張りの投資家がいるから市場が反転するからである。日本の様にサラリーマン投資家では、順張りしかできないのである。順張りでは市場のブレを増幅させるだけである

ところでサブプライムローンの問題は米国の銀行業界にディスクロージャーの点で影響を与える可能性があると私は見ている。それは引当金の計算根拠に係る開示の問題だ。現在米国でも個別金融機関の貸倒引当金の計算根拠は開示されていない。またここ数年景気が良く、デフォルト率が低下していたので引当金比率は歴史的な低率になっていたが、そろそろその反動が出てくるころだ。引当金の積み増しと引当金の根拠の開示、これが米銀の次の課題であろう。

従って投資銀行がハゲタカの如く上手に立ち回っても、今後の株価のパフォーマンスがどうなるか?ということを占うのは速すぎる様だ。

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10年振りにバンコクを歩いた(2)

2007年03月14日 | 旅行記

バンコクでの夕食はパック旅行のメニュー外なので自分達でセットした。一日目は現代風タイ料理を選び、ホテル(インペリアル・クイーンズ・パーク)の近くのレモングラスLemongrassというレストランに行く。旅の本には独創的ヌーベルタイ料理とある。何がヌーベルなのか良く分からなかったが、香草をたっぷり使ったサラダ等は美味だった。ボリュームは結構あるので料理は一皿で中年夫婦二名分位はあると感じた。このレストランは西欧人のお客も多くボーイさんの中に英語が得意な人がいるので英語で注文する分には困らない。因みにお腹一杯になる料理とビール、ワインを少々飲んで二人で1,580バーツだった。

Kazari_1

写真はエメラルド寺院の前の塔についているものでレストランとは直接関係はない。しかしタイ人は華やかなものが好きそうだ。華やかといえば私達が泊まっていたホテルから3,4分のところスクンビット通りはBTSプロームポン駅前にエムポリウムEmporiumという巨大複合商業施設がある。1、2階はシャネルのようなインターナショナルな高級ブランドが占め5階にはフード・コートというカフェテリア的なレストランがある。エムポリウムというのは「商業施設」という普通名詞だから、Emporiumという命名はザ・モールという程度の語感だろう。

私はこのショッピングセンターに入っているジム・トンプソンの店でネクタイを2本買った。一本1200バーツなのでフェラガモなどに比べると安い。デザインはそこそこ良いが昔買った経験では少し絞め具合がしっくりこない時があった。果たして改良されているだろうか?

又ここのフードコートでワイフと夕食を食べた。ワイフはイタリアン、私はインド料理を注文する。料理の種類が異なっても一緒に食べることができるので夫婦で食べたいものが違う時など便利だろう。でも何のことはない、昔の百貨店の大食堂と同じということだ。お値段は二人合わせて950バーツ程度。タイの感覚では安いとはいえないだろう。

ところでこのような巨大商業施設を見るとここがバンコクであれ東京であれあるいは上海であれ、ニューヨークであれ変わりがないような気がする。どこでも1階、2階の良い場所はグッチやシャネル、エルメスといったインターナショナルブランドが軒を並べ、レストラン街にはフレンチ、中華などの世界の主要な料理が並ぶ。これがグローバル化ということなのだろう。

バンコクの幾つかの店で食事をしたが、大雑把にいうと日本に比べて店の格(ホテルの中の店とかフード・コートとかという意味)程には料金に差がない様に思った。余り財布を気にせずに雰囲気の良い店を選んで食事をするというのもバンコクの楽しみ方の一つだろう。

それにしてもエンポリウウムなどの商業施設を見るとバンコクの人々も豊かになったなぁと思う。もっとも利用者の内どれ位がタイ人なのか等詳しいことは分からないが。

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タイ・アユタヤへの日帰り旅行(2)

2007年03月14日 | 旅行記

バンパインの夏離宮を出て、アユタヤの廃墟に向かう。アユタヤに近づいた時日本人町跡を通ったが、外人向け(私達から見て)ツアーなのでガイドさんが二言三言解説しただけで素通り。日本人向けツアーなら立ち寄ったのだろうか?

アユタヤにはアユタヤ王朝(1351年~1767年)の首都だ。アユタヤ14世紀には東南アジアで一番栄えたということだが、隣国ビルマに攻め滅ぼされた。ガイドさんによると歴史上ビルマとタイの間に40回の戦争があり、7割方はビルマが勝利を収めていた。

古都アユタヤと周辺歴史地区は1991年に世界文化遺産に登録されている。ところがガイドさんの案内や現地の案内板(そもそも余りないが)でも世界遺産という言葉はほとんど出てこない。世界遺産をありがたがるのは日本人だけなのだろうか?

それはさておきまずワット・プラ・マハータートWat Phra Mahathatを見学する。ここでは木の根の間の仏頭が有名だ。この写真はアユタヤを紹介する時大体出てくる。

Hotokeatama

この仏頭の回りには頭のない仏像が沢山並んでいるが、頭のついた仏像もある。ただしこれは新しく作ったものだ。

Ruin1

破壊された寺院や仏像は戦争の悲惨さや栄枯盛衰を伝えても良さそうだが、この廃墟に立ってみると余りその様な感慨はわいてこない。真昼の焼ける様な太陽が照りつけ歴史の陰影をも平板なものにしているのかもしれない。

もし夕方にでもこの廃墟に佇めば(ライトアップがあり夕方のツアーもある)、数百年前に傷つけられた仏達が何かを語りだすのだろうか?

次にワット・ナー・プラメンWat Na Phrameruに行く。後で調べたところこのお寺でタイ王国とビルマ王国の和解が行われたことがある。ただしその後ビルマがアユタヤに侵攻し、このお寺からカノン砲を撃ったということだ。そのためこのお寺はビルマ兵による破壊をまぬがれている。

Hotoke_1

このお寺は今もアユタヤの人の信仰を集めていてお参りの人が沢山いた。仏様の前には黄色い衣を着た中年の少し太ったお坊さんが汗を拭き名ながら信者に向かってお経をあげていた。

最後に涅槃仏を見に行く。この涅槃仏はタイで二番目に大きいということだ。三番目がワット・ポーの涅槃仏で昨日拝観した金箔の仏様。一番の仏様は何処にあるのか説明は聞いたが分からなかった(地名を知らないので無理はないが)

Nehan

さて涅槃仏を拝観した後は30分程バスに乗りクルーズへ。クーラーの効いた船室でバイキングを食べながらバンコクへの船旅開始。午後1時乗船で下船は4時半前なので約4時間半の船旅だ。

最初はチャオプラヤ川の両岸に点在するお寺や高床式の住居に異国情緒を感じていたが次第に退屈してくる。

Kawanootera

こういう時ツアーの外人というのは余り退屈せず(少なくとも見た目は)、暑いデッキに出て川の景色を見たりしている。どこか違うのだろうか?

バンコクに近づくと高層マンションが見える様になる。高層マンションを背景に船を漕ぐ親子の写真を撮ってみた。せわしない現代と悠久のチャオプラヤ川の流れといったテーマで写真を撮りたいと思ったが、時間や舞台装置が中々揃わない。歴史を語るにはタイの昼間の太陽は明る過ぎる。

Kawamansion

クルーズの終着手前で王宮の前を通った。

Palace

左の塔がエメラルド寺院の前の仏塔群で右奥が拝謁等に使われるプラ・マハー・モンティエン建物群の様だ。

タイで写真を撮ると絵葉書的になってしまう。建物が原色で風景に陰影が少ない故だろうか? オリエンタルホテルの隣の船着場で下船しアユタヤへの一日旅行は終わった。

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