エコノミスト誌は3月15日にバブルの語源にもなった有名な南海泡沫事件South Sea Bubbleと南シナ海The South China Seaに面するベトナムをかけて、ベトナムの株式市場がバブル状態になっていると警告を発している。
南海泡沫事件とは奴隷貿易等で独占権を持つ英国国策会社の南海会社が、1720年に英国政府の戦争による債務を国債という形で引き受けることになったことに端を発する。128ポンドだった同社の株価は1000ポンド以上に跳ね上がり、100以上の会社が南海会社に便乗しようとこのゲームに参加し始めた。しかし政府はバブル法という法律を制定して待ったをかけた。一方南海会社の本業の方は業績が上がらず株価は急落。その後政府の支援で株価は140ポンドで安定したいうものである。
さてベトナムの状態だが、エコノミスト誌の記事のポイントを拾うと次の様なものだ。
- ベトナムの株価指数VN Indexは昨年145%上昇し、3月12日までにさらに56%上昇している。
- ベトナムに7年前まで株式市場が存在しなかったことや、ベトナムが2000年以降7-8%の経済成長率を享受していることを考えると強気相場は部分的には正当化できる。
- 民営化される国営企業を含む多くの企業は今やっと正しく監査を受ける会計処理を始めたところである。従って隠れた恐怖の種がある一方、隠れた宝もあるという状態だ。特に土地の簿価は時価よりかなり低い。
ここでエコノミスト誌は、とはいうものの、ホーチミン市の即席のトレーディング・ルームは南海泡沫事件を醸成したロンドンのコーヒーハウスに似てき始めたと警告する。
それはベトナム株の異常なPERの高さに表れている。IMFが計算したトップ20社のPERは73.3である。これは現在の世界平均が約18倍程度、高いインドで20倍という水準に比べると異常に高い。また1997年の通貨危機以前の水準に比べても、世界平均が31.7、株価の暴落を経験したタイで21.9倍だった。
- ベトナム株の大きな買い手は国内勢だが、外国勢もこの小さい市場に参入しその投資総額は220億ドルに及ぶ。ベトナム政府とIMFはもし外国人投資家が恐怖に駆られて手を引く様になると市場は崩壊すると懸念している。
しかし外資のコントロールは難しい。タイではバーツ高を防ぐため昨年12月に短期流入資金の3割を中央銀行に預託させる規制を行なったところ、バーツ高を防ぐという目的は達せずに株式市場の下落を招いた。
エコノミスト誌は最も重要なことはベトナム政府が優良国有企業の民営化をスピードアップすることだろうと述べる。つまり投資家が必死にって株を買おうとしているので、えさを与えなさいという訳だ。
私はベトナムに行ったことがなく、今月タイに行った時もベトナムに行くことも考えていた。ただしどうもホテルが一杯一杯の様なので今回は見送ってタイに行くことにした。
タイはホテルの値段も手頃である。例えばバンコクでは五ツ星のフォージーズンズホテルに185ドルで泊まることができる。これが東京のフォーシーズンズ(椿山荘)だと4.4万円。もし部屋やサービスの質が全く同様なら、東京はタイの倍ほどの値段になる。ベトナムではホテルのホームページで調べるとホーチミンのパークハイヤットが216ドルからあった。高級ホテルに関する限りベトナムはタイと良い勝負か少し高いかもしれない。
私は閑な時にワールドルームプライス指数でも作ろうか?と思うことがある。つまりインターナショナルなホテルの部屋代を比較してみる。もっともこれは実勢為替レートを反映するというよりも、ホテルに対する需給を反映するかもしれない。
話が横道にそれたが、旅は一番人気のところに出かけるより、一歩引いてお得なところに出かけるのが良い様だ。偉そうなことをいうと相場もそうかもしれない。
人の行く裏に道あり、花の山 というのは日本の相場の格言。英語にはBuy when others sell; Sell when others buy.という格言があるらしい。格言というにはストレート過ぎる気がするが。
少し身を引いて見ていよう。ベトナムのマーケットを。