金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本株、ちょっと様子見が正解か?

2007年03月15日 | 株式

今日(3月15日)の日経平均は183円程上昇したが、大きく下げた昨日の市場を見てウオール・ストリート・ジャーナルは次のよな記事を書いている。これを読む限り暫く静観していたくなる。

  • 昨日の激しい売りは日本株のファンダメンタルな弱さに焦点を当てた。日本の株式市場は米国に次ぐ世界第2の市場だが、発展途上国の小さな株式市場の様にすっかり外国人投資家に頼りきっている。この結果外国勢が買い意欲を失うと市場は急落下する。

株式の急速な下落をNose diveという。一般的には飛行機が頭から突っ込む様な急落下を指す。

  • 外国勢は自国市場で株を売る時、日本株も売るという傾向がある。米国の主要な株式指数は火曜日に2%下がり、その翌日日経225は2.9%下がった。しかも日本株の下げ幅は2月27日以降S&P500の5.2%、FTSE 100の6.9%という下落幅よりも大きい8.8%である。
  • 巨額の金融資産を持ち、リスク敬遠型の日本人は近年買い込んだ以上の株を売っている。昨年日本の3大株式市場で54%の取引シェアを占めた。

ここでウオール・ストリート・ジャーナルはアナリスト達は「外国人投資家のリスク回避指向が解消し始めても、彼等は向こう数週間日本株を売り続けるだろう」と言っていると報じる。

  • 幾つかの投資家は5年間好調だった日本企業も今年は米国経済の減速の影響もあり勢いを失うと懸念している。また円高で輸出企業が競争力を削がれることも懸念材料である。
  • また経済改革の努力が緩んでいることに苛立ちを募らせているものもいる。また企業買収防衛策を講じる企業も出ている。これは産業の効率化を高める世界的な企業買収のトレンドに竿を指すものだ。
  • もう一つの懸念は日本政府が収入格差拡大に対する批判の中で貧困層の救済策を強化することを考えていることだ。投資家は政府が企業に賃上げ圧力を与える結果企業収益が減ることを懸念している。
  • メリルリンチの菊池氏は昨日の大幅下落の前に4月に日経平均は16,500円の二番底をつけるかもしれないと言っている。
  • 日本の個人投資家は時価総額の4分の3が消えてしまった(バブル崩壊の)ベア・マーケットの苦い思い出を振り払うことが出来ず、株式投資に消極的である。昨年の個人投資家は4.4兆円売り越している。
  • もっとも個人の取引高は増えていて、昨年は2004年の倍になっている。しかしこのことは多くの個人が短期取引を行なっていることを示唆している。アナリスト達は多くの個人投資家は数週間又はもっと短い期間で所有株を変えていると言う。米国と異なり老後や子供の大学教育に備えて株式投資をする人の比率は日本では少ない。
  • マネックス証券の清水部長は「株価が下落するとバーゲンハンティングで個人客が殺到するが少し株価があがると利益を確定するために彼等は売る」と言っている。

日米の個人の株式投資と住宅購入(投資)の姿勢を見ているとあることに気が付く。米国では住宅価格は~最近下落傾向であるが~長期的には安定して上昇傾向にある。より正確にいうと上昇傾向が持続する様に当局が開発制限等のコントロールを行なっている。従って米国人は自宅を投資対象として増改築や補修を行なっていく。そして退職等の人生の節目にはそれを売却し、資金を得ることができる。

一方日本ではバブル時の底地の急激な値上りはあったが、建物の値段が短期間に急速に下がるため住宅に投下した資金は回収することができない。

どうもこの辺りに米国人が長期的視野で株を保有するのに対し、日本人の株式投資が目先の利益指向になる鍵がありそうだ。我々はどこか短期的・戦術的で部分的な正確性を大事にするが、長期的・戦略的で大局的な調和ということが苦手である。これが不動産や株式の投資に出ているということだ。

とはいうものの対策がない訳でもなかろう。

株式市場を活性化しかつ安定させるために個人投資家を育成するというのは、本末転倒な感じがしないではないが、決め手は確定拠出年金を大幅に改善して毎月定期的に株式を購入する落ち着いた個人投資家を創出することだろう。政府は事業主拠出にマッチングして個人拠出を認める等アメリカの良いところはもっともっと取り込むべきである。

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アップグレードでANAを賞賛

2007年03月15日 | 旅行記

ANAを賞賛したい。というと昨日の高知空港の胴体着陸の件か!と思う人が多いかもしれない。無論あの胴体着陸は賞賛モノだが、私がここで賞賛したいのはバンコクから成田への帰国フライトでエコノミーからビジネスにアップ・グレードしてくれたから。どうしてか理由は分からないけれど、バンコクでチェックインした時カウンターの日本人男性が「アップグレードします」と言ってくれた。

私の推測では「ANAはエコノミーシートをオーバーブックしていたので誰かをビジネスに回す必要がでた」そこで「ANAのパックツアーを使っている旅行者を優先した」ということになる。

海外旅行をする時どの旅行会社のパックが安いが迷うとところだが、こういうこともあるから私は多少の料金の差に係らずANA(があるところは)直接のパックやツアーを使おうと考えている。それとも単なる偶然だったのだろうか?誰か裏事情に詳しい人がいたら教えて欲しいものである。

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