金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

失業率という不思議なデータ

2007年03月18日 | 社会・経済

昨日ジョイフル本田のフードコートでワイフと食事をしながら、ふと失業率のことを思った。話の筋道はこうだ。1週間前バンコクで大型ショッピングモールに行った時もフードコートで食事をした。日本とバンコクのフードコートの大きな違いは日本では自分で注文した料理をテーブルに運び、食べ終えた食器を洗い場の前に返すが、タイでは店の人が料理を運んでくれ食器も下げてくれるという点だ。これはタイの方が安価な労働力が豊富であるということだろう。

ところで日本の失業率は4.0%で、タイの失業率2.6%より高い。ただしこれをもってタイの方が日本より景気が良いとか労働市場が逼迫していると考えると早計であろう。というのは既に述べた様に日本では消費者が自分でやることをタイでは販売業者が行って呉れるからである。

同様なことは日本とアメリカについても言える。例えば日本では銀行員等金融機関の職員が個人の家に預金や金融商品の勧誘に回ったり集金を行っている。ところがアメリカでは、いや私が知る限りでは他の先進諸国でも、この様な商慣行はない。預金者が自分で銀行に出かけ、現金や小切手を入金するのである。

この様なサービスレベルの違いを考慮しないと日本の金融機関とアメリカの金融機関では従業員一人当りの資金量がどうだとか収益性がどうだとか議論してもはじまらない。

失業率に話を戻すと、それぞれの国の消費者がどこまで自分で処理をするとか、物や情報の流れがどれ程効率化されているかということを考慮しないで失業率の高さ低さだけを云々しても始まらない様な気がする。

ところでタイ風のやり方は一種の雇用創出策であろう。つまり消費者が自分で出来ることをやらないでお店の人にやってもらうことで雇用を創出しているのである。例えばインドのカースト制度というのも細分化された仕事を多くの人でシェアするという面がある。

日本のホワイトカラー族の生産性が低いということが話題になることがあるが、これもタイのフードコート・スタイルかもしれない。雇用を維持するため、一人で出来ることを複数の人間でシェアしている様なところが無きにしも非ずと思うことがある。

コメント (1)
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