金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

インド株、銘柄選定は難しい

2007年10月04日 | 株式

個別株投資で安定したリターンを上げることは難しい。5,6年前東京で投資収益率の研究で有名なイボットソン教授の講演会に出た時講演の後質疑応答があった。誰かが「教授の個人資産運用はどう配分しているのか?」というぶしつけな質問をしたが、教授は「リスクリターン分析を通じて、エマージング市場などにも資金を配分している。資産運用で大切なことはアセット・アローケーションで個別運用ではない。自分はインデックス運用の比率が高い」と答えたと記憶している。しかし記憶していることと腹の底から分かっていることは違う。

一年弱前インド株のADR投資をしようと思った時、頭をよぎった銘柄が自動車のTata motors,最大手の民間銀行ICICI銀行、IT大手のInfosysだった。結局直感的にInfosysを選んだがその裏には大量事務処理のIT処理化に携った個人的な経験が影響しているのかもしれない。ところでこの三つの銘柄はどれが正解だったのか?ボラティリティは高いが銀行株が今のところ一番上昇している。特に7月の信用危機の後のリカバリーがすごい。私が投資したInfosysは低迷している。自動車のTataは20ドル近辺をうろうろしていてあまりぱっとしない。ということはこの3銘柄全部に投資しても、このところ好調なインド株の市場パフォーマンスを得ることは出来なかった訳だ。幸い同時期に投資したインド株投信は堅実にパフォーマンスを上げている。まあ良い勉強をしたということだろう。

ところで自動車のタタだが、最近ムンバイで「今年の投資大賞」を得たとFTに記事が出ていた。更にタタには英国のジャガーとランドローバーを30億ドルでフォードから買収するという話が持ちかけられているらしい。

FTはタタにとって問題は新興市場で安い車を作っている同社の戦略とジャガーやランドローバーが合うか?ということだと述べる。タタが作ろうとしている車は「1ラーク(lakh)車」という世界で一番安い車だ。1ラークは10万ルピー、1ルピーは2円89銭位だから1台約30万円の車だ。しかし原材料価格が上昇しているので、このプロジェクトは難しくなっている。タタは国内市場のシェア下落とも戦っている。消費者はタタの古いモデルとサービスにうんざりしている。FTは英国の名門カーメーカーを買収するとより広い車のラインを得ることができて顧客サービススキルを強化する上で役に立つかもしれないと述べている。だが赤字垂れ流しのジャガーやランドローバーを買収することが、タタの株価向上にプラスになるだろうか?タタのADRを持っていないが気になるところだ。

 日本株でも個別で勝ち続けることは難しいのに、インド株で勝つことはなお難しいだろう。とはいうもののエクスポージャーがある故にマーケットを見るから、知的好奇心のための出資と割り切る位の腹積もりは必要だろう。

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