金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米国トップは貰い過ぎ

2007年10月15日 | うんちく・小ネタ

人の給料を気にする奴ほどつまらない人間はいない。会社の先輩で現役を引退して気楽な勤めになっても時々「あいつは俺よりも2万円多く貰っている」などという人がいる。愚痴ったところで自分の給料が増える訳でもないのだが、他人の給料が気になるところがサラリーマンの悲しい性なのだろうか?

と偉そうなことを言ったが、他人の給料というものは欧米でもマスコミの飯の種になる様だ。FTに次のような記事が出ていた。

  • 大部分の企業の幹部は社長(CEO)は報酬を貰い過ぎで、報酬に値する価値を会社に提供していないと信じているという研究がthe National Association of Corporate Directorsによりまもなく発表されるだろう。7月と8月の調査によると6人の内4人の企業トップが成果に対して報酬が高すぎると述べている。70人近い企業トップの中でわずかに2.2%の人が報酬は低すぎるといい、三分の一の人は「適正レベル」と述べている。また社外重役の8割以上は企業トップは貰い過ぎだと言っている。これは過大な役員報酬に対する批判を励ますだろう。特に高い報酬を貰いながら業績が不振な会社の社長に対してはアクティビストやヘッジファンドが株主総会で批判を強めるだろう。
  • 先週発表された統計では米国のトップ1%の富裕層が全米の所得の21.2%を得ているが、これは戦後の新記録だ。米国では貧富の差が過去60年以上で最も拡大しているので、この問題は特にデリケートだ。

フォーブス誌によると全米500社のCEOの報酬は2003年の33億ドルから51億ドルに54%アップしている。

  • NACDCOO、グリーソン氏は「企業トップの報酬は役員会と経営陣が取り扱いに苦慮している分野だという全般的な認識がある」と述べる。
  • ブッシュ大統領は先週ウオール・ストリート・ジャーナルに彼は幾つかの企業トップの報酬は過大であり取締役会はこの問題に対する監督を改善する必要があると述べた。
  • 企業トップが貰い過ぎになる理由はその成果を測定する客観的な方法がないことによると調査対象の取締役の6割が述べている。
    • ところで米国の企業トップがどれ位の報酬を得ているか調べてみたくなった。調べ方は簡単で検索エンジンに「CEO Pay」と入力する。そうするとフォーブスのホームページが出てくるのでそこから調べていくと良い。因みにフォーブスによると年間報酬(給料プラスストックオプションなど)が一番高いCEOはヤフーのSemel氏で、年間報酬は2億3千万ドル、円換算すると270億円近い。内サラリーは60万ドルと驚く程比率が低い。要はストックオプションなど株絡みの評価益が大きい。なお前掲のフォーブスの記事から全米トップ5百社のCEOの平均所得を計算すると約10百万ドル11億7千万円だ。

      米国は格差社会だとつくづく思う次第だ。しかし穿った見方をするとCEOに過大な報酬を払っていることは少なくとも次の二つの点で意味を持つ。一つは「若い世代の励みになる」ということだ。次の一つは「社長を辞めればハイ、さよなら」で顧問・相談役等での居残りなしという点だ。これだけ報酬を貰っているともう閑職で会社に居座る理由はないだろう。日本では社長・役員の報酬が低いので何時までも会社に居座る・・・・などというと僻事と言われるだろうか?

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