金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

世渡り下手の独り言

2007年10月30日 | うんちく・小ネタ

先日元の会社の先輩と酒を飲んでいる時どういうきっかけだか忘れたが「世渡り下手」ということが話題になった。その人によると私は「仕事は出来るが世渡りは下手だ」。もっともこのような場合前段のほめ言葉は後段の批判を薄めるためのものだから、相当割り引いて聞いておく必要がある。

しかし実のところ私は「世渡り下手」という評価が嫌いでない。柳生新陰流を開いた柳生石舟斎にこのような歌がある。

兵法のかぢをとりても世の海を わたりかねたる石の舟かな

石舟斎柳生宗厳(むねよし)、剣法の奥義を極めた人だが世渡りは上手くはなかった。柳生の小領主だったが、松永久秀の属将となるが、秀久の死後は筒井順慶との戦いに敗れ柳生に隠棲する。柳生家が陽の目を見るのは石舟斎の五男宗矩が家康の近習に取り立てられてからのことだ。

「兵法(剣法)の奥義を極めた石舟斎にとって権謀術数を駆使せねば成功者となりえない浮世のありさまは、憂苦に満ちた眺めであっただろう」と津本 陽は「老いは生のさなかにあり」の中で述べている。

天は一人の人間にそれ程沢山の才能は与えないということなのだろう。

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Nova、消える新星

2007年10月30日 | うんちく・小ネタ

語学学校のNovaが会社更生法を申請した。この話は外国人にも関心が高いので、FTも記事を書いている。FTによると約4千人の外国人語学講師の給料が支払われなくなる。講師の中にはNovaが借上げ社宅の家賃を支払わないため、立ち退きを迫られるものも出ているということだ。FTによると昨年約75万人が夜間や週末の語学レッスンのために学費を支払い、その3分の2Novaが支払先だった。同紙は語学学校は日本の評判の悪い学校の語学教育を補完するものだと述べている。日本人の英語能力はEducation Testing Service USという調査機関によると世界147カ国中138番目だということだ。

さてNovaという言葉の意味だが日本語では「新星」だ。念のためインターネット上の英語辞典でその意味を確かめると次の記述があった。A star that suddenly becomes thousands of times brighter and then gradually fades to its original intensity. つまり新星というのは新しく生まれる星ではなく、恒星の表面がガス爆発で突然数千倍の明るさで輝きだし、やがてもとの明るさに戻る星なのである。Novaを命名した猿橋元社長はそこまで確認してNovaの名前を付けたのだろうか?

もっとも現実のNovaは元の明るさに戻ることはできず、しばしの輝きを放った後爆発してしまったが。

ところでどうして日本人はかくも英語能力が低いのだろうか?その理由を「動機」と「教育プロセス」から考えてみよう。「動機」からいうと日本でそこそこの仕事をしていく上で優れた英語力は必要がない。また多少英語ができたところで、高い給料を貰えることもない。(しかし国際的な大きな仕事をしたいと思うと英語力は当然必要なのだが)つまり「動機」面からいうと「日本の中でそこそこの仕事ができれば良い」という内向き思考のため英語の勉強に力が入らないのである。そしてこのことは中長期的には確実に日本の国際競争力を劣化させていく。

「教育プロセス」からすると学校の英語教育が文学教育と受験教育に片寄り過ぎている。英語で大切なことは「相手の話をきちんと聞き理解すること」と多少発音が悪くても「自分の伝えたいことを伝えること」なのである。このような勉強を行うのに私はNovaなど語学学校に高い授業料を払わなくても良い、ラジオやテレビでヒヤリング力をつけ、英字新聞で読解力を付けるとかなり良いと私は考えている。そして義務教育レベルで徹底的に外国人教師を導入するべきだろう。Novaで失業した外国人講師を救済するためではないが、この際まじめに考えてよい課題だろう。もしNova問題が日本の英語教育の問題に一石を投じるのであれば、消えた新星にも多少の意味はある。

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サブプライム問題は終らず

2007年10月30日 | 金融

サブプライムローンの話がマスコミで大きく取り上げられた日は私のブログのアクセスが増える。私が今年の春サブプライムローンのことを取り上げた「ハゲタカ舞うサブプライム市場」がヤフーのサイトに紹介されているからだ。最近ではメリルリンチが84億ドルという大きな損失を計上した時もアクセスが増えた。アクセスが増えることはブロガーとしてはうれしいが、サブプライム問題が片付かないことは経済人としては気持ちが落ち着かない。早く解決してほしいものである。足許の株価は堅調だがこれは米国のFFレート引き下げの思惑で相場が上向いているに過ぎないだろう。

現実には悪いニュースがまたぞろ出てきそうだ。エコノミスト誌によるとアナリスト達は第四四半期にメリルは再度40億ドルかそれ以上の償却を強いられるということだ。またモルガンスタンレーやベアスターンズも償却を強いられそうだ。というのは彼らの第三四半期決算は9月分を含んでいないからだ(9月は特に厳しい月だったが) 

追加償却が発生する理由は格付機関が高い格付のCDOを格下しているからだ。格付が下がるとサブプライム債券の投資に使われるABX指数が低下する。あるAAA格の債券は額面の80%強まで低下した。また質の低い債券は20%以下の値段で見捨てられている。

またモノライン(単一)保険会社と呼ばれている事業債と仕組債の保証を行う会社の格付がダウングレードされるという懸念が広がっている。

監査法人は銀行に保有債券を保守的に市場価値で評価することを強く求めている。債券の価格が不確実である限り、信頼性は崩れやすいだろう。信頼が回復するには1年以上かかる可能性がある。

株価を支える材料は米国の金利引下げと発展途上国の経済成長だ。これらがサブプライムの重みに耐えうるかどうか・・・・見極めが難しい時だ。

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